メタバースの可能性

secondlife 2007-11-22 08:00:00

あたりはすっかり暗くなっていた。

このセカンドライフにもSL時間というものがあり、朝日も出れば、夕陽も沈む。

そして今はもう夜になっていた

彼女のあまり表情のないアバターの顔を見ていると時々じれったくなるが、

俺は次に出てくる言葉をじっと待っていた。それこそが、俺が今聞きたい質問だったからだ。。。

あたりには彼女のタイピングをする音と波音が響いていた。

「アメリカが撤退……そうね、あなたが何を思って支店を作りたいのかは分らないけど、別にアメリカで企業がセカンドライフから撤退しようが、日本で企業島が増えようが、そんなの私達にとってはあまり関係ないわ。SLバブルって騒がれてるみたいだけど、私たちは作りたいものを作るだけ。お客さんが増えるのは嬉しいけどね」

なるほど。と、俺はケリーの言葉に頷いた。

バブルはビジネスマン達が言っている戯言。

ケリーのようなクリエイター達には関係ない。そんな風に感じているのだ。

セカンドライフは中にいるアバター達にとっては仲間とお喋りする場であり、色々なものを作ったり生み出す場であり、バブルがはじけたからといって仮想世界が無くなるわけじゃない。

それは、もしセカンドライフがなくなったとしても、だ。

今、SL以外にも仮想世界は続々と増えつつある。

この流れはクリエイターから取ってみれば当然の流れで、生み出す喜びを知ったクリエイターや、同じ空間の中で手軽にコミュニケーションをする喜びを知ったクリエイターから見れば「何処でするか」程度の問題だ。

たとえバブルがはじけたとしても、その流れは着々と息づき、

メタバースの世界は続いていくだろう。

ぼくはこの『仮想世界の無限の可能性』を再度認識した。

一般ユーザーはまだまだこの世界をスムーズに体験することは難しい。

しかしこの流れが続く限り、決してこのビジネスはこれからもっと拡大していくだろう。

「匠、聞いてるの?」

しばしの俺の無言に、ケリーは痺れを切らしたようだ、

「あぁ……ゴメン、で、ケリーは今どこでお店を開いてるの?」

「メインランドの一角を手に入れたの。とりあえずお店のスペースが欲しくて」

「メインランド!凄いな……やっぱり人の流れも違うんだろ?」

「そうとは限らないわ。もしかして、あなたもメインランドを?」

「うーん。まだ何も、ケリーの話しを聞いてから考えようかと……」

正直、俺は何の具体的な案を持っていなかった。

ケリーはそんな俺を見抜くように、少しだけ意地悪に言う。

「メインラインドを探すのなら、気をつけた方がいいわよ。トラブルの話も結構聞くから」

「……トラブル?!」

思っても見なかった答えに、俺はケリーに問いただす。

ケリーはそんな俺が可笑しかったように、少しだけ笑い、

「そうね……まずは土地探しからね」

彼女は、まさに俺の先生だった。

(このブログの著者でもある大槻透世二さんがSecond Lifeでの「ものづくり」を紹介する「Second Life 新世界的ものづくりのススメ」。第32回は、『エンジン1』。こちらもご覧ください)

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

SpecialPR