夢と魔法の国へ

secondlife 2008-01-17 08:00:00

朝の舞浜駅はすでに人でいっぱだった。

クリスマスシーズンも終わり、少し人が少なくなるのを期待していたが、やはり、休日ともなると案の定、家族連れやらカップルで一杯だった。

こどもやカップルの女の子はみな一様に、今にも溢れそうな期待が顔中に一杯だ。そんな顔を見てさっそく気分が高揚する自分を感じた。

俺は電車降りてゆっくりと歩きながら

数日前になぜさくらが俺を誘ったのかを考えていた。

「ディズニーランドはいいマーケティングの教材になるのよ」

さくらはそう言っていたが、、、。

淡い期待を秘めてゆっくりと改札へ向かった。

大学時代でも2人でどこかに行くことはあったが、

こんな楽しいところにさくらと一緒に来る日が来るなんて夢にも思わなかった。まさに、ディズニーランドは俺にとって「夢と魔法の国」だ。

一瞬、昨夜のケリーが最後に語った謎が頭をよぎったが、

それも周りの喧騒とさくらの手を振る姿に打ち消された。

「寒いね。すぐにわかった?」

さくらは普段の仕事用の服を来ている時の印象よりも随分幼く見えた。周りの雰囲気がそうさせるのだろうか。これも魔法なのか。

「ディズニーランドはね、99%がリピーターなんだって。凄いよね〜。私はそんなに詳しくないんだけど、友達がもうはまっちゃって」

最近、この会社に移ってきてから、再会した彼女。

ひょんなことでセカンドライフを知って、彼女も興味をもっていたことから始まったこの小さなプロジェクトに感謝していた。

まだ始まったばかりだけれど、こんなにいいことが早速訪れるとは。

彼女のタイピングじゃないチャットと表情を見ながらそんな事を考えていた。

 

セカンドライフでは表情はわからない。

でも、そのチャット音と“間”からこぼれる感情は確かに現実世界と通じるものがある。昨夜のケリーは確かに最後、悲しいチャット音を奏でていた。自分のアバターと似ていたという前のバーチャル彼氏、その突然の失踪は、彼女の心をいたく傷つけていたようだ。

つい数日前までは知らなかったケリーのことを、なぜかこんな時に思い出していた。

「それでね、その友達は結婚してるんだけど、こどもと一緒に何回もここに来てるんだって。“夢と魔法の国” ディズニーランド 恐るべし、よね。」

なぜ、何回も来るんだろう。同じなのに。

男の俺はよくわからないが、ディズニーランドの魅力はたぶん、

傍のカップルとさくらの友達の主婦がよく知っているに違いない。

うちの会社として展開する予定のSIMも、このディズニーランドのように何度も来て欲しい。そんなことを思いつつ、ゲートに向かって歩いていた。

「あ、あれ見て〜!かわいい。」

さくらは突然、道の傍に立っている小さな銅像に近づいて言った。

それはディズニーのあるキャラクターがポーズをとっている銅像だった。まるでどこかのシーンを切り取ったようなそんなポーズをとっている。

「あ、あっちにもある〜。」

さらに彼女のステップは軽やかになり、

みるみる間に道の傍にあるキャラクターの銅像を往復していた。

こんなさくらは見たことがなかった。これもきっと魔法なのだろう。

マーケティングの教材?

俺はそんな気配もなく写真を撮っているさくらを見ていた。

久しぶりの休日らしい休日、楽しもう。

そう思った矢先、突然振り向いたさくらは、それを裏切るかのように言った。

「さぁ、マーケティング講座の開始よ!」

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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