世界はフラットに!準備はできていますか?

若井 直樹(Naoki Wakai) 2008-03-28 12:51:32

 先週は木曜日から日曜日にかけて、復活祭の休みであった。私は何もすることがないので、タガイタイという日本の阿蘇山と同じカルデラ火山へ繰り出した。ここへは以前も何度か訪れているが、気軽にいける非常に美しい場所である。私が住むアラバンから来るまで約1時間30分。中心にはカルデラ湖が望め、周辺の峰に沿ってレストランやホテル、それに別荘などが建ち並んでいる。多くの人たちが「People’s Park」を訪れる。ここでバーベキューや乗馬をして過ごしている。また船でカルデラ湖に浮かぶ島へ渡ることもできる。ここはバギオ(ルソン島北部)と並び機構の涼しい避暑地でもあり、野菜や果物の栽培が盛んである。私もご多分に漏れず果物や蜂蜜などを購入した。いつも楽しみなのが値段の交渉だ。もちろん日本人だと分かると、現地価格の倍以上をふっかけられる。それをこちらも手練手管で値段を落としにかかる。交渉のコツは、相手をほめることだと私は思っている。以前は、なぜこんなに値段をふっかけてくるのだろうと疎ましく思ったものだが、今はそれを楽しめるようになった。ご存じだろうか?こちらではタクシーに乗っても値段の交渉をしなければならないときがあることを。もちろんタクシーメーターの設置は義務付けられているのだが、すべてのドライバーがそうであるわけではないが、「日本大使館までなら200ペソかかるよ」などといってメーターを押さないで値段交渉をしてくるドライバーもいる。いや、タクシーの場合は行き先を告げ行ってくれるかどうかから始まるものだ。すなわちこちらでは、乗車拒否アリなのだ。

 さて、復活祭も終わりビジネスは平常を取り戻した。すでに夏が始まり学校も卒業式シーズン。5月まで休みになる。とっても良い季節だ。この時期バケーションを楽しむ人も多い。Nikkeiのサイトで、竹田孝治さんという方が「インドIT見聞録」というコラムを掲載されている。その他、韓国および中国のIT事情に関するコラムもある。ちなみに、韓国のIT事情をかかれている 趙さんは、私の顔見知りだ。「インドIT見聞録」の最新のコラムで、インドと中国のIT技術者の人件費についての記述がある。竹田氏による中国のIT技術者の人件費が高騰しているという。引用させてもらうと、「中国で聞いたIT業界の話である。インドに限らず大連でもIT技術者の人件費高騰は著しい。2、3年の技術者の給料で5000元(約8万円)という話を何人もの人から聞いた。単なるプログラマーでどこにそのような価値があるのかと本人たちに聞いてみても、彼らは5000元でも安いと信じている風である。これが上海なら更に高いのであろう。新卒者の給料は据え置かれているようだが、確実にインドより中国の方が人件費は高くなっている。」という。「2、3年の技術者」というのがどのようなクオリフィケーションなのかが分からないので単純には比較できないが、「2、3年のJavaプログラマー」と仮定する。ここフィリピンだとおよそ22,000ペソから29,000ペソつまり6万5千円前後ということになる。物価水準からすれば、確かに中国やインドのIT技術者の人件費は高いといえる。

 日本企業からのオフショア・ビジネスが、フィリピンにもっとあっても良さそうなものだ。ただ、フィリピンの企業サイドから見れば、日本企業よりも英語圏であるアメリカやヨーロッパ市場からのオフショアの方を期待しているといえるかもしれない。やはりここでも「言語の壁」がある。日本においても、IT技術者や管理分担当社が、英語で会話することが当たり前のようにならなければ、インド企業やフィリピン企業を選択し仕事を委託することはできないだろう。最近、フィリピンに留学する韓国の若者が増えている。また、Webサイトを通じて英語を教えているフィリピン人も増加の一途だ。生徒はというと。ほとんどが韓国人らしい。おそらく韓国国民にとって生きた英語を学ぶもっとも格安な方法なのだろう。日本のIT技術者は、いつになったら目覚めるのだろうか?たとえば、フィリピンに来て英語で腕を磨くというチャレンジをするIT技術者が増えても良さそうなものだ。

 実際私も、30歳になるまでは英語を話せなかったし、大学時代は苦手な科目の一つであった。しかし、今こうして毎日英語の世界で仕事をしている。「日本人にしかこんな緻密な仕事はできないだろう」と、言っていられた日はもう終わったといつになったら気づくのだろうか。大海原にでてチャレンジをするIT技術者を期待したい。中国でもインドでも、そしてこのフィリピンでも優秀なIT技術者は、海外のよりよい条件の仕事求めて海を渡るのはあたりまえ。そして、豊富な経験と財産を持って出身国にリターンした人が、今度はその国の産業を育てることに貢献する。そうやって世界はフラットになっていく。実は、人件費の差を云々していられるのは今のうちだけなのかもしれない。遠くない将来、世界のIT技術者同士が、腕と能力だけで職を競い合う日が来るような気がする。日本のIT技術者は、その準備をしているのだろうか?

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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