今日の情報共有に足りないものはもはやITではない。ITの上で流通するコンテンツの品質をどのように高めていくかが重要だ。そしてその品質向上は、ITではなく「人の力」で行わねばならない。そのことに気づいた先進企業では社内の情報流通をコントロールする組織「ナレッジ・センター」を立ち上げ「人力」で情報品質を高めている。本日はナレッジ・センターの実際とその可能性について議論してみたい。
■情報共有を「人力」で高度化するナレッジ・センター
情報共有に必要な4つの要素はPeople(体制)、Process(ルール)、Technology(IT)、Contents(情報の内容)の4つであると言われている。
しかしながら、前回のエントリで論じたように、Technologyは企業内に十分普及しており食傷気味。そのITをどのように使いこなすかという組織能力向上が大きなテーマとなっている。
また、Technologyの普及により情報洪水が発生、量が多すぎることで結果的に情報が使われない事態に陥っていることも述べたとおりだ。更なる情報の活用には「目利き」による情報の絞込みが必要となる。
こうした状況を踏まえ先進企業では、既に存在するTechnololgyの活用を高めるべく、情報流通のルール作り(Process)や、情報の内容(Contents)を高度化する活動を行うナレッジ・センターという体制(People)を構築している。情報共有をITではなく人力で高度化するのが、ナレッジ・センターと言えよう。元々ナレッジ・センターはコンサルティング会社や石油関連会社などナレッジ・マネジメントに先進的な企業で作られていたが、昨今では他の業界にも広がっている。
リアルコムでは、文書作成や知識編纂のプロフェッショナルを企業に派遣し企業内のナレッジ・センター業務を支援するナレッジ・プロセス・アウトソーシング(KPO)というサービスを提供し、企業のナレッジ・センターの支援を行っている。その経験に基づき、ナレッジ・センターの3つの機能、すなわち1)知識の編纂、2)知識流通のコントロール、3)知識活用力のレベルアップについて説明していきたい。

■1)知識の編纂
ナレッジマネジメントシステムを導入しても誰もナレッジを入れてくれない---こんな経験のある会社も多いと思う。考えてみれば当たり前のことで、自分の知識を時間をかけて体系化して皆に披露しようなどという殊勝な人はいないと思ったほうが良い。
知識の編纂・体系化は高度なスキルと膨大な労力がかかる業務である。そこで知識編纂のプロをナレッジ・センターに抱えておき、片っ端から知識を編纂していった方が、最適な知識流通につながる。
具体例としては次のような形でナレッジ・センターが知識の編纂をしている。
知識編纂は特殊な技能であり全社員に任せるものではなくナレッジ・センターで集中して行うべきものである、というのがポイントだ。
■2)知識流通のコントロール
しかしながら、全ての知識をナレッジ・センターで作れるわけではない。企業内には各部署が作成した知識がたくさん流通している。
そこで、各部署が発信した知識の品質を高めるべく知識流通のルールを作り、ルールが守られているかのアセスメントをナレッジ・センターが行うことで、全社的な知識流通の高度化を計ることが可能だ。
また、流通している膨大な知識の中で、本当に現場が利用すべきものだけをピックアップする「目利き」の役割をナレッジ・センターが担うことで、「少ないことは良いことだ」戦略に基づき、情報の活用度を高める。
例えば、
といった形である。
■3)知識活用力のレベルアップ
そして、最後は個人の能力にかかってくる。
ITの進展により情報を誰もが簡単に発信できるようになった。しかし、そこで発信されている情報の中味は、正直お粗末なものも多い。昔は、社内文書1つ作るにしても、全社に印刷して配布するものはしっかり作らねばということで、何度も推敲した上で上司がレビューしていた。しかし最近では、誰でもボタン一つでイントラネットやメールで簡単に情報発信できてしまうため、読みにくい、分かりにくい文書が氾濫し、現場の生産性を下げている。
そこで「分かりやすい文書作成」の能力を高めるための研修・トレーニングをナレッジ・センターを行ったり、文書の添削サービスを行うことで全社的な情報作成力の底上げを行っている企業も多い。
また、情報活用についてもGoogleになれてしまった若手はとにかく何でもインターネットで検索して終わり、にしがちである。しかし、ビジネスで本当に価値のある情報はインターネットには落ちていない。電話して、足を運んで、飲みに行って初めて聞きだせる情報もある。どのようにして価値ある情報を探し出すかの「情報収集力」を高めるための研修・トレーニングを、ナレッジ・センターが行う場合もある。
以上、各社のナレッジ・センターの取り組みについて論じてみた。まだ試行錯誤のところもあり、まだ完全な正解が見えているわけではない。今月末に本テーマに関するセミナーを行うので、もしご興味のあるかたは是非ご来場いただき、直接議論に参加していただければと思う。
吉田健一@リアルコム
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始めまして、(株)ピートゥピーエーの黄 声揚です(shengyang_huang@ptopa.com)。
貴社のナレッジマネジメントへの取り組みを色々と拝見しました。実は弊社においても、如何にノウハウをデジタル化にし活用するかというソリューションを取り組んでいます。
弊社(www.ptopa.com)は日本語会話システムの構築、運用プラットフォームを開発し販売、サービスを行っている企業です。問題解決プロセスを通して学ぶノウハウを「会話シナリオ+実演映像」でデジタル化し、そして自然会話を通して活用する、といった仕組みを我々は考え企業に提案しています。
弊社の会話(CAIWA)ソフトと貴社のビジネスとの結合ができれば、幾つかの面白い展開が考えられるのでは、と感じておりコメントをさせて頂いた次第です。
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