まったく詳しくないサッカーの話ですが、なぜ日本選手は相手ゴールキーパーの目の前までボールを持ち込んでおきながら、すぐ後ろ向きにパスするのでしょう。またも露呈した決定力不足、なんて言われますが、無いのは決定力ではなくて、決定しようとする意思のほうじゃないか、と思えてきます。
意思決定とは、選択すること、だと思います。GO か STOP か、右か左か、を決断すること。だから、「行く」「止める」 決断をすることが意思決定であって、「行かない」「止めない」 は意思決定とは言えない。そして複数の意思決定を、短期ではなく 「最終的に」 最良の結果がもたらされるように組み立てた経路が 「戦略」 となります。だからこそ戦略はあくまで 「仮説」 でしかなく、個々の意思決定がもたらす短期的な結果をチェックして、仮説が正しいかどうかを検証、全体最適となるように問題点を適宜修正していかなければなりません。時間の流れは逆向きにはなりませんから、実際の行動は、定めたゴールに向かって意思決定を順に積み上げていくしかありませんが、最終ゴールは固定されているものですから、そこに向かって常にその意思決定のツリーを組み立て直していかなければなりません。
戦略的思考能力とは、この意思決定ツリーを組み立て修正していく能力のことなのでしょう。いわゆる戦略論では、3C だの XX マトリックスだの、いろいろなツールが用意されていますが、これらは意思決定ツリーのノード、つまり戦略オプションを見つけ出すための道具です。でも、意思決定ツリーを常に修正していく能力は、ツールだけでは養えないのではないかとも思います。それに日常の意思決定においてはいちいち XX 分析などしてツリーを作り直している余裕はありません。目指すゴールに到達している自分、そうなる直前にはどうなっていなきゃいけないか、またそこに至るまでには ・・・ と常に逆向きに考えておかないと、道を見失ってしまいます。
上司受けしそうなベタな表現をすれば 「成功を信じて泥臭く頑張る」 となりますが、その実は 「ゴール達成に必要な条件を揃える」 ということです。ハードルの高いゴールが設定されたとき、この思考の方向は結果に大きな差をもたらします。意思決定を順に積み上げていくだけでは、1つ目の意思決定が思った成果を出せなかったとき、その時点でゴールまでの進路を見失ってしまい、全く別の進路を一から探ることになります。しかし逆向きに 「戦略的に」 考えてあれば、次の段階に到達するための別の手段を 1 段階分だけ探せば済みます。極論、その高いハードルの達成を信じているかいないかなど関係ありません。達成するための戦略オプションを設定するだけの話です。でもそのロジカルな思考がもたらす結果は、エモーショナルな行動よりもゴールに近づくことになるでしょう。
年配の世代では泥臭いことが好感を得たり、若年の世代では泥臭いことがかっこ悪いとされたり、双方気持はわからないでもないですが、双方とも戦略的思考とは言えません。成功を愚直に信じるだけでは行動は変わりませんし、美しいフレームワークを信奉するだけでは微調整に必要なノイズは拾えません。成果を出すべき行動を選択する、ことが重要なのであり、そのためには常に最終ゴールから現在につながる意思決定ツリーをイメージし続けることが必要なのではないでしょうか。
ズブの素人の私には真実のほどはわかりませんが、サッカー選手はゴール目前で相手ディフェンダーに阻まれた段階になって、「シュートできないし抜けないし、じゃあ味方に渡そう」、ってパスしているのかなあ、なんて思いながらテレビを見ています。90分で 1、2点しか入らないってことは、シュートできなくて抜けないのが普通なはず。そんなの他人に渡しても、渡されたほうが同じマインドだったら、単に不確実性が増すだけじゃないんですかね。もし全員が、最終的には自分がゴールすることを最終目標として行動の選択をしていれば、同じシーンでもだいぶ結果が変わってくるんじゃないのかな、なんて思った次第です。間違っているかもしれませんけども。
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