GenuineかGeniusか?

若井 直樹(Naoki Wakai) 2007-11-16 20:20:10

  11月1日は、こちらのお盆にあたるハロウィーンだった。街中の交通量はまるで毎日が嘘のようにガランとしていた。一方、墓地の周辺に近づくと徐々に車が混み合い、1キロほど手前からは、お参りに行く人の行列でまるで蟻が砂糖に群がるように混雑していた。

  そのハロウィーンが終わるやいなや、もうクリスマスの準備をテーマにしたテレビ番組が増え始める。デパートではあちらこちらでクリスマスツリーがディスプレーされ始めるのだ。何ともカソリックの国だ。日本では、初雪の話が始まったりしているようだが、こちらも日中でも30度を下回り、涼しいと感じ始める。13日には、こちらの下院ビルが爆破され、3人が死亡し13人が負傷。過激派のアブサヤフが犯行声明を出したというニュースが飛び込んできた。

 知り合いが日本人からパソコンを譲り受けたらしく、セットアップに立ち会って欲しいと連絡が入った。イーマシーンズの製品だ。もちろん、こちらの市場で見かけることはまずない。すでにGlobeが提供するブロードバンドで電話も使えるサービスをもし込んでいるらしい。

 もっとも古くからありポピュラーな電話回線は、PLDT社が提供しているものである。PLDTは日本のNTTにあたる通信企業だ。もちろんPLDTでもブロードバンドを提供しているが、Globeも有線および無線のブロードバンドを提供している。日本と異なるのは、PLDTに加入しながら同時に有線のGlobeも併用できる、すなわち異なった2つの回線が同時に利用できるという点だ。

 セットアップしようとしているパソコンは、もちろん日本語のWindows XPがインストールされている。しかし、使うのは現地の知人家族であり、英語版のWindows XPが必要だ。知人が持ち出したのは、あまり質のよくないプリンターで「Microsoft Windows XP」とWindowsのロゴがカラー印刷されたビニール袋に入ったCD-ROMだ。「えっ?」なんだこれは?知人に尋ねてみるとこうだった。ブロードバンドの設定に業者来るので、とりあえず英語版にしておこうと、安価な違法ライセンス品を一時的に購入したらしい。なんと価格は70ペソ(180円程度)だそうだ。高くても150ペソで購入できるという。ちゃんとプロダクトキーもついている。ちなみに正規ライセンスを購入すると、約4800ペソ(12500円程度)だ。

 インストールが始まった。プロダクトキーが要求され、入力すると正規ライセンスと全く同様のプロセスでインストール作業が進む。知人によれば、マイクロソフトのOFFICEでもアドビのPhotoshopでも同じ価格で違法ライセンス品が買えるのだ。値段の違いは、媒体がCDかDVDかの違いだけだそうだ。たしかに4800ペソとはマカティ市の最低賃金で働いている労働者の半月分の給与に相当する。しかし、どこのデパートでもだいたい販売しているらしい。しかしこんなに簡単に手に入るものかと驚いてしまった。

 企業においても違法ライセンス製品が横行しているという。マイクロソフト社も摘発に躍起になっており、ある大手日本企業が違法ライセンス品を使っていたために、国外退去処分を受けたという事実もある。フィリピン政府も、違法ライセンスを使用しているインターネット・カフェなどを厳しく摘発しているが、まだまだ手ぬるいのかもしれない。しかし、ある日本の現地法人に聞いた話によると、摘発に来たマイクロソフトの社員に違法ライセンスを使用していることを指摘され、毎週のように「袖の下」を求めてくるという。いやはや.......。マイクロソフトはGenuineで、今後取り締まりが強化するというが、はてさて、どちらがGeniusなのか楽しみだ。

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