「アナログ」の強い企業が生き残る

前川賢治(Kenji Maekawa) 2008-02-29 13:04:05

 写真が好きな知り合いに聞いた話では、デジカメの急速な普及によって、昔ながらのフィルムを使った写真、いわゆる「銀塩」写真はかなり壊滅的な状況にあるんだとか。銀塩文化は150年続いたけれども、フィルム生産などの設備を維持できる最低量を消費量が下回るようなことがあれば消滅してしまうのではないか、などと危惧していました。

 CDの登場でレコードやレコード針も同じような運命を辿ってきましたし、VHSビデオはあっという間にDVDレコーダーに取って代わられました。

 アナログからデジタルへの切り替わりは、こういった記録媒体だけではなく、日常生活や仕事にも及んできていることは、あらためて説明するまでもないでしょう。

 ただ、今の社会って、ちょっと怖いなーと思うときがありませんか?

 たとえば、人はたくさんいるのにキーボードとマウスのクリック音しか聞こえてこないオフィスとか、電車に乗ったら前の座席の人が全員ケータイやゲーム機を使っていたとか。

 メールで連絡するのが当たり前になっちゃってて、丸一日、社内の誰とも会話を交わさずに会社から帰宅する人もいる、なんて話を聞いたことがあります。コンビニのレジで「お弁当暖めてください」が一日の会話のすべてなんていうんじゃ、冗談きつすぎますよ、ホント。

 デジタル技術が生活に入り込んで、確かに便利にはなったと思うんですが、主客が転倒して社会性が失われるようなことがあっちゃいかんと思うわけです。

 僕なんかがとやかく言うこっちゃありませんが、パソコンにかじりついているよりも、違う部署の人と立ち話をしたり、製造現場に行ってみたり、あるいはお客様のところに雑談でもいいから訪問したほうが、得られてくる情報の鮮度はまったく違うんじゃないんでしょうか。

 「現場力を鍛える」、「見える化」(共に東洋経済新報社)などで著名な遠藤 巧 先生(ローランド・ベルガー取締役会長)は、縁あってドリーム・アーツの顧問をお願いしていて、毎月のように意見交換をしているのですが、企業活動の源泉は現場の創造力にこそある、中期経営計画書や本社の会議室にあるのではない、と論じられていて、まさにそのとおりだと思うわけです。

 お客様のプロジェクトの追い込みやトラブル発生時に、部下だけを客先に行かせて報告を聞いて済ませることだってできるわけです。ですが、あえてマネージャ自らが現場に出ていくことで、そこで起こっている問題であったり、ニーズの本質がつかめてくるわけですよ。フィルタを通っていない生の情報ですから鮮度が違うし、判断に要する時間だって短くできる。

 メールも読まにゃいかん、返事も書かなきゃいかん、部下の報告書も添削せにゃいかん、などなど、マネージャが腰を上げたくない理由はいくらでも見つけられると思うのですが、そういうところにこそデジタルを活用してパッパッパと終わらせて、現場にどんどん出ていって欲しいと思いますね。

 要は、これからの企業は「アナログ」の力が効いてくるんじゃないかと思うわけです。ひたすらパソコンに向かうんじゃなくて、人とコミュニケーションする、現場に出て行く、お客様と対話する、創造的なアイディアを練る、といった良質な「アナログな時間」をどんどん生み出していくべきじゃないか。

 実は、そのための仕組みとしてデジタルが有効なんです。デジタルを上手く活用して、「アナログな時間」を取り戻し、さらに質を高めていく。人が本来取り組むべき主業務に注力する。当社はそんな思いで、いわゆる企業情報ポータルではなく、一歩も二歩も進んだ「ビジネス・コックピット」が必要だと考え、製品づくりに取り組んでいます。

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前川@ドリーム・アーツ

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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