ITILの資格取得希望者がたくさんいらっしゃるそうで、今の取得したい資格の上位ランクになるそうです。非常にうれしい状況です。ITILの国際的に認定されている資格は全部で3種類あります。資格試験を提供している団体も数団体ありますが、日本語に対応した試験を提供しているのは、オランダの“EXIN(エグジンと読むようです)”のみです。EXINはITILだけではなくプロジェクトマネジメントやIT関連の各種の資格試験を提供している団体です。ITILの試験機関は、itSMFならびに他の専門団体との協力の下で、公正かつ公平な試験の提供に努めているようです。
資格試験の種類
ITILの資格試験は以下の3種類が提供されています。
・Foundation Certificate in IT Service Management
・Practitioner Certificate in IT Service Management
・Managers Certificate in IT Service Management
Foundation Certificate in IT Service Management
Foundationの資格は、ITILに関する資格試験の中でも基礎的な理解と基本知識の習得を認定する資格試験です。ITILに関するプロセス定義、ゴール、代表的なアクティビティを理解し、定義に準じて用語を使用でき、ITILに関して共通の基礎が習得できていることを認定するものです。このため、他の2つの試験を受けるため、あるいは認定コースを受講するためには、この資格を取得していることが必須条件となります。この資格試験の合格率は約90%と、かなり高いのですが、独学では、根本的発想の違い、歴史的な背景などが把握できず、少しつらいところもあるようです。
今までの講師を務めてきた経験から見ると、ITサービスの運用管理の業務をきちんと実施している現場にいる方ほど、陥りやすい傾向というのが見えてきました。今回はそれについてお話してみましょう。
・ITILの理論的なものと、現実に行っている業務の差を埋めきれない。
・ITILで述べていることが、実業務の何を意味しているか納得できない。
・プロセス志向のアプローチを理解できない。
・プロセスと組織を同一視してしまう。
この点を克服していただけるように、講義では重点を置いて解説していますが、完璧とはいかないようで、ITILの論理面になかなか馴染めない方がいるようです。第4回でお話したプロセスモデルにあるような、プロセスの理解が第一のポイントです。次のポイントは、プロセスの役割、責任を組織、リソースへ割り当てを行うのが実装の段階であることを理解することです。ここまで理解していただければ、後は各プロセスのゴール、アクティビティ、用語の理解です。
試験問題は40問、選択式で、時間は60分です。試験問題は65%以上の正解率で合格となります。
Practitioner Certificate in IT Service Management
Practitionerの資格は、ITILの実践レベルでの知識を習得し、導入に当たって主導的な役割を果たすことができるレベル、というのが要求事項となっています。この試験はプロセスごとに実施されています。ただし、インシデント管理とサービスデスクが一緒で、リリース管理とITサービス継続性管理は試験がありません。そして、セキュリティ管理のプロセスに関しては試験があります。つまり、全部で9種類のPractitionerの資格があります。
この試験に関しては、数個のプロセスを組み合わせた、クラスタ式の試験認定が試みられています。変更管理、リリース管理、構成管理のプロセスを組み合わせた、“ITIL Practitioner Release and Control(IPRC)”が現在実施されています。従来は、リリース管理が個別のプロセスとしては、Practitionerが用意されていませんでしたから、より実務的な方向に向かっていることが感じられます。特に、変更と新規のリリース、導入の対応が明確になる事を期待しています。ITILを推進する企業が増加するにつれて、需要の増加が期待されます。このコースは、CAでは2006年1月に日本語通訳つきでコースが案内しています。非常に重要なプロセス群で、実施済みの会社でも、実装時のハードルがかなり高いプロセスといわれています。
