Excel で ”仮説力” を鍛えよう

米野宏明(Hiroaki Komeno) 2007-10-29 18:30:00

前回、Excel の悪口を言う人は許さん、と書きましたところ、各方面の Excel 好きから賛同のお言葉をいただきましたので、もう 1つ、Excel の使い方について話を深めてみます。

Excel は広大なメモリー空間、人間の思考に近い使い方ができる、とこれも前回のとおりですが、人間とコンピューターをつなぐものであるからこそ、使う人間に、よりロジカルな発想をもたらすのも Excel の重要な役割です。とりあえず、どこからかデータを持ってきて表にしてみる、グラフにしてみる。とりあえず、もう一つ別な表を並べて目で見比べてみる、ちょっと関数で加工してみる。すると、あ、ひょっとしてこれって関係あるのかな、ぐらいの、ざっくりとした関連性が見えてくる。つまり 「仮説を見つけ出す」 という行為が、すごくあいまいな情報だけでもなんとなく成立してしまうのが Excel のもたらす世界なのです。

仮説は分析の第一歩。分析というとまずグラフ描画がイメージされますが、グラフでわかるのは、折れ線なら時間を追った推移、棒なら対比といった具合に、何かと何かの比較です。比較をするには比較対象をピックアップする必要があります。だから仮説のないところから意味のあるグラフなんか作れないのです。

同様に、仮説は意思決定の第一歩でもある。ベストプラクティスと言えば聞こえはいいですが、目標に対しただ漫然と良さそうな策を取るのは意思決定ではありません。目標達成のために複数の選択肢を用意、その選択肢の最適な組み合わせを常に検証しながら選び取るのが本当の意思決定。つまり、仮説のバリエーション、的確さ、スピードが、意思決定の質を左右します。

Excel はきっちりとした分析もできますが、冒頭のような、かなりあいまいな仮説設定にも使えます。2つのデータの関連性を見るには、相関係数や分散を算出してもいいですが、単なる折れ線グラフの目視確認でもかまわない。2つのデータテーブルを、キーとなる列で連結してもいいですが、とりあえず名前でソートして横に並べたっていい。関数を知らなくてもウィザードである程度は組めるし、VBA を知らなくても Excel の操作をマクロとして記録してしまえば面倒な繰り返し作業も自動化できる。だからこそ、Excelは、利用者の技術レベルを問わず、その人の仮説力を鍛えてくれるのです。だから皆さん、頭の中だけで考えてないで、どんどん Excel を使ってみましょう。きっと働き方が変わってくるはずです。

オマケで、ちょっとした製品のご紹介をしますが、無償アドインなので許してください。Excel にデータマイニングの機能を追加してくれる Data Mining Add-ins for Office というツールが、無償ダウンロード提供されています。データマイニングとは、情報の塊に存在するルールを見つけ出すという行為。これ、仮設設定の補助ツールとしてとっても便利です。詳細は製品サイトをご覧いただいてもいいですし、11月30日 (金) にお台場のホテル日航東京で開催予定の Microsoft BI Conference 2007 Autumn でもご紹介しますので、興味がある方はぜひ参加登録をしてください。

使い古された例ですが、週末のウォルマートで、ビールと紙おむつが同時に売れる傾向を見つけた、というのがデータマイニングのベストプラクティス。アメリカの紙おむつ、とくにウォルマートにおいてあるやつなんて、巨大なので車じゃないと持って帰れない。だから週末になると奥さんに頼まれたダンナが、会社帰りにウォルマートで紙おむつを買って帰ります。その時ダンナは紙おむつだけじゃなくて、ついでに自分用のビールもケースで買って帰るというわけです。そこでウォルマートは紙おむつコーナーとビールコーナーを近づけ、ビールの売り上げを伸ばしました。この同時購買傾向を見つけるためのマイニング技術が 「マーケットバスケット分析」 だとか 「アソシエーション分析」 と呼ばれるもの。もちろんこれ以外にも、いくつものマイニング技術 (アルゴリズム) がありますが、大量のデータに基づいて確率計算を行い、分類したり推測したりするのがマイニングの本質です。

マイニングは技術的には明らかに高度なのですが、Data Mining Add-ins for Office が利用者にとっての敷居をすごく下げました。実際にはネットワーク上のどこかに SQL Server 2005 Analysis Services というサーバーのマイニング エンジンを使うのですが、Excel の表をまるごとマイニング エンジンに飛ばして計算、結果を Excel に返してもらう、という仕掛けなので、利用者は Excel のデータを用意してボタンを押すだけ。上記のアソシエーション分析もできますし、時系列予測もできます。日々の意思決定のちょっとした仮説設定に使う分には、精度よりもスピードのほうが重要なので、Excel だけでできるこんな簡単な仕掛けが重宝するのです。

一般的なビジネス シーンにおけるマイニングの可能性についてはまた機会を改めてご紹介したいと思っています。ツールの使い方などは 「マイクロソフト BI チームのブログ」 で連載していますので、そちらも参考にしていただければと思います。

最後に念のためMicrosoft BI Conference 2007 Autumn ではこのマイニング ツールだけでなく、Excel を中心とした手軽な BI、パフォーマンスマネジメントやスプレッドシート統制をテーマとした製品技術やユーザー事例セッションなどを予定しています。そういう分野にも興味のある方は、ぜひ参加登録 (事前登録制です) してください。

米野宏明@マイクロソフト

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