心の境界線と意思決定の関係性

米野宏明(Hiroaki Komeno) 2007-11-20 15:11:02

人はみな、境界線を作ります。国境、文化、宗教など、複数の人間がグループを作り、ほかのグループとの間に線を引いていくと、自然とその線はぐるりとグループを取り囲みます。国境みたいに明確なものでなくても、企業と顧客の間にも境界線があるし、企業と企業の間にも境界線がある。人と人の間にも心理的な境界線がある。

そしてこの境界線は論理的な線じゃなくて、物理的な 「幅」 を持っています。どっちつかずのある意味非武装地帯、味方だと思っていたらある時突然相手に寝返っちゃうような人が立っていたり。私も製品マーケティング担当なんて役回りなものですから、たまにそういう目にあいますよ。製品の責任者連れてきましたから、たっぷり文句言ってやってくださいなんて。おいおい、少なくともお前はそっち側じゃないだろう、と心で思いつつも、そんなことお客様には関係ないことなのでぐっとこらえますがね。

今回は、この境界線の守り方次第で、人の意思決定パターンって変わりますよね、というお話。この幅のある境界線を、踏むのか踏まないのか、踏んでさえいれば少々はみ出ていてもいいのか。

組織や人の間にも境界線がありますから、境界線を踏まないようにしていると、実は接点がなくなったりします。あいまいな境界線のさらに内側、自分の気持ちいいエリアを守ることだけに執着することになる。こうなるとロクなことないのは皆さんご承知のとおり、でも案外自分のことは気付かないもの。社内のどこかの部門がこんな感じだと、他の部署からは、あそこは伏魔殿だからさあ、なんて陰口たたかれますが、本人たちはやっぱり気付かない。その範囲内では結構気持ちいいことも多いから、従業員満足度も意外と高い。でも積極性のある優秀な人材は次第に外に流出しちゃうし、他の部署ともあそことだけは組みたくないなんて思いますから、結局はダメになりますけどね。皆さんの会社にだって、1つや2つ、そんな部署あるでしょう?

これが顧客接点に立つ部門だったり、会社全体だったりするとかなりタチが悪い。最近、「伝統のある」食品会社の不正が相次いで報告されていますけど、つくづく、こういう境界線がもたらす悪弊なんじゃないかと思う次第です。だてに伝統があるものだからどうしてもそれを守りたくなる。今年から発行されるミシュランガイド東京でも掲載された店すべてに星がつくのは史上初、掲載点の星の合計数も最多だそうで、そんな成熟した食文化の日本において、味だけで勝負するのは大変ですから、よけいに守備陣形を組むわけです。そうすると、その組織独自の正義が生まれてくるのでしょうね。顧客や社会といった外界との接点まで出ていこうとしないものだから、本人たちにとってはいたって大真面目な意思決定であっても、外から見ると非常識極まりない。

つまり、正常な意思決定を維持するには、境界線を踏み越える努力が必要なのです。あまりはみ出ても鬱陶しいと思われちゃうかもしれませんが、でも外に対して自分の知見を提供できるかもしれないし、客観的な視野で自分を見ることもできる。以前も書きましたように、個人にはどうしても経験則によるバイアスがかかってしまいますので、いくら情報が入手可能でも、結果的に自分に都合のいい情報しか集めなくなり、それがその人の正義になります。だから、半径 10m 以内に座っている仲間と飲みに行っている暇があったら、もっと大胆に利害関係の海に出て行って、自分の視野を鍛えたほうがいいのではないでしょうかね。あなたの会社、あなたの組織が 10年後存続している保証なんてどこにもないのですし。

追伸:

いよいよ来週11/30 (金)、Microsoft BI Conference 2007 Autumn の開催です。私の担当する Office PerformancePoint Server 2007 のお披露目会。毎回しつこくてすみませんが、ぜひご参加を !!

米野宏明@マイクロソフト

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