シンクライアント・システムは機密性を確保できるだけでいいのか

呉井嬢次(Johji Kurei) 2005-10-20 10:30:00

 PSPでPDFファイルを読んでいる。そういえば今年初め、国内メーカーが社内の情報セキュリティ管理を強化する為に、シンクライアントPCを導入するニュースが報道された。しかし、情報を囲い込む手法に注意しないと企業は自ら情報鎖国を行い、時代遅れになる可能性がある。

新しい情報技術の導入は賞賛に値する

 情報システムに限らないが、既存の仕組みから前例の少ない新技術や新手法に置き換えるには、リスクが伴う。省庁のレガシーシステムが、新システムへの移行に躊躇して、入札ではなく随意契約によって毎年10億円以上の税金を支払い続けている事実が問題となったことは2年前。
 旧式(レガシー)システム改革指針
 http://www.sia.go.jp/mhlw/shingi/2003/10/pdf/s1022-1g.pdf
 内閣府本府電子政府構築計画
 www.e-gov.go.jp/doc/030717/04cao.pdf

 一度システムを導入すれば、システムを一新することには強い意志が必要だ。過去に、ウインドウズに対抗してネットワーク・コンピューターという言葉が話題となって、企業や大学に導入されたことがあった。見事に大失敗し、普及しなかった。そんな過去を知る人が多いこの業界で、シンクライアント・システムの導入を表明したことはとても評価すべきだろう。

今の時代、情報にアクセスできる場所を固定できますか

 モバイル、フリーアクセス、在宅からの遠隔操作によって、必要な情報を本人であればアクセスを許可できるサービスが登場している。大学では携帯電話から休講案内、欠席届けのサービスが可能となっている。在庫状況、上司の予定表を社外から確認して仕事に役立てる企業だってある。シンクライアント・システムによって情報を囲い込むことは可能だ。限られた範囲の個人情報や機密情報の漏えいを防ぐことはできるだろう。しかし、企業が活発に活動する為に必要な、利便性を失い、最新情報がインプットされず、「情報鎖国」に陥ることになる危険性を経営者は認識すべきではないだろうか。

ゲーム機からも情報を閲覧できる時代

 限定されたハードメーカー、OSメーカーに依存しなくては、企業の情報にアクセスできない時代は終わりつつある。極端に言えば、ゲーム機からでも企業のネットワークにアクセスできる時代がやってくる。もちろん、本人であることを認証した上での話だ。例えば、電子文書の書式として利用されているPDFファイルがある。これも、ソニーの携帯ゲーム機であるPSPを使って閲覧できる。閲覧ソフトウエア(BOOKR)は無償でダウンロードできる。

 PSPでPDFファイルを閲覧できるBOOKR
 http://sourceforge.net/projects/bookr/

 既存の通信機能を組み合わせれば、情報のアクセス場所を選ばない未来が見えてくる。会議室ではアドホックモードで、社内資料(稟議書)を共有し、決議はPSPの「マル」ボタンを押せばいい。会議の結果はネットワークを経由して関係者に伝えられる。電車の中ではゲームをプレイしているように見えても、実は仕事をしている、そんな時代は、すぐそこだ。

シンクライアント・システムで十分な業務もある

 もちろん、シンクライアント・システムで事足りる仕事もある。図書館に設置された検察、閲覧、申し込み等のシステム、工場内の生産管理など場所が固定されれば問題は少ないだろう。ネットワークが普及した今、それを活用せず、固定化することによるデメリットを考える時期ではないだろうか。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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