デルはインテルとの協業に基づき、OSS(オープンソースソフトウェア)を対象とした検証センターを設置、運営していくことを7月5日発表した。検証センターの施設自体はインテルの東京本社内に置かれる。両社の協業における主な役割分担としては、デルでは自社製ハードウェアの提供、インテルにおいては検証に纏わる設備全般の提供となっているが、両社のエンジニアが参加し、共に検証に携わっていくことになる。
前回ではOSS検証センターの設立経緯と今後の展開について取り上げてみた。
今回はOSS検証センター設立に伴う両社のスタンスとして掲げられている「次世代コンピューティングモデルの確立」という点について、引き続き両社の担当者によるコメントを交えながら概要を説明していこうと思う。
OSSがもたらすもの
インテル株式会社ソフトウェア&ソリューションズ統括部
アプリケーション技術部 部長
池井 満氏
OSSが登場した当初、利用者側での自己責任が強調されたこともあり、エンタープライズシステムにおいてはなかなか浸透していかなかった背景がある。エンタープライズ市場では、システムの安定性がビジネスの成果に直結するため、ユーザーが充分な信頼感を持てない限り、なかなか導入にも踏み切れないからだ。技術レベルの高いユーザーは、ソースが公開されていることで充分な安心感を抱くことができ、かつ自己責任で動作検証を行なったうえで適切な場面で適切なOSSを活用することができ、その結果コストメリットを得ることもできた。こうしたOSSのメリットは現在では広く認知されるようになってきており、その活用も開発者をはじめとした一部の“アーリーアダプター”から派生し、より広範な一般ユーザー層へと拡大の一途を辿る。デルとインテルによるOSS検証センターの設立は、こうした動向に対応し、ハードウェアベンダーからの側面支援を提供するという大きな意味合いがある。
デルの将来認識
デルは標準ベースのハードウェアを安価に提供することで成長を遂げたベンダーであり、そのユーザーはもともと技術レベルが高く、自己責任でシステムを構築、運用できる層が中心となっている。すなわち「リテラシーの高いOSSユーザー」がデルのユーザーと重なるわけだ。こうしたユーザーに対しては、「安心感は高いがコストもかかる」商用ソフトウェア中心の構成よりも、技術レベルが高いことを前提にした低コストなソリューションが歓迎される傾向もある。ユーザーのリテラシーに応じたメニューを展開するためには、OSSの活用に対しても第一線に立つ必要性をデルでは認識していたようだ。
デルの主なユーザー層と要望に応える重要性について、同社では次のように述べる。
デル株式会社セントラル・アドバンスト・システムズ・グループ
エンタープライズテクノロジスト
南部 憲夫氏
「xSP系企業に所属する30代くらいのエンジニアが中心となっており、彼らはLinuxやOSSに対する豊富な経験と知識を持っております。こうしたユーザーが求める情報を確実に提供するためには、OSSを対象とした検証結果などをベンダー側から積極的に提示していく必要性があると感じていました」。
デルが過去に行なったOSSをテーマとした技術セミナーなどの結果でも、ユーザーの参加意欲は極めて高い上、内容面でも表面的な紹介に留まらない深いレベルの情報が求められていることが分かったという。
さらに、OSSの活用が拡大することで、コンピューティングの主導権がベンダー側からユーザー側へと移る傾向が明らかになっている。デルでは“Scalable Enterprise 2.0”というコンセプトを掲げ、エンタープライズコンピューティングの刷新に取り組んでいる。このアイデアの中核となるのは、標準化されたコンポーネントの積極的な活用だ。ベンダーロックインされた環境では、ベンダー固有のテクノロジに対する知識や経験が必要となり、それを持つ人材をユーザー側で確保する必要がある。これでは人件費の固定化という状況に繋がり、柔軟な運用を妨げる要因となりうる。一方、標準的なハードウェア+OSSという環境であれば、技術知識も広く公開された標準的なもので対応できるため、ITの運用に関わる柔軟性も高まることになる。
OSS検証センターでは、OSSにおける現状の性能を確認すると同時に、ユーザー主導のコンピューティングを推進し、より柔軟性の高い新たなITシステム構築に向かうための土台となる情報を提供する取り組みだといえる。デルは、「現状はベンダーとユーザーが相撲を取っている状況だが、この状況を変革し、オープンな土壌の上でベンダーどうしによる情報提供を行うことでユーザーがメリットを得られるようにしたい」という。ベンダーロックイン環境ではなく、主戦場を“オープンな土壌”に変えていくためには、OSSの成熟が不可欠の要素となるのだ。
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