Business Perspective

itil 2006-03-29 18:23:00

プライベートで異業種間の交流会(別名: 飲み会 or コンパ)に出かけることが多々ありますが、IT以外の業界の方(特に会社のビジネスの主要部門、例えば製造部門などに在籍している方)とIT業界の方(特にエンジニアの方)の間で仕事の話をすると話が噛み合わないまま平行線を辿ってしまうことがよくあるように思えます。

こういった場合のビジネス部門とサービス・プロバイダ(内外を問わずITサービスの提供する組織)の間のコミュニケーションにおいて何らかの食い違いが発生していることが、原因となっていることが多いようです。コミュニケーションがどちらかからの一方通行であったり、双方向のコミュニケーションが存在していたとしても実は受け取り側にはまったく理解されていなかったりすることが往々にして発生しています。担当者レベルだけでなくマネジメントレベルでも同じことが起こっています。こういった食い違いの積み重ねにより、ビジネス部門とサービス・プロバイダは独自の目標に向かって進んでいくことなります。いわゆる”ビジネスとITの不整合”が発生するわけです。

現在発刊されているITIL書籍でビジネスとITの整合についてもっとも詳しく記載されている書籍が“Business Perspective(邦題はビジネスの観点)”となります。既に発刊されているVolume 1の題名は “Business Perspective - The IS view on Delivering Services to the Business”では情報システム部門からの視点を主として扱っています。既に日本語版も発売されており、このブログを読まれる前に読破された方もいらっしゃられるかと思います。今後リリースされるVolume 2の題名は“Business Perspective - The Business View on Successful IT Delivery”ということで、こちらはビジネスからの視点が主となります。発刊が少々ずれ込んでおり、5月に発刊の予定となっていますが、僕自身も非常に楽しみしている書籍です。

今回はBusiness Perspective Volume 1の中からサービス・プロバイダが、自分自身、自分以外の組織を理解し、提供すべきサービスが何なのか鑑みる上で非常に有益と考えられる コンセプト(組織とプロセス、ITの位置づけ、サービスポートフォリオ)をご紹介していきたいと思います。

組織とプロセス

Business Perspectiveではビジネス、サービス・プロバイダ、サプライヤといった形で組織を分類し、サービス・プロバイダの活動を以下の4つのプロセスに分類し、詳細を各章で説明しています。

ビジネス関係管理

サプライヤ関係管理

計画立案、レビュー、開発

連絡、教育、コミュニケーション

Business Perspectiveの特徴としては、サービス・プロバイダの組織にビジネス側へのインタフェースとしてBRM(ビジネス管理マネージャ)、サプライヤ側のインタフェースとしてSRM(サプライヤ管理マネージャ)といった役割を設け、それぞれの役割や責任を明確化している点などが挙げられます。

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ITの位置づけ

Business PerspectiveではビジネスにおけるITの位置づけについてバリューチェーンを使用して一章にわたり説明しています。本文中においてはバリューチェーンにおける調達部門や財務部門などのような本来のビジネスをサポートする部門の活動と同様にサービス・プロバイダの活動を位置づける管理フレームワークを提起しています。とかくITに関わる人間はITの世界に引きこもり、IT以外(つまりビジネス)になかなか目が向かないことが多いですが、このアプローチは視野を外に向ける良い気付きを与えてくれると考えています。インシデントがどのビジネスプロセス(製造、営業なのか)に影響を及ぼしているか認識することで、より正確なインパクト、緊急度が把握でき、優先度の割り当ても効果的になっていきますよね。

サービスポートフォリオ

サービスデリバリのサービスレベル管理の章ではどちらかというと個々のサービスに関してアプローチを取っていた感がありましたが、Business Perspectiveでは全体のサービスを俯瞰するアプローチとしてサービスポートフォリオについて記述している点に目を惹かれました。

サービスポートフォリオとは、「サービス・プロバイダがビジネスに対して提供する(利用可能もしくは今後利用可能な)サービスの一覧」として定義されていますが、ここではもう少し踏み込んでサービスポートフォリオのイメージ例を示したいと思います。このイメージでは複数のサービスを4つの評価軸に基づいてグラフにプロットしています。これにより、ビジネスに対する個々のサービスの位置づけを可視化し、既存サービス継続や新規サービス導入に関する判断基準を得ることが可能となります。

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これから書籍を読まれる方へ

本文中にも書かれていますが、書籍の内容理解のためには、特にサービスサポート(青本)、サービスデリバリ(赤本)、実装計画(緑本)での知識が要求されますので一度は内容に目を通されておいたほうが良いかと思います。また分かり易く記述はされていますがバリューチェーンやバランススコアカードについての基礎知識は持っていたほうが良いかと思います。(ちょっと説教くさくてごめんなさい)

それでは新しい年度での皆様のご活躍をお祈りして僕のほうはひとまず筆を置かせて頂きます。今までブログをお読み頂いた皆様、お疲れ様でした。

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テクノロジー ディビジョン

三部 佳彦

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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