雑務的な仕事をITはサポートできるか

前川賢治(Kenji Maekawa) 2007-09-03 17:57:24

 前回は、メールでのコミュニケーションが爆発的に増えた結果、もたらされている「情報の洪水」について触れました。

 もちろん、メールが業務を圧迫している状況に、このままじゃイカン、なんとかせねば、と考える企業もようやく見られるようになっています。たとえば、会議資料の更新のたびにメールを送るのをやめ、ファイル本体は添付せずに共有サーバーの保存場所のみを連絡するように指導したり、インスタントメッセンジャー(IM)を導入して、昔なら伝言メモや電話で済ませていたやりとりをメールで行わない、といった使い方があげられるでしょう。けれども、そもそも情報整理の考え方や仕組みをどうしていくのか、まだまだ始まったばかりのように思います。

 僕たちの日々の仕事や業務シーンでどんな情報を扱っているのか整理してみると、いわゆるルーチンワークと呼ばれる定型業務と、それ以外の非定型業務とに分けることができます。イメージ的には毎日が定型業務ばかりのようですが、とくにホワイトカラーの場合は、例外的な仕事が多くの時間を占めているのが実態でしょう。

 たとえば、商品の入荷が遅れたり伝票のミスが見つかれば担当者はそれまでの仕事を棚上げにしてでも速やかに対応しなければなりませんし、会議日程の調整や会議資料を事前に準備したり、マネージャともなれば部下から不定期に上がってくる稟議書や旅費清算の承認などもしなければなりません。

 雑用ではないんだけれど、でも本来の自分の仕事とは少し違うなー、という業務に追われながら一日が終わっていきます。僕の専門であるプログラム開発ではステップ数の8割近くが例外処理に充てられますが、毎日の仕事も本当にそんな感じがします。

 こういった日々の仕事を区分してみたのが下の図です。縦軸は定型(Routine)か非定型(Ad-hoc)かを表し、横軸は主業務(Core)か付随業務/雑務(Misc.)かを表しています。

gyomu.gif

 規模は違うにせよほとんどの企業で稼動している基幹業務システムは、一般に水色の「Routine=Core」の部分を担っています。

 一方、残りのオレンジの部分は、人が関わる非定型な業務であって、情報や業務フローを構造化できず、情報整理がほとんど行われていません。日本人ならではのあうんの呼吸や担当者個人の頑張りで対応しているのが実態です。そして、メールの爆発的な増加に代表される「情報の洪水」が起こっているのも主にこの部分です。

 これまでは、水色の部分の業務をITで効率化して、どんどん仕事が楽になっていくはずだったのに、いつのまにか、水色の部分から生み出されている莫大な情報の処理のため、僕たちの時間が圧迫されている状況が起こっています。

 このオレンジの部分をなんとかできれば僕たちの日々の雑務の効率はずいぶんと上がっていくに違いありません。「情報の洪水」を引き起こしているのがITなら、同じくITをうまく利用して、人が情報を活用しやすいように、整理・共有することが求められているのではないでしょうか。

 

 

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前川@ドリーム・アーツ

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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