国内外のITIL最新動向

itil 2005-10-21 11:06:30

 ITILとはどういったものかといった話はいろいろなサイトで紹介されているので、今回はあまり紹介されていない国内外の動向についてお話ししたいと思います。

 ITILの現在に至る詳しい経緯については、著者の1人であり、現在弊社のITIL実践マネージャを務めるブライアン・ジョンソン(Brian Johnson)が弊社ホームページでご説明していますので、興味のある方はこちらをご参照下さい。

http://www.caj.co.jp/focus/itsm/brian/inside0508.htm

【欧州】

 欧州を代表する大企業ではITILはすでに定着しており、現在は中小企業への普及が進んでいる状況といえます。英国だけでなく、オランダ、フランスなどにもitSMF(ITサービスマネジメントの普及などを目的としたNPO団体)の支部が設立され、地域ごとのミーティングも行われています。カンファレンスでもかなり高度・詳細なレベルの講演がなされているように見受けられます。itSMF創立時に理事長と副理事長はベンダ以外のメンバから輩出するといったルールを設定しユーザーの参画を促進する工夫などが結果として功を奏したと、前述のブライアンも言っておりました。

http://www.itsmf.com/about/structure/officers.asp

【米国】

 米国では2000年くらいからITILに関する認知度、マーケットが急速に拡大してきました。その背景にはITILを活用して成功を収めた企業の事例の公開やSOX法などによる企業統制の動きに後押しされたことが考えられます。9月末にシカゴで開催されたitSMF USAのカンファレンスでは、初心者向けのセッションから組織改革まで、7つテーマに60以上ものトラックが開設され、参加者も1000名以上と大盛況だったようです。近年理事会がユーザー中心に構成されるなど徐々にユーザー主導に変化しつつある感があります。

【アジア・オセアニア】

 アジア・オセアニア地区、特に東アジアでITILは爆発的な拡大を見せています。日本(2003年11月)だけでなくアジア・オセアニア地区ではオーストラリア(1998年7月)、韓国(2004年9月)、ニュージーランド(2004年11月)、シンガポール(2004年9月)、香港(2005年1月)でのitSMF支部設立が進んでいます。

 日本では献身的な方々のお陰もあり、今年の夏には「ITサービス導入計画立案」の日本語版が発刊され、残りの書籍についても徐々に翻訳が進められているそうです。最近ではビギナー向けの書籍「Introduction to ITIL」(邦題は「ITサービスマネジメント-ITIL入門」)の改訂版が発刊されており、日本語版を心待ちにされている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 またオーストラリアではすでにBS15000(ITILを基とした規格)を自国向けにしたAS8018という認証制度の導入が進められています。日本でもBS15000やISO/IEC20000のような規格について、お客様やパートナー様よりご質問をお受けすることが増えてきましたし、皆様の関心の高さを身をもって感じているところです。規格や認証については、後の回でお話したいと思います。

 お客様やパートナー様とITILについて話をさせて頂く際に、違和感を覚えるときがあります。これは他の規格や標準についてもよくあることなのですが、ITILが最終目標になっている場合が多いからです。ITILはあくまでベストプラクティスの集合体であり、ITILに記載されている内容をそのまま実践したとしても、それがそのまま事業目標に見合ったものとは限らないのです。企業の事業戦略やビジョンを明確にした上で、どのようにITILを使うか(部分的なのか、全体なのか)を明確にした方が、よりITILを上手く利用ができるのではないかと考えています。

【おまけ ITILリフレッシュ】

 現在itSMFインターナショナルが行っているワールドワイドの動きの中から興味深いトピックをピックアップしてみました。

(1)ITILバージョン3

 来年の夏から秋ごろを目処に次期バージョンに向けた改定が進められています。全体での一貫性の統一、用語や定義の整合性についての見直しや市場、ビジネス、技術の変化に合わせたコンテンツの見直しが行われています(9月末に著述者の応募が締め切られました)。

(2)Business Perspective 2

 もともとは一冊で完結する予定でしたが、ITに偏った内容となってしまったため、ビジネスサイドからの内容を記述した続編の「Business Perspective 2」の作成が進められているそうです。なお、前編である「Business Perspective」については、現在日本語の翻訳作業が進んでいるようです。

(3)他のベストプラクティス、標準との連携

 たとえばCMM(Capability Maturity Model)などのような他のベストプラクティスや標準との連携のためのインターフェースを整理していくとのことです。昨今ですとITILとCOBIT(Control Objectives for Information and related Technology 米国情報システムコントロール協会により提供される情報システムのコントロールに関するフレームワーク)のマッピングが行われています。

(三部 佳彦)

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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