ここ数年のマーケティングの時流の変化を一言で表現すると、これまでは、「プッシュ型からプル型への変化」という言葉に集約できるのでしょう。様々な業界、企業においても、「もう押し売り営業のようなプッシュ型営業の時代は終わった」「お客様から自ら問合せをしてもらえるプル型営業に移行しなければならない」と言われて久しい昨今であります。
これは過去の、高度成長期のような、需要が供給を圧倒的に上回っていた時代は、「つくれば必ず売れる」という市場環境にあったため、マーケティングに求められる要素も今とは全く異なっていたことに起因するのでしょう。少し強気な営業、「押しの営業」が必要不可欠であり、他社よりも先んじて顧客との接点をもち、他社よりも多く、顧客に自分と会社をアピールすることが重要であると言われていました。
もちろん、今も最終的なクロージング段階で、ある程度の「後押し」は必要であることには変わりはないのですが、特に接客初期段階でのアプローチの仕方については、今はむしろ逆のプル型が求められているといえます。
押さない営業、顧客に自ら選んでもらえる販促および営業のスタイルです。90年代にバブル崩壊を向かえ、消費者の生活や周りを取り巻く環境もある程度充足されてきた現在では、前述したような過去の発想が役にたたないというわけです。
お客様に自社を選んでいただく。押し売りはむしろ警戒され、嫌がられ、お客様は逃げてしまう。時代の大きな変化にともない、マーケティングの手法についても大きな変革が起こったと言えます。未だに押し売り営業から脱却し切れていない企業が多いという事実からも、この変化の大きさの程がうかがえます。
実は、今それと同じようなパラダイムシフトが起こっている様に感じています。つまりプル型の次のステップとしての「コミュニティ型」の登場です。
コミュニティ型とは、プル型が顧客ランクを「見込み客→新規客→固定客」と定義し、より上位にランクアップさせるというマーケティング手法に対し、コミュニティ型とは顧客ランクを「ファン客→共感客→信者客」と定義し、そのランクアッププロセスをマーケティングで構築するというものです。
違う表現をすれば「がんばって売る」時代から「自然に売れ続ける」時代への変化ともいえます。
コミュニティ型の場合「見込み客を集めよう」、「売上を上げよう」という発想ではなく「自社のファンをつくろう!」という発想からスタートします。とにかく自社を好きになってもらう。それから全てがスタートするという考え方です。
ファン化が更に進むと、今度は自社の考え方や商品に「共感」するようになり、最終的には「信者」のごとく、自社以外の商品には見向きもせず、知人や友人に紹介を重ねてくれる上、更には頼みもしないのに、インターネット等で自社の良い評判をどんどん自ら宣伝してくれる、そんなありがたい存在になります。おわかりのように、これは固定客が自身のリピートで何度も購入を重ねる以上の経済的効果をもたらすことになります。
このコミュニティ型に基づいたマーケティング施策はプル型のマーケティング施策とは全く異なります。いかにファンを増やすか、それをいかに共感客にさせるか、更には信者化させるか。
一度、皆様の携われる業務においても「見込み客」という言葉を辞めて、「ファン客」という言葉に代えてみてください。どうですか? これまでとは違った戦略や戦術の必要性が見てきませんか?
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久木田 光明
大手・中堅不動産関連企業を中心に、戦略立案から戦術展開まで幅広いコンサルティングフィールドを持つ。正確なマクロ市場環境の分析から今後の市場展開を予測し各企業の潜在的なパフォーマンスを最大限に活用できる戦略の構築を得意とする。
※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。
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