人検索はマッシュアップのキラーになるか

吉田健一(Kenichi Yoshida) 2007-04-14 01:39:20

 今日はSNSの話をしよう。SNSというと「社内SNSでナレッジ共有する」という話になりがちであるが、これはSNSの表層しか捉えていない。SNSの本質はソーシャルネットワーク、すなわち人と人とのつながりにある。最近、Web2.0の世界ではこの人と人とのつながりをうまく活用する面白いサービスとして、人の検索が注目されている。

■サイト検索、本検索、次は人検索?

 インターネット検索の30%が人に関する検索だというくらいだから、人検索のニーズが大きいことは間違いない。サイト検索がGoogle、本検索がAmazonだとすれば、次に来る波は人検索だと期待されている。例えば、Winkという人検索サイトが有名だ。このサイトに行って、名前、地域、キーワードを入れて人を探してみよう。例えば、自分の出身大学をキーワード欄にいれると同窓生がわんさか出てくる。

wink.gif

 このWinkでは、Friendster、MySpace、Bebo、LinkedIn、Live SpacesなどのSNSに対して横断的に人の検索を行っている。単なるキーワード検索だけではなく、地域、性別、年齢、興味分野といった特定のデータも収集しており、絞込み検索も可能である。既に1億五千万人が、検索対象になっているという。

 使い方としては、同窓生を探すだけでなく、コンタクトを取りたい人の情報を調べたり、調べたい会社にどんな人がいるかを探ったり、特定のテーマに関するライトパーソンを探したり、初対面の人に会うまえにその人がどんな人かを調べたりと、色々な使い方ができる。

 こうした複数のSNSを横断した人検索が次の波になるのではないかと大いに期待されており、PeopleAggregatorProfileLinkerといった企業も参入し混戦の様相を呈している。

■人のメタデータを自動的に収集するSpock

 ところが先日のTechcrunchに、その上を行く人検索サービスが紹介されていた。Spockというサービスである。Spockも人検索サービスであるには違いないのだが、その人がどんな人かというメタデータ(属性情報)からも人を検索できるというところが特徴である。

spock3s.png

 例えば、Bill Clintonを調べてみると、Bill Clintonのページには「前アメリカ大統領」、「偉大なリーダー」、「浮気者」、「左利き」、「民主党」、「サックスホーン奏者」といったメタデータ(属性情報)が表示されている。もちろん、年齢、所在地それに性別などのメタデータも掲載されている。Flickrのタグのように、この人がどんな人かというキーワードが、メタデータとして掲載されているのである。

 更に、人と人との関係性も表示される。Bil Clintonのページには、その人に関連がある他の人へのリンクが張られている。まさにMixiの「マイミク」と同じ、SNSのページそのものである。

 このSpockのすごいところは、こうしたメタデータや人間関係を誰かが入力することなく、世界中のウェブサイトやSNSから自動的に収集しているところにある。まさに人検索のGoogleということができるだろう。

■人検索は2.0時代のKnowWhoデータベース

 このSpockの話、エンタープライズ側から見るとどうも聞いたことがあるような気がしないだろうか?そう、これまでナレッジマネジメントの世界でずっと議論されてきたKnowWho、誰が何を知っているかデータベースそのものなのである。

 KnowWhoは「重要な知識は人がもっているので、その人がどこにいるかがわかればよい」という発想に立ち、最適な人を探すことに主眼がおかれていた。しかしKnowWhoデータベースを作るために、誰かがデータを入力したりメンテナンスする必要があり、その労力が大きすぎるためうまく活用できた企業は少なかった。

 Spockがエンタープライズに投げかけるのは、このKnowWhoの考え方を一歩先に進めることができるかもしれないということである。データを入力したりメンテナンスしなくても、企業内には既に人に関する情報が膨大に存在する。社内の電子電話帳に連絡先ものっているし、その人がどんな文書を投稿したか、どんなプロジェクトに関わっているかも、企業内システムに存在するはずだ。こうした情報をうまくマッシュアップし、人を中心に取りまとめることができさえすれば、すばらしいKnowWhoデータベースができあがるはずなのである。

 エンタープライズマッシュアップ、という言葉が騒がれて久しいが、これまでGoogle Maps以外はいまいちユースケースが見えてこなかった。しかし、エンタープライズで真っ先にマッシュアップすべき情報は人の情報かもしれない。企業内の人の情報が自動的にマッシュアップされれば、その利用価値は計り知れない。

 企業内Spock、グループ内Spockが早く実現できないか、待ち遠しい限りである。

 


 

吉田健一@リアルコム

ご意見・お問い合わせはこちら

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

SpecialPR