中小企業庁の事業継続計画策定運用指針

呉井嬢次(Johji Kurei) 2006-02-25 06:56:00

 中小企業庁は17日、中小企業向けに事業継続計画(BCP)策定運用指針を公表した。これまで省庁が発表する情報セキュリティに関するガイドと一線を画しているのは、とても具体的に書かれている点だ。改めて昨年7月に内閣府が発表した事業継続計画ガイドラインと比べると、内閣府は俯瞰的な読み物に映る。具体的に企業はどう作ったらよいのか、肝心な点を知りたいと思う人には、参考になる。また、既に事業継続計画を作成している企業は、自己申告(登録する必要あり)すれば中小企業庁のホームページに掲載される。対外的なアピールにも活用できるかもしれない。

BCPの事例が豊富な米国

 BCPが役立った事例は米国に多い。9.11テロ、地震、大停電によって企業は危機を乗り越えているからだ。日本でも大地震、停電などが起きているが、目に見える直接的な被害が大きく報道されてしまう。企業がいかに事業を継続して顧客の信頼を確保し、破綻せずに多くの従業員を守ることに努力しているのか気づかない。時が経てば災害で亡くなった人は偲ばれる。経営者は、会社を成長させることに忙しくなり、潰れた企業から教訓を再びとることはない。日本ではBCPが実際に役立つことを裏付ける調査すら行われていないので、裏づけが難しいこともあるだろう。

 しかし、米国ではこんな事例がある。1990年代に起きたコンピューター2000年問題で米国企業はBCPまで策定した。その後9.11テロが発生した。テロに遭遇した時、コンピューター2000年問題の時に作成したBCPに基づいて企業は事業を継続させた。企業はテロの危機を無事に乗り越えることができた。また、ロスの大地震の時には、地震直後ではなく、地震後半年経ってから多くの企業が破綻している統計からBCPの重要性が改めて注目された。

 人命、建物は地震直後にダメージを与えるが、企業はジワジワとダメージを与える。まず、手持ちの現金がなくなり、新しい仕事を受注できず、だんだん資金繰りが悪化して破綻する。直後よりしばらく経ってから破綻する企業が多い原因はここにある。

中小企業のBCP対策が急務

 大地震によって国が潰れることはないが、企業の破綻は無視できない。既に大企業の多くがBCPを策定しているが、問題はBCPを作るノウハウがない中小企業だ。そこで中小企業庁が企業の実情に合わせて用意したのが事業継続計画(BCP)策定運用指針である。同サイトには、基本・中級・上級の3コースが用意されており、基本コースでは2時間あればBCPを作ることができる。基本コースで十分とは言えないが、経営者にBCPの重要性を認識させることはできる。

参考URL
中小企業BCP策定運用指針
 http://www.chusho.meti.go.jp/bcp/index.html

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