電話の文化 3 ボイスメール 前編

iptelephony 2006-06-22 14:51:52

日本が通信を自由化した1985年当時は、1年先に自由化が進んでいたアメリカでは様々な新しい通信サービスがあり、日本では新興通信事業者が既存事業者との差別化をはかるための付加価値としてアメリカの新しいサービスや機器を常に調査していた。通信の自由化を機に通信分野に本格進出したかった商社としては、アメリカの駐在員を調査員として活用し、せっせと新しいものを紹介していたものだ。それから20年が経過し、様々な通信サービスモデルや通信機器が日本に輸入された。それらのほとんどは、アメリカから若干遅れはしたものの、日本国内でも新しいサービス・機器として利用が進んだ。しかし、1985年当時から北米では盛んに利用され、企業活動のツールとして無くてはならないものになっているにも関わらず、日本でいまだに企業環境では根付かないものがある。それはボイスメールだ。

私がニューヨークに居た時代に更改された新しいPBXシステムには、ボイスメール装置が装備されていた。当初は約500名の社員全員にボイスメールサービスを提供する計画であったが、ニューヨークにあっても日本の会社である、「お客様に機械で応答するなどは大変失礼、もってのほか」という幹部の意見もあり、結局いくつかの部門は部門長の判断でボイスメールの導入を見送った。ところが、新しいPBXを運用開始して半年も経たぬ内に、導入を見送った部門がそろって、やはりボイスメールを導入したいと言い出した。他の部門が使っていて、意外や意外の便利さが評判になり、「もってのほか」と言っていた部門長たちも、他の部門長らに「便利だから使ってみたら?」と言われ続けていたらしい。結局、新PBXを導入した約半年後には、めでたく全ての社員がボイスメールを使用していた。使った方なら分かるが、これは一度使ったらやめられない。

その数年後、その商社では日本の本社ビルでもPBXの更改があった。私はもう更改に関わる部門ではなかったので途中の検討の顛末は知らないが、日本の文化ではボイスメールなど導入するわけもない・・・と思っていたところが、なんとボイスメールを導入するという。後で背景を聞いたところでは、ニューヨークで一番ボイスメールの導入に慎重だった部長格の人たちが帰国して、「ボイスメールが無いなんてとんでもない」と要求していたらしいのだ。

かくしてその商社では本社でも新PBXとボイスメールが導入されたのだ。

[後編に続く]

(加藤 浩明)

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