IT教育は進んでいる?

若井 直樹(Naoki Wakai) 2008-01-22 12:49:53

 世界銀行の投資機関である国際金融公社(IFC)は、2008年度(07年7月〜08年6月)の対フィリピン投融資を前年度の約4倍の5億米ドル(約538億円)に引き上げる計画だ。好景気、社会情勢安定など、投資環境が改善したことを評価した。大型発電所などインフラ向けの投資に重点を置く。また、フィリピン中央銀行は、2007年12月の同国国際収支は7億8400万ドルの黒字となり、11月の6700万ドルの赤字から黒字に転換したと発表した。

 ここのところペソ高で、日本円や米ドル建てで送金あるいは給与をもらっている人は大幅な目減りで困っているだろう。確かにモールに行っても市場に行っても、消費に活気を感じる。最近私のお気に入りのブランド「GAP」が進出してきた。現在2店舗だが、4店舗すでに出店が決定しているという。マカティ市の中心にある「グロリエッタ」というモールと、フィリピン大学やアテネヨ大学のあるケソン市にある国内第2位の規模を誇る「トライノマ」というモールだ。価格はジーンズやパンツが3000ペソ前後、明らかに高所得層がターゲットだ。その他、この「トライノマ」には、「ZARA」や「カルバン・クライン・ジーンズ」など高級ブランドショップが軒を連ねている。

 先月からさまざまな企業を訪問しIT に関連するインタビューなどを開始してる。今回は、アヤラ・アラバンにある「Southridge(サウスリッジ)」という小学生から高校生までが通う学校を訪問した。アヤラ・アラバンというのは、フィリピン最大の財閥であるアヤラ・グループが開発した地域で、カリフォルニアのパロアルトを思わせる雰囲気のビレッジである。住人は、アヤラ・グループの高額所得者や外国人である。超高級住宅地といえる。治安警備の行き届いた住みよい街だ。「Southridge」には、この地域の子弟がが通学している。当然ながら授業料もフィリピン随一の高額、設備も立派だ。

 特にPCを使った授業は、「行き過ぎ」とも思えるくらいの内容だ。フィリピンでは、6年間の小学校(通称グレードスクール)と4年間のハイスクールに分かれており、その後はカレッジおよびユニバーシティとなる。PCが設置された教室は、グレードスクール用とハイスクール用の2教室に分かれており、合計約70台が設置されている。驚いたのは、ITを管理している専門家が3人も存在していることだ。彼らは従業をする教師ではなく、構内の生徒および教師のITインフラを管理しているいわばMIS部門である。日本の学校でも1校でこのような人材を確保している学校は、見あたらないのではないだろうか。これら3名の専門家は、サーバが設置された40〜ほどの部屋をもっており、そこからPC教室の監視およびインフラの運用をしている。

 授業で利用しているのは、Windows PCでMS Officeが搭載されている。グレードスクールでは、インターネットの活用とMS Officeの活用が中心だが、ハイスクールになると簡単なプログラミングとFlashを使ったアニメーションの作成まで教えている。コンピュータの専門学校じゃないのだから、本当にそこまでカリキュラムに入れる必要があるのか疑問に思った。

 これがフィリピンの学校の標準だとは、決して思わないでいただきたい。これはもっともお金持ちの学校の状況なのです。公立の学校ともなれば、せいぜい1校に10台のPCがあるれば良い方で、もちろん個人的にPCに詳しい教師がインフラの整備や運用管理をまかされているのが現実だ。この国では、ハードウェアは購入しても、ソフトウェアライセンスがとても高額だという認識が一般的(不正コピーが普及する原因の一つ)で、使っているソフトウェアのほとんどは、オープンソースである。従って、Office系は無償のOpenofficeを使っているのが標準的だ。デスクスペースも狭く、PCの筐体とCRT、マウスにキーボードを載せればスペースがない。Windowsのアップグレードに伴って増え続ける電力消費も頭痛の種だ。さらに生徒は覚えが早く設定を変更してみたり、トラブルを引き起こすコンテンツをダウンロードしてみたりと、管理者の頭を悩ませることが頻繁だそうだ。

 学校にとって、ITの専門家を採用する予算がないこと、PCの運用管理が大きな負担であることが最大の問題だ。この事情は、日本といえども同様だ。解決策はないものだろうか?

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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