情報共有は自律の気持ちで

前川賢治(Kenji Maekawa) 2007-09-07 13:33:09

 「情報共有」という言葉が叫ばれるようになったのは、確か1990年代半ばだったように記憶しています。企業内にLANが設置されパソコンが一人ずつに割り当てられるようになった当時、Windows NTやNovell Netwareを使ってファイルサーバーを構築し、部門内でファイル共有することが、先進的なIT活用法のひとつとして謳われました。

 その当時から10年以上が経過したいま、あらためて「情報共有」を考えてみると、ITシステムによるサポートはもちろん必要としても、それ以上に重要なのが企業文化、風土であり個人の意識ではないかということを感じています。

 少しばかり堅い話で恐縮ですが、当社は社是に、個人個人が自発的に自分でモノを考える会社を目指すという意味で「自律」という言葉を掲げています。

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 この「自律」の精神こそが情報共有に必要だと思うのです。

 自律的な文化が企業になければ、どうしても情報は上意下達、いわゆるトップダウンでしか伝わらなくなってしまいます。以前の日本企業では、終身雇用というシステムが働いていたこともあって、フォーマルとインフォーマルの両面で技術や情報が先輩から後輩へと伝承されていました。飲みニュケーションなんて言葉も懐かしく思い出されますね。改善提案に代表されるQC活動も活発で、会社や業務を良くしていこう、という気概にあふれていました。

 その後、社会が数字ばかりを追い求める風潮になってそういう精神も失われてしまい、営業マンなどは、なかなか自分の情報を同僚に教えたがらなくなりました。上司に提出する日報や週報も体裁を取り繕ったものになりがちじゃないでしょうか。社外の営業責任者のかたとお話する機会も多いのですが、皆さんから同じようなボヤきが聞かれます。

 ただ、今の世の中、決められた物を決められたやり方で売れる時代ではありませんよね。自社が持つ製品や技術を組み合わせて、ソリューションとして顧客に提案していかなければなりません。多くの製品を詳しく理解するためにも、また、受注に成功した事例や失注しまった事例を理解するためにも、お互いの情報共有が欠かせなくなりました。

 ではどうするか。最初の一歩はそんなに難しくないと思っています。たとえば日報や週報を壁に掲示してみたらどうでしょうか。いろんな人に読まれるとなれば、形式的に取り繕うわけにはいかないので、いきおい正確に書くようになるでしょう。掲示エリアで立ち話をしながら意見や事例の交換をしたり、顧客の要件に技術的な課題があったとしても、開発部門の担当者と情報が共有されれば、解決策を探ることができます。情報共有は「課題共有」へと発展していくわけです。

 縁あって、当社が顧問をお願いしているローランドベルガー取締役会長の遠藤 功 氏も、ベストセラーとなった「見える化」や「現場力を鍛える」(いずれも東洋経済新報社)で、同様のことを書かれています。

 このような単純な「見える化」を通じて自律の精神が生まれてくれば、情報共有の第一歩としては成功ではないでしょうか。

 

 

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前川@ドリーム・アーツ

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