次世代のSOA=エンタープライズWeb2.0時代の幕開けの予感(1)

徳田浩司(Koji Tokuda) 2006-05-31 07:30:00

5月16-19日に、サンフランシスコで開催されたJavaOneカンファレンスにプレスとして参加した。急遽参加することになったので準備不足もあり、そのあとの記事作成も含めて1週間ほどべったりと張り付き状態になってしまった。せっかくの機会であるし、読者のフィードバックが欲しかったため、知り合いの日本及び米国にいるIT、金融、VC、コンサルティング、その他関係がありそうな業界の方々に記事を送らせていただいた。突然のメールなので特に感想をお願いしたわけではなかったが、ありがたいことに多くの方々から返信をいただいた。改めてこの場で御礼を申し上げたい。中には、大手企業の経営者の方からシリコンバレー訪問時には会って話をしたいとか、長い間こちらから一方通行だった方からも返事をいただくなどした。直接業務と関係しそうない方からも反応があったりしたため、その返答に追われた。そのため、通常業務の遅れが増幅してしまい、しばらくブログにも手がつけられなくなってしまった。CNet編集部にはお詫びを申し上げたい。幸い、米国では5月29日月曜日はメモリアルデーで休日。3連休であったが、休みを返上して処理を続けて、ようやく落ち着いてきたので、ブログに着手することができることになったのである。

ちなみに、カンファレンスの記事であるが、まだご覧になっていない方は以下の記事をご参照いただきたいと思う。

JavaOneに見るテクノロジトレンド--キーワードは、Web 2.0、SOA、オープンソース

2006 JavaOneレポート--Javaのオープンソース化に反応するSOAベンダーら

日米の産業界の投資トレンド=次世代のビジネスの可能性

しかし、そのおかげでIT分野における、日米の産業界の関心がどこにあって、今後どの方向に向かっているのかがよくわかった。お金の向かう先が見えたからである。産業動向の大きな流れを見るには、お金の流れを見るのが一番わかりやすい。新しいビジネスは、まずは社内のトップを含む誰かの関心や発見があってスタートする。次にそれに基づきビジネスプランが検討・作成され、最後に企業のトップが(重い腰を上げて)決裁を下す。ようやくそれにしたがって資金調達が行われたり投資が行われることになる。投資したあと、ビジネスが育って、何ヵ月後か、何年後かに大きく花咲くものであるから、将来を予測するには、お金の流れ(ベンチャー企業向け投資や企業内の設備投資)を押さえるのが確実だ。ベンチャー向け投資は、失敗を恐れずあえて不確実なものに投資をするわけであるから、その中には将来の大きなビジネスが含まれているのである。もちろん、成功してビジネスとして根づくものがある一方、地に脚つかず失敗するものもある。後者は、ブームのあと縮小するが、後からバブルと呼ばれることになる。

改めて実感した「Web2.0」への関心の高さ

エンタープライズの領域において(私のビジネスの領域がエンタープライズなので、モバイルは対象としなかった)今回のJavaOneのキーワードを、「Web2.0」、「SOA(サービス指向アーキテクチャー)」、「オープンソース」とした。メールの返信の中で圧倒的に多かったのが「Web2.0」のキーワードに対する反応であった。IT、VC、コンサルティングいずれも反応がよかった。特に日本のVCの関心は非常に高く、口々にWeb2.0への投資を積極的に行うという話が出た。その次が「SOA」で、企業向けシステム開発をされている技術者からの反応があった。実際にSOAプロジェクトを立ち上げているというお話もあった。SOA自体が一般的な言葉ではないため、反応は少ないが、逆に、特定の方には強い反応があって、懇切丁寧に技術的な説明もいただけた。実際に携わっているからであろう。「オープンソース」に対しては強調もしていなかったこともあり、また目新しい言葉ではなかったためか、反応はゼロであった。

一方、日本でのWeb2.0への異常な関心に対して、これはバブルだという声があった。そういう冷ややかな意見が聞こえてきたのは、米国在住のベンチャーキャピタリストたちであった。収益モデルが見えないとか、儲けるにはM&Aしかないだろうとか。米国では収益がすぐに出ない企業のIPOが難しいため、シビアな見方をしているのかもしれない。しかしながら、本物を求めて、投資先を血眼になって捜していることであった。

ところで、2000年前後のインターネットブームはバブルだったのか?確かに、つぶれたベンチャーはたくさんあったし、投資に失敗した人は多い。しかし、それ以降、インターネットの利用が縮小したのか?否。GoogleやAmazonなどそれ以降も急成長した企業があり、高速インターネット網は整備され、市場全体は拡大したのである。投資だけがバブルだったのであり、インターネット産業全体がバブルではなかった。Web2.0関連の多くのベンチャーが消滅していくのであろうが、その中から、大きく成長していく企業・サービスが出てくるはずだ。誰が勝者かはわからないが、少なくともWeb2.0のサービスは、今後広がっていくのは確実で、それを否定する人はいない。

いずれにしても確実に言えることは、SOAにお金がつぎ込まれてきており、また、現在、そしてしばらくはWeb2.0に相当な金額が流れることである。最終的に根付くかどうかはともかく、当面は大きく進展して行くことが見込まれる。

Web2.0的マーケティング手法を自分自身体感

私がお送りしたメールは、約300人に宛てたものだった。同じ文面のメールなので簡単にすぐに送れたのであるが、実際に数えてみるとそんな数になっているとは思わなかった。(もはやジャンクメール?)。ご無沙汰している方に、忘れられないようにと、そういう意味も込めてであったが、返答をいただいたのが、4割を超えた。統計学的には、母集団がこれだけになると、それなりに意味のある母集団となる。その反応の数々を、全体を俯瞰してみると、上記のようにいろいろなことがわかってきて、非常に大きな示唆を得た。

実のところ、どんな反応があるかそれが知りたかっただけで、当初全く意図はしていなかったのだが、ある一定の数が集まってくると、公表されている数字にはまだ現れていない最新の生の情報が取得できたのだ。一つ一つ見ているだけではわからないが、集合してみると、傾向がはっきりと見えてくる。おお、これこそ、Web2.0時代のインタラクティブなマーケティング手法ではないかと、飛び上がった。一人づつ電話を差し上げたり、面談をしていたら、短期間でこのような大量の情報は収集できず、傾向は見えなかったのである。インターネットの時代の恩恵である。

「Web2.0」はすでに大きなブームとなった言葉なので、少しひねくれものの私は、斜に構えてあえて避けていた話題であった。しかし、ぜひ「Web2.0」の新しいビジネスモデルを知りたいという話や、シリコンバレーへの関心もそのおかげで復活していることもあり、今後触れて行きたいと思う。

JavaOneに見る次の時代

話は戻って、JavaOneの感想である。現在、企業向けITを商売のネタとしていることから、新しいトレンドであるSOAに注目して参加した。技術としてはAjax関連のセッションがいっぱいで、人気があった。セッションのプレゼンから、単に社内システム構築の手法としてのSOAだけでなく、何度も、社外の情報を使ったりマッシュアップするWeb2.0への応用の可能性が言及された。SOAの基盤技術を使ったビジネスの延長線上に、「エンタープライズWeb2.0」(企業で活用されるWeb2.0技術・サービス)がぼんやりと見えてきた。

(続く)

(徳田浩司 koji.tokuda at www.fusion-reactor.biz

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