SOX対応ソリューションの要と期待されるBPM(Business Process Management) (1) 

徳田浩司(Koji Tokuda) 2006-07-15 00:00:00

BPM Conference参加

先月、San Franciscoで開催されたBPM Conferenceに参加した。Pegasystemの技術担当VP Setrag Khoshafian博士による、「How to Build Value in your BPM Project」というセッションでBPMプロジェクト導入方法についての解説があった。BPM は、SOX対応の重要なソリューションの一つと考えられており、講演内容はSOX対応にも非常に参考になると思われるので、ここでご紹介したい。Pegasystemは、Busuiness Process Managementの専門ベンダーの1社であり、BPMSuiteを開発している。日本では取り扱いされていないので知られていないと思うが、売上は100億円、社員は400人のNasdaq上場企業で、BPMの専業としては大手である。

BPMとは?

BPMとは、業務プロセスを構成し、管理するソリューションである。SOA対応の中で重要な位置を占めるソリューションの一つである。しかしながら、コンプライアンス対応においてIT化が重要視されるに従って、SOX対応においても、重要なIT化のツールと期待されている。以前、業務プロセスの明確化とIT化がSOX法で求められるということを書いたが、まさにそれをサポートするシステムである。SOX法では、経理処理に不正やミスが発生しないように業務の流れを監視したり、制限を加えたりすることが必要であるが、それを自動化するものである。

なお、Pegasystemによると来年、日本上陸を計画しているということであり、今後の展開が期待される。来年からは実際に、日本の公開企業においては業務プロセスをIT化する動きが活発になると思われ、そのタイミングでの進出を狙っているものだと思われる。

BPMの歴史

?従来:Workflowの時代?BPMはWorkflowシステムをスタートとしている。Workflowは、その名の通り業務手順を管理するツールであり、システムを業務にあわせて可視化するものである。かつてはLotus NotesとかERPシステムなどがその機能を担っていた。業務自体の自動化が進んでおらず、そのためエラーが発生しやすかった。また、フローよりもどちらかというとドキュメントやコンテンツ管理が中心であった。

?現在:BPMの時代?システム同士を統合し、社外の流通パートナーとの連携も行って、自動化を実現するものである。組織の階層(権限)と業務手順がリンクしてくる。現在BPMと言えばこれを指す。

?今後:BPMS?BMPSsuite(BPMソリューション群)は、ワークフローのみならず、ビジネスルール、EAI(Enterprise Application Integration)、ビジネス同士の統合、ビジネスプロセスのモニタリング・分析、などの機能が構成されたものである。ビジネスをモデリングしてシミュレーションしたり、ビジネスのルールの変更・修正を容易にしたり、SOAのサポートなどを行い、ビジネスとITを一致させるものである。

なぜBPMが必要なのか?

BPMは、ビジネス環境の変化への対応を強化するために、ERPやCRMなど従来の業務アプリケーションから、「ビジネスプロセス」と「ビジネスルール」とを分離し、それらを管理するものである。それが必要とされてきたのは、ビジネス環境の変化のスピードが速くなったからである。現在のビジネス環境において変化のスピードは速く、ビジネスの基盤となるITの開発に手間取っては、ビジネスチャンスを失ってしまうか、あるいはコスト負担が非常に大きくなってしまう。既に社内にあるシステムを再利用し、再構築できれば、ゼロからスタートするよりは非常に効率がよい。社内のビジネスプロセスをブレークダウンし、変化の少ない小さな機能単位にまとめ、システムもそれに応じて分割する。そして、変化のスピードの速い部分をBPMに担当させる。

例えば、クレジットカードの申し込み手続きで言えば、カードの申込書(手書き)を受け取る⇒スキャナーで読み取る⇒間違いがないかチェックをする⇒間違いがあれば再入力する⇒各項目の条件を貸出のルール(ビジネスポリシー)に照らし合わす⇒貸し出しできるか判断する⇒その結果を顧客に通知する、という流れとなるが、その一つ一つの項目が業務機能であり、それをつなぐのが、「ビジネスプロセス」である。その一つ一つが機能単位になり、それぞれの機能の変化は少ない。

そこから、法律、社会、ビジネスのルールが変更になっても対応できるよう、ビジネス上のポリシーを分離する。そういうものが「ビジネスルール」であり、ビジネスの判断基準となる。ビジネスルールの例としては、オンライン販売において、5万ドル以上の注文があれば無条件で10%値引きするとか、預金が10万ドル以上あるローンの申し込み客には優遇レートを適応するとか、など。

BPM導入の目標としては、技術のイノベーションへの対応、生産性の向上、コンプライアンス対応という、3つの大きなトレンドへの対応がある。特に、コンプライアンスは大きなドライブフォースとなっており、SOX対応の要請が非常に大きい。

プロセスとルールをアプリケーションから分離

かつての業務アプリケーションでは、ビジネスプロセス、ビジネスルール、データが全て一体混然となっていた。そのためプロセスやルールに変化があるとその度にソフトの修正や追加が必要となり、時間とコストをかけて外部スタッフなどを雇って開発を行わなければならない。それでは時間がかかってしまう。できれば、企業内のIT要員が簡単に修正できるようなものが望ましい。現在は、データが分離され、データベースエンジンとして独立している。しかし、今後の流れとしては、データとアプリケーションの間に、BPMSが加わり、ルールとプロセスを分離して管理することが期待される。

これからは、ビジネスプロセスとビジネスルールは企業の資産であると認識し、これをきちんとシステムに組み入れていくことが重要となってくると思われる。これら資産は、拡張、修正が都度発生するが、それらをアプリケーションとは独立で行うようにすると、ビジネスプロセス、ビジネスルールが、全てのアプリケーションで共有して使えることができる。そうすると、ITとビジネスが連動し、システム開発でのパフォーマンスの向上と、連続的な改善戦略を実現化できるのである。更には、ビジネスプロセス、ビジネスルールとコンプライアンス対応の改善の証跡をサポートすることが可能となってくるのである。

(徳田浩司 koji.tokuda at www.fusion-reactor.biz

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