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 結婚して子供ができた。貯金は宣教師生活で食い潰してしまった。ボクは生きる為にお金にこだわった。手柄を立てて給料を上げようと躍起になった。条件が良ければあっさり転職もした。元宣教師のそんな生き方を快く思わない人もいたが、ボクはそーゆー目で見られることも背負って生きることにした。

 置かれた状況から本望でない生き方を強いられる人。わかりませんが、みんなそーなのかもしれません。きっとあの上司もそーだった。そんな上司が、軽いノリを装って見るからに古そうな本を貸してくれた。

 「むかし、城づくりの現場で働いている石工に「おまえは何のために働いているのだ?」と聞いたら「わしはおまんまの為に働いているのだ」と第一の答えが出た。他の一人に聞いたら「石垣の石を作っているのだ」と第二の答えが出た。もう一人の石工に聞いたら、すっと立ち上がり、胸を張って「おれはあそこに建つ大きな城を作っているのだ!!」と第三の答えが出たと言う。

 今日でも、同じ質問に対して同じような答えがでてくるであろう。食わんがために働く、妻子を養うために働く、マイホームのために働く、レジャーのために働く、などなどが第一の答えであろう。ぼくはこんな商品をつくっているのだ、新しい商品をつくって世の中に送り出すのだ、などは第二の答えであろう。胸を張って、私は人類社会のために働いているのだ、というのは第三の答えであろう。

 この三つの答えの違いは人生観の違いであり、願わくば皆がこの第三の意識を持って働いて貰いたいものである。その意識が諸君に働く喜びを与え、完成の喜びを与え、創造の喜びを与え、さては生きる喜びを与えるのである。この境地に達すれば、それはすでに労働ではなくて芸術である。」 立石 一真(1900-1991、オムロン創業者)

 最初は生きる為とか、家族の為だった。でも少しずつ損得やお金に執着し過ぎるようになったボクは、ただページのコピーをとって机の奥に押し込んだ。数年が経った。人生はいいこともあれば、悪いこともある。いろいろ経験したあとで、机の奥に眠っていたこの言葉を見てみたら、自分なりにいろいろと思い当たるところがあった。なんとなくいつも自分の中で辻褄が合わなくなっていた生き方を、もっと自然に、もっと単純に整理してみたくなったのです。ボクは人生をリセットしてクレオに転職した。(つづく)

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