もしもスティーブ・ジョブズがSOAに肩入れしたら

soa 2006-12-11 19:11:45

 SOAの普及を阻んでいるのは、イマジネーションの欠如ではないだろうか。企業の意志決定者にSOAの可能性とあるべき姿を想像させることのできる人材が、SOA業界には必要なのだ。

 SOAを持ち上げて大騒ぎしているベンダーは数多いが、ある人物の声が聞こえてこない。Apple ComputerのSteve Jobs氏である。パーソナルコンピュータや動画、最近ではオンラインミュージックの世界に革命を起こしたJobs氏なら、同じようにSOAの世界を一新できるだろうか。

 ZDNetでブログを執筆しているDana Gardner氏は、先日の「BriefingsDirect SOA」ポッドキャストでそうしたテーマを取り上げている。わたしも、Mary Jo Foley氏やSteve Garone氏、Jeff Pendleton氏と一緒に議論に加わり、進歩的ではあるが統合失調的とも言えるMicrosoftのSOAに対する姿勢など、SOA分野の最新事情を話し合った。

 Bill Gates氏はSOAを推奨し、「SOA」という単語を実際口に出してもいるが、Jobs氏には、皆がほしいと思っている流行品にそうした技術を組み込んで、販売していく手腕がある。Gardner氏によれば、Jobs氏は「テクノロジーを人々が熱狂的に欲する形へ変えることにきわめて長けている。人々は同氏が提案するものを追いかけるようになる」という。「もしもJobs氏がSOAを販売していこうと思ったなら、SOAという単語を口に出したりはしないだろう」(Gardner氏)

 Jobs氏のSOAはどんなSOAになるのだろう。「MacSOA」か「iSOA」か、それとも「iSOAPod」か「Personal SOA」か。

 ポッドキャスト討論に参加したPendleton氏も、SOAは今よりも魅力的なソリューションとなり、人の心をつかめるようにならなければいけないという考えを支持した。「経営者層は、いずれは資本支出を増やすなどしてSOAに予算を付けざるをえないだろうが、そうした経営サイドの想像力を喚起するような魅力が、今のSOAには欠けていると思う。『アジリティ』だの『アダプティブ』だの『エンタープライズなんとかかんとか』だのといった売り文句ではなく、もっと心惹かれる何かを考え出さねばならない。企業に、『すぐに取り組みを始めないと、当面の競争力を失いかねない技術の1つがSOAと呼ばれるものだ』と考えさせる必要がある」(Pendleton氏)

 「ITはいまだに、とっつきにくく脆弱で、複雑きわまりない存在だ。ほとんどの企業幹部が、ITには関わりたくないと考えているだろう。どこの戦略会議でも、ITを組織の発展を助けてくれるものとして取り上げていない」(Pendleton氏)

 だがそうした企業幹部も、一日中「iPod」を聞き、帰宅すればMacをいじっている。

 Pendleton氏はまた、「問題の根源は、実はITコミュニティの中に存在している。IT業界は何年も前から、人々を驚かせるような最先端科学を用いて、ITを定義しようとしてきた。しかしITは、あらゆる場面で通用する常套句ではなく、日常的なビジネスに関する思考の一部となるべきなのだ」と話している。Gardner氏も、「ITは過大評価されている嫌いがある。コストがかかる割に成果は上がっておらず、金食い虫であるとともに機動力を失わせる要因になってしまった」と述べた。

 もっともわたし自身は、経営側もコンピュータの可能性を徐々に理解しつつあり、ITに対する彼らの理解および評価の度合いを侮ってはならないという意見を持っており、討論の中では次のように語った。「10年前を振り返ってみれば、ITとビジネスの間には確かに亀裂が横たわっていた。だが最近の経営者は、以前よりずっとコンピュータに詳しくなっている。だれもがラップトップやPCを使っていることからも、状況はがらりと変わったと言ってよいだろう。社員にも、コンピュータとともに育った20代、30代の社員が多いはずだ。彼らは、コンピュータがどのような働きをするものなのか、大体においてその原理を把握しているし、ビジネスにどう役立つのかも分かっている」

 一方のIT側でも、IT教育およびトレーニングの一環として、ビジネススキルの向上に重点が置かれ始めているようだ。わたしは定期的に、SHARE(独立したIBMユーザーグループ)が開催しているカンファレンスに顔を出しているが、最近はビジネス関連のセミナーが非常に増えた。大学でも、テクノロジーとビジネススキルを組み合わせて学ぶ講座に人気が集まっていると聞く。理想を実現し、SOAが可能にする未来像を拡大しても大丈夫なほど、市場は成熟しているのである。

 なお、Appleの戦略的な方向性や、これからリリースするであろう「エンタープライズっぽい」製品の分析については、RedMonkのJames Governor氏のブログに詳しい。SOA分野ではそれほどでもないものの、Web 2.0分野におけるAppleの動きはめまぐるしい。

(Joe McKendrick)

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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