BI スキル不足という課題

米野宏明(Hiroaki Komeno) 2008-06-02 23:31:58

先週水曜日、ガートナー ビジネス インテリジェンス サミット 2008 のベンダー パネルディスカッションという企画に登壇してきました。ガートナーの堀内バイスプレジデントのファシリテーションで、オラクルの三澤執行役員、SASの宮田執行役員、そして私。イカン、私だけが下っ端だ!ま、マイクロソフトは下っ端でも BI が語れる、と、よきにとらえてください。

ところでベンダーがメインのパネル、ガートナーではあまりない形式だったので、いったい会場はどんな反応を示すのだろうと思っていたのですが、予想以上に全くもって質問が出ず。ひょっとして面白くなかったのでしょうか?そのうちアンケートがあがってくるでしょうが、ちょっと心配。まあ私としては、スポンサーでも何でもないのにご指名頂いたわけなので、それだけで十分かと思ってはおりますが。一方、先週月曜日に同じく主催者から呼び出されて参加した BSC 研究会のセッション&パネルディスカッションは、規模が50名程度ということもあり、かなり活発に質問が出ました。こちらはテーマもはっきりしていますから単純な比較はできませんが、やっぱり人数や場の雰囲気で質問の数が全然違ってきますね。以前のエントリーにも書きましたが、アメリカあたりだと規模や空気に関係なくバンバン質問が出ますが、実のところ 8 割がたはマヌケな内容です。でも残りの 2 割分はまともなわけで、終わってみればけっこう質問出て面白かったよね、なんてことになります。皆さんもそういう機会ではぜひ積極的にご質問ください。誰がどんな質問したかなんて誰も覚えちゃいませんし。

さて、本エントリーのタイトル 「BI スキル不足という課題」 はそのガートナー BI サミットにおけるディスカッション項目の 1 つです。企業ユーザーが BI をいま一歩使い切れない理由として、「BI スキル不足」 があると。もちろんその場合のスキルとはツールの使い方の話じゃなくて、どんなデータをどう分析して何を得るのか、という思考能力の問題。堀内さんいわく、これは実は日本特有の話ではなく、欧米各国でもやはり BI のスキル不足は問題になっているそうなのです。

ゴメンナサイ、実はあんまりちゃんと覚えてませんが、各ベンダーはこのスキル不足を解決するために何を手伝ってくれるのかというお題に対して、他の 2 社は、業務プロセスと密連携した BI を展開することでスキルのギャップを埋める、ようなことをおっしゃっていたかと思います。私はと言えば、マーケティング スキルなど最終的に得たいはずである結果を導き出すためのトレーニングを提供しますという話と、(ガートナーが提唱するBI コンピテンシセンターのような組織を作るのは1つの解決方法なんだけども)せっかく企業内にいろんな役回りの人がいるんだから、同じデータや文脈(=戦略情報)を中心にそんなプロフェッショナル達の知恵を共有できれば組織全体ではスキルが最適化できるんじゃないの、という感じのお話をさせていただきました。

おそらく相対的に日本人よりも情報リテラシーが高く、IT ツールをどう使いこなしてやろうというアイデアにも富んでいると思われる欧米人をしても BI スキル不足を認識しているのであれば、それはツールやら業務プロセスやらを超越したところに問題があるはずです。環境によらず共通する問題として考えられるのは、個人的には 「情報量の爆発」 であろうかと思います。あまりに雑多な情報を簡単に入手できるようになったからこそ、その中に重要な宝が眠っていることはなんとなく理解できても、どこから掘り始めれば辿り着けるのか分からないのだろうと。

分析って基本的に仮説検証手法ですから、仮設を立てるのが大変ということです。仮説を発見するためのデータマイニングなんてのもありますが、よほど構造化されたデータを大量に蓄積しないと意味がないのですが、大方のデータは(一説には8割がた)構造化なんてされてませんから。構造化するにはモデルが必要、モデリングとはノイズを排除して標準化することですから、結局そこから導き出す結果を先に仮説として持っていないと構造化できないので、がんばってホストからデータ抽出して CRM のデータ足して DWH 作ってみたんだけど、結局単なる販売履歴参照データベースでしかなく、じゃあ ISAM ファイルのまんまでよかったじゃん、なんて話にもなるわけで。そんなこと壇上でグダグダ考えていたら、他の登壇者の発言をすっかり聞き逃しちゃいました。

裏を返せば、ナレッジワーカー個人としては大きなチャンスかもしれません。BI と聞いただけで敬遠されがちですが、普段のビジネス分析なんてグラフ解析で十分、グラフの種類も棒グラフ、折れ線グラフ、パイチャート、レーダーチャートぐらい知っていればだいたい OK です。むしろファイナンスとマーケティングの知識をちょっとかじっていれば、結構いろんな仮説設定手法が身につきますし、少なくとも現状では強力な差別化要因になると思います。今後このあたりのトレーニング提供もしていきたいと考えておりパネルディスカッションでもその旨の発言をしたわけですが、皆さんもまずは手っ取り早く書店で MBA の本など漁ってみてはいかがでしょう?仮説設定がちゃんとできれば分析なんてほとんど終了しているようなものですから。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

2件のコメント
  • kome

    主なフレームワークを一通り抑えるなら、グロービスの MBA xx シリーズは、ちょっと教科書ガイド的ですが、よくまとまっていてわかりやすいと思います。ただ、フレームワークは知っていても即役立つものではないので、骨として理解したうえで、業務や業種内容にあった分野で深堀りしていくといいのではないでしょうか。その手のビジネス書にはたいてい参考文献が後ろについていますので、それを検索してみてレビューや評価を見ながらたどっていくと、自分に合う本に出会えるかもしれません。もうちょっと平たい、発想転換のための読み物としては、ジョエルバーカーさんの「パラダイムの魔力」、スティーブンレヴィットの「ヤバい経済学」、内田和成さんの「仮説思考」「論点思考」が読みやすくてお勧めです。

    仮説テンプレートは、残念ながら見たことがありません。仮説は、解くべき問題が、こうしたら解けそうだという式を作るようなものですが、解くべき問題も式の定数も項数も時々刻々と変わりますから、自分であたりをつけて試してみるしか方法がないと思います。ただ、その時にフレームワークが役立つ場合があります。個人的には、3C、4P、5 Force が好みです。SWOT は人に説明するレポート以外に使えたためしがありません。

    2010年02月22日

  • ZeroKnowledge

    >>MBA の本など漁ってみてはいかがでしょう?

    お勧めがあれば教えてください。

    >>仮説設定がちゃんとできれば分析なんてほとんど終了しているようなものですから。

    分析のための仮説のテンプレートがまとまった書籍などあるでしょうか?

    2010年02月22日

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