Advanced SOA-Enterprise Application Integration via Open Method by ESB(Enterprise Service Bus)(1)

徳田浩司(Koji Tokuda) 2006-09-09 02:37:52

進化したSOA?ESBによるアプリケーション統合

2004年ごろからSOA(Service Oriented Architecture、サービス指向アーキテクチャー)が盛んに提唱されてきた。米国における最近の動向として、SOAの重要な技術としてESBが急速に注目されてきている。大手ベンダー、システムインテグレーターの多くがESB(Enterprise Service Bus)導入を標榜し始めている。ESBとは、異なるアプリケーション同士を統合し、データのスムーズな連携を実現する技術である、EAI(Enterprise Application Integration)の一つである。ESBは、標準化・分散化というオープンな概念を用いた新しいEAIの手法である。

SOAとEAIとの関係

ESBを理解するために、EAIの技術的な発展の歴史を見てみたいと思う。その前に、SOAとEAIについての関係を明らかにしておく。

SOA(Service Oriented Architecture)を説明する際に、従来のシステム開発についてしばしば例えられるのが、「サイロ型」システム開発という表現である。90年代に流行した巨大な統合パッケージの導入による弊害を示す言葉である。ERP、CRM、SCMなどエンタープライズ系ソリューションベンダーは、一つのシステムであらゆるニーズ、機能が完結することを目指し、巨大化が進んでいった。企業はそれらを導入して、確かに非常に便利になった。しかし、それは部分最適である。大企業では事業部門ごとに、独自にシステム導入を進めてしまったため、部門を連携するような話になると、出てきた帳票やファイルから、手作業で別のシステムにデータを入力しなおすなどの作業が多発し、データのやりとりをスムーズに行うことができなかったのである。それを無理に接続しようとするとつぎはぎだらけになり、アプリケーション接続はスパゲッティ状態で複雑に絡み合ってしまう。時間はかかる上、コストも高い、というものである。そのため、システムの最下層でつなぐのではなく、より大きなくくりのサービス単位で、粗く結合する、SOAという概念が出てきたのである。それを実現する技術としてEAIが用いられるのである。

原始的なアプリケーション統合?1対1の統合

最も原始的な統合は、2つのシステムでのデータのやりとりの接続で、1対1の対応である。最初は、アプリケーション同士を直接つなげてデータのやり取りを行うものであった。しかし、これでは、同期を取る必要がある。異なるベンダー間、あるいは自社開発のシステムとパッケージを組み合わせるというような場合に、両方のシステムを理解する必要があり、非常に困難を伴ってきた。このデータの受け渡し部分を統合する困難を解決するために、メッセージキューイングと言う手法が登場した。システム同士が直接やり取りするのではなく、一種の保管場所を作り、一方のシステムがもう片方のシステムの動作に関係なく、保管場所にデータを吐き出し、そこに蓄積されたデータを、もう片方のシステムが受け取りに行くようにしたものである。非同期で、間接的にメッセージをやり取りするため、お互いのシステムをあまり理解しなくても、データのやり取りのルールさえ決めれば、統合が可能となった。

従来のEAI?「ハブ・アンド・スポーク型」統合

しかしながら、システムが複雑になり、部門間でデータ統合を行う必要性が増えるに従って、1対1というわけにはいかず、1対Nのやりとりや、N対Nでやり取りを行うケースが増えてきた。そのため、メッセージキューを作りこむ数が膨大になってしまったのである。N対Nでは、N個作ればよいのではなく、N×(N-1)×・・・×1と気の遠くなる話になり、現実的ではなく、非常にコストもかかる。それを解決する方法として、ハブ・アンド・スポーク型が提唱された。自転車の車輪にたとえると、軸のところに共通のハブ(入手したデータを一旦蓄積するストレージで、を作って、各サブシステムがハブに通じるアダプター(データ・フォーマットの変換や行き先を制御するメッセージ・ブローカーなどを通じて接続)を経由して接続され、データの受け渡しを行う。これを用いることで、数多くのやり取りが行えるようになり、データ連携の世界が大きく進展した。これが俗に言うEAIの世界で、EAIツールは、大手からベンチャーまで、さまざまな企業が提供している。バインダーとなる企業間のシステムをつなぐものも、種々のバインダーが必要となり、ベンチャー系の企業が発展していった。更に、大手企業も自社開発に加え、それらベンチャーを買収するなどして、2000年以降多数のM&Aが起こった。

原則的には、設計者は、ロジックだけを作れば、あとはEAIツールを使えば、アダプターが自動的にコーディングされるというようなところまでお膳立てしてもらえるようになった。もちろん、現実的には、さまざまなシステム環境があるため、対応できるものと出来ないものが出てくるので、ツールも万能ではない。その都度、最適なツールを選択しなければならないし、作りこみも必要であって、実際にはそう簡単な話ではない。

ハブ・アンド・スポーク型の問題

しかし、従来のハブ・アンド・スポーク型では、次第に時代の変化に追いついていかなくなってきた。例えば、企業間でのシステム統合が上げられる。M&Aの進展により、同業者同士の水平統合、あるいは、川上と川下の垂直統合など、さまざまなケースが発生した。そのため、システムの統合ニーズが高まってきた。新しくパッケージを導入すればよいのであろうが、コストがかかりすぎる。既存のシステムを生かしながら、何とかすばやく統合したい。また、近年インターネットの進展により、企業間のビジネスの連携に関して、ネット上でリアルタイムでのビジネス統合を行うというニーズが高まってきた。そうなると、システムも企業間で接続して、自動処理を行う必要性に迫られた。特定の2社間だけで話をしている間はよいが、ネット上で多くの企業と接続をしようとすると、どうしても、標準化が必要となる。更に、ハブ・アンド・スポークという方法では対応できなくなり、分散の考え方も必要とした。

新しいEAI?「ESB」

これらに対応して出てきたのが、ESB (Enterprise Service Bus)という方式である。従来のハブ・アンド・スポークの問題点を解決するもので、標準化、分散化を取り入れたものである。概念的であるが、「バス」と言うように、LANのような共通のバックボーンを意味するもので、それに業務アプリケーションを接続することで、社内のさまざまなサービスが連携していく図式だ。これが現在、主流となりつつあるのである。そのため、SOAを実現する重要な鍵を握る技術となってきたのである。

(続く)

(Koji Tokuda;徳田浩司)

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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