Advanced SOA-Enterprise Application Integration via Open Method by ESB(Enterprise Service Bus)(2)

徳田浩司(Koji Tokuda) 2006-09-14 07:01:59

米国における最近の動向として、企業内システムのSOA(Service Oriented Architecture、サービス指向アーキテクチャー)の整備において、ESB(Enterprise Service Bus)が注目され、重要な技術として成長してきた。前回は、ESBを理解するために、これまでの発展について説明してきたが、今回は、ESBの機能と今後の見通しについて述べたい。

ESBの機能

ESBは、SOA構築の基盤となる手法であり、Webサービス標準に対応しており、XMLベースのメッセージエンジンを用いている。従来の「ハブ・アンド・スポーク型」のEAI(Enterprise Application Integration、エンタープライズアプリケーション統合)に対して、標準・分散化を進めた、という点が最大の違いである。

ミドルウエア上の概念的なものなのであるが、社内のLANに例えるとしよう。ESBのバックボーンがLANケーブルである。各業務システムがPC(クライアント)で、データを蓄積するコンテナーがサーバないしはストレージに相当し、パソコンやサーバのコネクター部分がバインダーとなる。PCやサーバの機種の違いをOSが吸収するように、バインダーが吸収するものとなる。現在、パソコンを持ち出して、別のLANケーブルにつなげても、簡単にネットワークに接続できるようになった。究極のESBは、データの入出力部分をアダプターを通じて接続すれば、各システムおよびサービスが自動的に連携を始めて動作するようなものだと思う。理想論ではあるが、こうしたプラグアンドプレイにより近づけることができるものが究極のESBとなろう。

現在、ESBを提供しているベンダーによってその定義は異なっている。もともとESBもSOAも、概念を提唱したのがガートナーということらしいが、これによると、Webサービスをベースとした技術で「標準化」を実現するとうたっている。業務提携先同士で、企業間を越えたEAIが求められるようになれば、ガートナーの考えるような、「標準化」が共通の要件ではないかと思う。

業務システムの統合については、Oracleのように、データベースソフトから始まって、Peoplesoft(ERP)、Siebel(CRM)など業務パッケージベンダーを買収して、1つの会社で、統一された思想の元に、様々な業務アプリケーションが提供されていくという戦略も一つにはある。しかし、それは、システムをそっくりゼロから立ち上げる場合は便利であろうが、企業内にある古くからの既存システムをすべて取り替えるというのはコスト的にも困難である。特に、日本のように自社開発が主流の環境では、非常に困難ではないかと思われる。

理想的には、一旦、ESBを導入してしまえば、あとはそれにあわせて必要な機能を追加・変更していけばよく、後ほどのシステム開発がずいぶん楽になるはずである。ESBのデファクトができあがっていれば、それに沿ったシステムの基盤ができていれば、究極的には、例えば、2つの会社が合併したり、ビジネス統合するときに、ESBを介することによって、さほど手間と時間をかけずに、システムとデータをリンクさせることができるはずだ。そうなれば、ビジネスの立ち上がりをスピードアップすることができ、他社に先駆けてビジネスチャンスを得ることができよう。

独自のESBというのを提唱している企業がある。しかし、これではまだまだ不十分であり、標準化を基本とすれば、少しおかしいと思う。ESBの定義を考えると、標準化、オープンの考え方が大前提であるべきであり、本当のESBとは言えないと思う。

ESBの課題

もちろん、データの形式とか、定義などが企業毎、同じ社内であっても部門毎にばらばらであるケースは非常に多い。そのため、データレベルで一つに統合するということはそう簡単な話ではない。しかし、そもそもESBはSOAから来たもので、上位のサービスレベルでの統合であり、システム同士に対して粗結合を行うものである。一つのシステムに一方のデータを無理やりに押し込むわけではないので、実現可能なのである。

もっとも、Webを通じて、企業同士の統合が容易になればなるだけ、情報漏えいやハッキングの問題などが出てくるため、セキュリティ対策が非常に重要になってくる。セキュリティ関連のテクノロジーのニーズが高まっているのである。

ESBの有力企業

ESBのベンダーはさまざまな企業があるが、米国フォレスターリサーチによると、BEA SystemsCapeClear Software Fiorano SoftwareIBMIONA TechnologiesPolarLakeProgress SoftwareSoftware AG(順番はABC順であり、意図はない)が、業界のリーダーとして取り上げられている。細かく見ればESBはさまざまな技術的アプローチがあると思われるが、さまざまな環境、業務アプリケーションなどに対応できることが望ましく、パートナーをたくさん有するツールが有利になってくると思われる。

ESBの今後

米国では、時折レイオフの話が出てくる。そのため、人材の流動性が非常に高い。人材のスキルセットのモジュール化が進んでいる。業務プロセスについても、自然と企業間での標準化、オープン化が進んでいて、入社してすぐに仕事を開始することができる。日本においては、転職したらまずは転職先の仕事の流れを覚えることから始めなければならない。米国で新しいベンチャー企業はさまざまな企業の出身者による混成軍であり、ツールを開発するニーズが高い。そのため、標準化、モジュール化に対応する取組みは非常に進んでいるため、SOAやESBというものが発達してきているのだと思う。

また、経営側の意識も進んでいる。M&Aが日常茶飯事であり、大手と中小のみならず、大企業同士のM&Aも頻繁に起こる。業務提携も広範に行われる。そのときになって、システム統合をどうしようか、などとのんきに考えていては競争に乗り遅れてしまうのである。日本では、自分の会社の風土、業務手順に合わせるために自社開発したシステムを導入することが多い。SOAなんてそんな面倒なことを導入する必要がない、というふうに考えている企業は少なくないと思う。しかし、米国では、自社内でのアプリケーション統合のみならず、企業間でのシステム統合がビジネス展開のボトルネックになるリスクを回避すべく、SOAという方式を採用する流れが強まってきているのである。日本においても、いまや、M&Aや企業間の連携はダイナミックに進んでおり、それに合わせて、ESBを導入する企業も次第に増えてくるものと思われる。

(徳田浩司 koji.tokuda at www.fusion-reactor.biz

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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