フィリピンでSunが犯した重い「罪」

若井 直樹(Naoki Wakai) 2008-05-28 11:47:05

 「Computex Taipei 2008」が6月3日から7日にわたって南港世界貿易センターおよび台北国際会議センターにて開催される。今年の注目すべき製品や技術が何であるのかはよく分からない。昨年は、ASUSの200ドルPC「EeePC」やWindows Mobile搭載携帯端末が注目を集めた。それと比べれば、今年は今ひとつ事前の話題をさらっているめぼしい技術や製品が見あたらない。しかし、少なくとも「Green IT」は重要な話題の一つとなるに違いない、と私は思っている。CPUメーカーのIntelもVIAも、省電力に関する技術および製品を発表している。

 以前、フィリピンでは公立学校へのPCおよびインターネット接続のドネーション(寄付)を話題にしたことがある。フィリピンにとって、非常に重要なプロジェクトの一つといえる。しかし、実際導入した学校からは、「いったい誰が管理するのか?」「電力会社が儲かっただけじゃないのか?」といった声も上がり始めている。Windowsを搭載したPCは、今や「金食い虫」ならぬ「電気食い虫」となって、電気料金の高いフィリピンでは必ずしも歓迎されているわけではない。ましてやVISTAを搭載するとなると、多くの企業では頭の痛い話になる。学校にとっても、よほどの「お金持ち学校」でもなければ、VISTAは頭痛の種でしかない。中古市場の大きいフィリピンで、OS の不正コピー品が出回る一つの口実を与えていると言っても過言ではない。不正コピーを容認するつもりはないが、マイクロソフトが「金食い虫」ではないことを証明すべきではないかと思う。つまり「Green IT」の時代をLinuxやオープンソース、および半導体企業陣営の手柄にされたくなければ、マイクロソフトは思い切った施策を打ち出すべきだろう。「Green IT」の時代とは、「マイクロソフトのダイエット作戦」時代と後に語りぐさになるように祈ろう。私の弟は医者をしているのだがよくこういっている、「心も体も健康なのが、一番か金がかからないんだよ」。

 フィリピンでは、CIOやMISマネージャにはコスト・ダウンのプレッシャーがいつもつきまとう。少なくともIT予算のなかでは、PCの買い換え予算とMS Officeのライセンス費がいつもやり玉に挙がる。「Openoffice」を採用する企業も少なくはない。良きにつけ悪しきにつけ、フィリピンではソフトウェアのライセンス費を節約しようという習慣がある。それが高じてこんな間違った選択をして、涙を流す企業も出てきた。私が訪問したのは、政府機関の一つと大手製造業だ。彼らが選択したのは、サン・マイクロシステムズ(以下Sun)の「SunRey」を導入したサーバベース・コンピューティングだった。最大の選択理由は。コストだ。対象となるユーザーにWindows版PCを購入しMS Officeのライセンスをユーザー分購入するよりも、SunのサーバとSunRayそれにOpenofficeを採用した方が、コストを抑えられるということだったらしい。しかし、両社ともにSolaris上で稼働するソフトウェアは何も持っていない。あくまでもアプリケーション・サーバはWindowsサーバである。ところがSunのサーバを経由しないとWindowsサーバにアクセスできず、その際異なるIDとPassワードをSunサーバ用およびWindowsサーバ用に2度も入力をする必要があるというのだ。更にOpenofficeとMS Officeの互換性が問題となった。この件に関して両社はSunに対して何度も申し入れたが、何もソリューションを提供してくれなかったという。Openofficeの件はさておいたとしても、Sunは売るだけ売って後は知らぬ顔だったという。挙げ句の果てが、「サーバベース・コンピューティングなんてもうこりごりだ」というのが両社の結末だ。

 私の知る限りSunは「Green IT」を旗印に、データセンターの省電力化を推進する重要なベンダーだ。しかもSunのサーバベース・コンピューティングは優れた技術だ。おそらくフィリピンのローカル・スタッフの能力とビジネスの姿勢の問題だと思われる。フィリピン企業が保有しているIT環境は非常にシンプルだ。お金のかかるよけいなカスタマイズはしていない。日本企業と異なりサーバベース・コンピューティング環境への移行に多大なコストは必要ない。しかも良いシステム管理者を持たないためサーバベース・コンピューティングは打って付けのソリューションだ。それを考えると、Sunの犯した罪は大きい。是非とも改善して欲しいと願う。今、両社とも、Sun環境を一掃しようとしている。「Green IT」のはずが「Clean Sun IT」になってしまった。

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