オープンソースと後継者問題

opensource 2007-02-05 19:54:13

 コンピューティングの歴史は、起業家の歴史でもある。

 Thomas J. Watson氏からKen Olsen氏、Ray Noorda氏、Steve Jobs氏、Bill Gates氏、Michael Dell氏に至るまで、傑出した起業家は多い。

 どの人物も、コンピューティングのあるべき姿について独自の視点を持ち、それを企業文化に取り入れてきた。だが、そうして培われた企業文化も、創設者がバトンを後任者に渡したあとは、大きな問題を抱えるようになった。

 例えばIBMは、1970年代から80年代にかけて著しく低迷し、次々現れる「先見の明を持つ新世代」に劣勢を強いられた。Gates氏のIBMに対する勝利は今もウォール街の評価に影響をおよぼしており、その証拠にMicrosoftの時価総額はIBMの2倍となっている。

 一方のオープンソースには、そうした時代を代表する起業家が存在しない。Linus Torvalds氏やBruce Perens氏やRichard Stallman氏のビジョンは、企業文化の外側に向いている。オープンソースは王国を築くためのものではなく、民主主義を促すものなのだ。

 これはつまり、オープンソースは、ほかの技術企業を脅かしている後継者問題に悩む必要がないことを意味する。Dellでは、結局創立者のDell氏がトップに返り咲いた。Gates氏も、今一度Microsoftの顔になった。Appleだって、Jobs氏の存在なくしては語れない。

 しかしながら人には寿命があり、だれしも必ず老いていく。生命に関する実に当たり前の事実だが、技術企業にとってはこれが弱点であるようだ。創立者と同等の能力を持つ後継者を確保することは、技術企業にとって必須であるにもかかわらず、ほとんど実現できない至難の業なのだ。

 オープンソースがこうした問題で窮地に陥ることがあるだろうか。Torvalds氏でもPerens氏でもStallman氏でもよいが、とにかく今日のオープンソース運動を主導していると考えられる人物が、例えば明日バスにひかれたとして(絶対そうならないよう神に祈っているけれども)、オープンソースはこのままうまくやっていけるだろうか。

 もちろんやっていけると、わたしは思う(ごめんなさい、Torvalds氏)。この点こそが、プロプライエタリに対するオープンソースの最大のアドバンテージだ。

(Dana Blankenhorn)

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