サービス時代の到来と人口減少の影響(1) ? アジア企業に学ぶ日本企業の生き残り策

徳田浩司(Koji Tokuda) 2007-01-10 10:16:01

正月にサービス化のお話と、人口減少の話と合わせて、皆さんにメールをさせてもらったが、さまざまな反響があった。

「2007年は「サービス」時代の幕開け」では、「ソフトウェアやハードウェアを単体の「プロダクト」として提供する時代は終わった。これからは、こうしたプロダクトを包含した「サービス」の質で勝負しなくてはならない。」というお話をした。 「シリコンバレーからの年賀状?IT業界の抱える構造的問題」では、「2055年に日本の人口が9000万人を割り、現在の4分の3に縮小する。ドメスティックに展開する企業・産業でも、海外投資を含めた海外進出を積極的に行うなど、将来人口が減少し国内市場が縮小しても十分食っていける施策を、体力のある今のうちに打っておくべきだ。」という提言をした。

皆さんそれぞれ思いがあったようで、さまざまな議論が展開された。非常に示唆に富む話が多く、ここでご紹介しようと思う(本人たちにご了承を得たが、企業名・個人名等が特定できないよう、内容を一部割愛、修正させていただいている)。

人口減少に伴う国内市場縮小に対する危機感

まずは、あるIT企業の新規事業担当者からのメールである。人口動態についての意見である。

新年のメッセージありがとうございます。徳田様のご意見に全く同感です。新規ビジネスの立ち上げを担う私の部署でも度々議論になるのですが、今後縮小していく日本市場の中でいくらがんばっても、それなりの成長(投資回収)しか見込めません。

私の所属組織が、ドメスティックな部門から国際部門に変わったことも追い風にして、現在開発中のサービスも近い将来グローバルに展開できるよう、初めから欧米のパートナーと組んでいます。

日本企業にありがちなのは、当初は日本のマーケットしか見ていないため、優秀なサービス・プロダクトを開発しても、国内向けに作り込んであり、容易に海外展開できない弱点を持っていることです。それでは国際競争では勝ち残れないですよね。

海外展開については、近視眼的な目で見る経営の上層部と、将来を自分のものと考えるミドル層とは温度差があるようだ。国際展開への取組みの必要性は、現場は既に感じているのである。

製造の現場で技術の継承が途絶えている

大学時代の友人で、現在メーカの研究者からもらったメールである。研究者の立場から、人口減少による技術の継承の危機感と、日本におけるサービス化へのシフトの難しさを指摘している。

あけましておめでとうございます。 面白く、ためになる記事ありがとうございます。

私のいる会社ではもう人材不足が始まっているようです。 景気回復と2007年問題で若い人を採ろうというのが重なって、新卒とは限っていなくてもなかなか新人(若い人)が採れないようです。

サービスとしてのソリューションカンパニーはThinkPad事業を売却したIBMが有名だと思いますが、(日本では)、真似してうまくいったという話はあまり聞きませんね。なかなか難しいところがあるようです。IBMの人のソリューションの話を聞いたことがありますが、すばらしい考えだとは思います。徳田が言っているのはまた、これとは違う思想かもしれませんが。

「目先の売上拡大」ではなく、「サービスの品質にこだわる」自分の仕事を考える参考になりました。経営者になると損益が成績書なので、思想がある経営者でないとそこまで考えを変えられないかもしれません。

彼が言っている、サービス化の成功例としてあげているIBMというのは、まさにその通りだと思う。ハード事業からスタートしながらも、時代の流れを察知して、サービス化にシフトすると同時に、不要となったハードビジネスは創業ビジネスであるにもかかわらず、切り捨ててしまったのである。

米国におけるアジア人としての日本人のプレゼンスの低下

現在、日本企業から米国MBAに留学している知人から、以下の返事をもらった。彼も、人口減少による引き継ぎ問題と、アジアの中での日本人のプレゼンスの低下を危惧している。

あけましておめでとうございます。

今年は例の2007年問題の年で、うちのおやじ世代が引退で(一方で65歳まで働く人もいるようですが)、色々な業種で引継ぎ問題があるようですね。

MBAの学生の数も激減です。僕のいるビジネススクールでは、日本人は2%ぐらいです。それに比べて、韓国人は5%、中国人は10%、インド人は13%と言われています。要は、既に学校は日本人を見限っていて、インド・中国にシフトしています。彼らはハングリーで、誰がなにと言おうとアメリカで働くつもりまんまんです。日本人みたいに変に冷めていたりはしません。

これは数年後、数十年後には大きな国力の差となってでてくるだろうなというのが肌感覚です。

労働力とは別の視点から危機感を覚えています。

今年も宜しくお願いします。

サービス時代の到来と人口減少の影響(2)に続く

(徳田浩司 koji.tokuda at www.fusion-reactor.biz

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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