2006年には“ITIL Practitioner/Support and Restore(IPSR)”が実施される予定です。このプロセスとファンクションは、サービスデスクとインシデント管理、問題管理が含まれます。この他にも、クラスタ形式のITIL Practitionerはデリバリのほうでも実施される計画となっています。サービスレベル管理とITサービス財務管理のプロセスの組み合わせと、可用性管理、キャパシティ管理、ITサービス継続性管理のプロセスの組み合わせが予定されています。順調に行けば、2007年にはプロセスごとのPractitionerの試験が廃止になって、クラスタ式の4分野に統合されるようです。
試験問題は40問、選択式で、時間は2時間です。試験問題は65%以上の正解率で合格となります。現在は英語とドイツ語しか対応していません。日本語のコースコンテンツで、日本語の試験ができるように努力中です。クラスタ式に対応した場合は5日間のコースを予定しています。現状のプロセスごとの場合は3日間のコースで、2日間の講義と、3日目に演習と試験という段取りになっています。
Managers Certificate in IT Service Management
Managersの試験は、ITサービスマネジメントに関連したシニアコンサルタントができるレベルの、知識と経験と適切な判断力が要求されます。試験科目はSupportとDeliveryの2科目になります。どちらも論述式で、3時間の試験時間です。合格ラインはどちらの科目も50%以上の正解率で合格となります。2科目とも合格すると、Managersの資格が認定されます。1科目だけ合格の場合は、1年以内に、もう一方の科目に合格すれば、認定が受けられます。
Managerの試験は論述式ですから、採点するほうもかなりハードなようです。以前はボールペンでなければいけなかったのですが、鉛筆で書けるようになりました。また、日本語対応の試験もパイロットで実施されています。今後、日本のManagersが増加することを期待しています。
今まで、コンテンツが英語、試験も英語ということでコースも外人講師で実施して来ましたがかなりハードです。日本語の教材で、果たして的確な概念を伝えることができるかというと、疑問符を打たざるを得ません。ITILの日本語訳されるときも翻訳のかたがた、レビューされる方々はご苦労されたことと思います。たとえば、よく言われることですが、“management”と“管理”、“review”と“検証”などに代表されるように、もともと概念が異なっている言葉同士なので、翻訳したときにずれが生じるのは仕方ないことでしょう。講義ではこのあたりを、かなり補足して説明していますが、個々人の概念の違いもあり、完璧には伝わっていないという反省がいつもついて回ります。
実際に行われる、Managersのコースは、知識習得よりもケーススタディに準じたワークショップが中心になります。このワークショップの作業状況から、講師は受講者のリーダーシップや協調性などの人格面からの評価も行います。この試験のハードルは高いです。50%以上の正解率で合格となります。合格率は各科目とも約60%といわれています。また、合格者の平均点が51点から52点の間である、とも言われています。
資格というのは、どんな資格でもそうなのでしょうが、資格を取得した方々が、いかにその分野で貢献し、資格のレベルを維持していけるかということにかかっていると思います。Foundation資格取得者6,000名以上いるにもかかわらず、Managersの資格取得者が約30名では、日本のITサービス業界のレベルが危惧されます。ITILの資格試験の制度が始まってから、10年以上になりますから、国際的にも定着した資格であることは間違いないと思います。
PRINCE2
ITILのほかに、英国のプロジェクトマネジメントの資格も紹介しておきましょう。
Projects in Controlled Environments の省略表記がPRINCEで、1996年の改版からPRINCE2と表記されるようになりました。まったくの個人的見解ですが、これも、プロセス指向なので、ITILを勉強された方にとっては、PMBOKよりは比較的抵抗が少ないのではないかとは思います。日本では、プロジェクトマネジメントというとProject Management Professional(PMP)の資格取得者が圧倒的に多いですね。プロセス志向のアプローチという面では、CMM/CMMiなどとも共通します。プロセスに改善を加えながら、プロジェクトをより効率的、効果的に実施して行く品質面からのアプローチという点と、入出力の関連は、私の場合はPRINCE2の方がしっくり来ます。
脇道にそれたところで、この回は終了ということにしましょう。
前田 隆
※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。
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