技、盗んでいますか

こまつ みつのり(Mitsunori Komatsu) 2007-12-15 06:17:00

作成中のプログラムで正常に動作しないところがあって、途方に暮れているある日。少し勇気を出して、物知りで仕事ができると評判の先輩のところに質問にいく。先輩は自分のPCでお手本を見せようとして、キーボードを操作する。見たこともないコマンドを打っていて、自分がいちいち手作業で行っていた前処理があっというまに終わっている。エディターの設定もいろいろカスタマイズしているみたいでとても見やすい。サンプルプログラムを書き始める前に、何故かテストスクリプトを書きはじめたので、ちょっと混乱してきた。プログラムの中には知らない関数が出てきて、おどろいたことに全部で10行にまとまっている。たったの3分でテストも通っちゃった。なんだか魔法を使っていたみたい。

先輩はサンプルプログラムの中身について簡単に説明をはじめる。なるほど、プログラムの中ではそういうことを行っていたのか。自分がはまっていたのは、あの処理が抜けていたからなんだ。先輩に聞きにきてよかったなぁ。これで自分の作業を進められる。

さて、もしも質問をしたのがあなたであったなら、次のアクションは何ですか?

「ありがとうございました。解決しました。」といって自席に戻る?なるほど、それも良いかもしれません。先輩の説明のおかげでつまづいていた問題が解決した以上、余計なことはせず自分の作業に戻る、というのも選択肢の一つ。ちらっと目に入ったコマンドや関数のスペルはうろ覚え、エディターの設定にいたっては何をいじれば良いのか検討もつかない。全て「よくわからない魔法のようなもの」として一瞬記憶にとどまり、そして消えていってしまうのでしょう。気にしない。だって自分の作業には関係ないんですもの。

もったいない。

先輩はいろいろな「技」を見せてくれて、そしてその「技」に驚いていた自分がいたでしょう。詳細は良くわからなかったけれど、便利だなぁ、自分も使ってみたいなぁ、という気持ちを抱いたのでは?

もしかしたら、先輩とあなたはそれほど親しくないかもしれないし、お互いあまり社交的でないのかもしれない。けれど、勇気の出しどころ。「さっきのコマンドは何ですか?」

たぶん先輩は喜んで教えてくれるはず。スキルの高い人は大抵教えたがりです。絶好の啓蒙チャンスとばかりに、関係ないオプションやコマンドの由来、類似コマンドとその相違点、他のコマンドとの連携、まで教えてくれるかもしれません。その中のいくつかは、あなたが生涯使い続ける手癖の一つになるかもしれません。魔法のように思えた全ての「技」も、きちんと説明をきいて理解できれば自分の「技」になるでしょう。

あなたの質問は先輩にも良い影響を与えるでしょう。「よし、他の後輩・同僚にも技を伝えていこう」という気持ちが強くなり、勉強会を開いたりするかもしれません。もしも、あなたが何も聞かなかったら?多分、先輩は少しがっかりして、心の中でつぶやく。「役に立ちそうな技を織り交ぜて説明したけれど興味を持ってくれなかったか… みんなは技に興味が無いのかな?自分とみんなは違う人種なのだろうか…」 でも大丈夫。きっと、あなたは「さっきのコマンドは何ですか?」と質問するでしょうから。

その一年後…

あなたのところに少し緊張気味の後輩が質問に来る。

あなたは説明の中で、先輩に教えてもらったコマンドと、自分で見つけたコマンドを連携させながら…

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