コンプライアンス対策として普及し始めたシンクライアント(2)

徳田浩司(Koji Tokuda) 2006-11-21 13:52:22

コンプライアンス対策として普及し始めたシンクライアント(1)より続く。

シンクライアントの進展の要因

シンクライアントは2002年ごろから急速に伸びを見せるようになってきたのであるが、それでは一体なぜなのだろうか?さらに、今後日本でも大きく伸びが期待されるのは、一体なぜなのであろうか?

WyseTechnologyの日本法人、河合成剛社長より、そのあたりの事情を聞いてみた。

「Thin ComputingのCustomer Benefitには、ふたつあります。データ、アプリケーション、管理を集中化する事により、1.セキュリティー強化 2.TCO(total cost ownership)削減、です。米国ではまずは、TCO削減の為に、Thin Computing化が進みました。」

ということである。私自身は、セキュリティが主要因だと思っていたが、どうやらそれだけでもなさそうである。

オフィスで数多くのPCを配備している場合、ヘルプデスクや定期的なメンテナンスが必要となる。特に分散型のオフィスで全社員に配備している場合には、物理的なPCの管理については、相当の手間とコストを負担せざるを得ない。しかしながら、シンクライアントを導入することで、業務アプリケーションのバージョンアップなどが必要でないし、FD、CDD、HDD等を持たない箱型のセットトップボックスを提供するだけにすれば、メンテナンスがはるかに容易である。90年代後半より、オフィスにおけるPCの普及により、一般の社員誰にも対してもコンピュータが非常に身近になった。しかしその一方で、コンピュータの知識の少ない多くの社員が壊れやすいPCを直に触るようになった。そのため何かとトラブルが発生しがちで、ヘルプデスクやメンテナンスの負担が非常に大きくなった。企業の上層部は、IT化による効率化をうたいながらも、パソコンの仕組みさえよく知らない。無理に全社員にPCを使わせるようにした企業は少なくないと思うが、お偉方のPCが何かの拍子に動かなくなって、その対応にまわりは仕事どころではなくなってしまったという経験を持つ人は少なくないだろう。サーバが相対的に低価格になってきたこともあり、本部サイドにあるサーバに集約することで、専門部署が一括管理できるシンクライアントが、トータルコストを勘案すると大変有利になってきたのである。

日本ではセキュリティ強化がBusiness Driver

一方、日本は異なった様相を見せている。

「日本市場は、むしろ個人情報保護法の整備やそれに伴う情報漏えい事件から、セキュリティー強化がBusiness driverとなりました。」

?日本でも米国のように大きく伸びるのでしょうか?それはなぜでしょうか?

「日本では、セキュリティー強化目的から、官公庁や金融が先行しましたが、今後は、TCO削減、SOX法対応の観点から、全業種に拡大されると思われます。米国市場以上の伸びをIDC Japanが予想しているのも、その観点だと思われます。」

シンクライアントが近年特に進んだ理由としては、まずはTCO削減であったということである。実際に進んでいる事例を見ると、軍事施設、官公庁、教育、金融、コールセンターなどである。いずれも大量の個人情報や機密情報が取り扱われ、情報漏えいが大きな問題になるところである。コストの面と同時に、コンプライアンス対応の要請も非常に大きかったものと思われる。

近年、コンプライアンスが経営課題の上位を占めるようになってきた。特に、2002年以降、SOX法をはじめとする法例の整備が進んできた。これまで、企業機密や個人情報などの情報漏えいの事件については、これまであまりおおっぴらにされることが少なかったが、最近は話題にのぼることが多い。刑事上の罰則規定や社会制裁もあり、多くの企業で、コンプライアンス対応を真剣に考えるようになり、シンクライアントの普及を後押ししたのである。

コンプライアンス対策として普及し始めたシンクライアント(3)に続く

(徳田浩司 koji.tokuda at www.fusion-reactor.biz

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