個人情報保護法や、新会社法、そして2009年3月期の施行を予定している日本版SOX法など、企業に求められる法制対応(コンプライアンス)は年々強まる傾向にある。いわずもがな経営とITの関係が密接化している現在では、法が変わると共にシステムに変更を加えて対応させなくてはならない。そして今最も重要なコミュニケーションツールとなっているメールにも当然のようにコンプライアンスのための施策が必要となる。そこで今回はコンプライアンスの遵守のほかにも、様々な用途から今後の企業に必要となる、メールを介した情報漏えいへの対応策とメールアーカイブの必要性についてみていくことにしよう。
電子メールのセキュリティは穴だらけ?
インターネットが1960年代に誕生した背景。それは、それまで、ポイント・ツー・ポイントでの接続でしかなかった世界中のWANやLANを相互接続することから始まった。これはネットワークが相互接続され、世界中に蜘蛛の巣のように張り巡らされることによって、特定のコンピュータやネットワークがダウンした際にも、常に通信ができるようにしようというコンセプトがあったからだ。この方式では、当然、データが行き交う際には様々なコンピュータを経由するため、速度や品質は保証されない。とにかく“つながる”ことを最大の無垢的としてインターネットは登場したのだ。そしてインターネットを活用するためのコミュニケーションツールとして1970年代に登場した電子メールも、“送れる”ことが前提としたものであった。
このような登場の経緯もあり、電子メールにとってセキュリティや信頼性などの要件は今になっても未整備の状況となっている。例えば、各種の業務上のやりとりの大半にメールを使い、社外/社内を含めて重要なやりとりも行っている。しかし、ほとんどのメールは全くセキュリティ対策を施していない平文でやりとりされており、常に情報漏えいが生じるリスクを抱えながら運用しているのだ。
また、メールに纏わる脅威は、ウイルス、スパム、フィッシング、情報漏えいと次々と増えており、企業はそうした脅威が登場する度に対策を迫られている状況にある。そして、最近ではコンプライアンス対策のためのメールアーカイブも取り組まなくてはならない項目として上がっている。ただ、いずれもポイントソリューションを別々に導入しているケースが目立つのが実情だ。こうした別々のベンダーの製品を利用すれば、別々インターフェースで運用・管理する必要があり、様々な部分で無駄が生じているのだ。
現在は、電子メールが重要なメッセージングインフラとなっており、しかも電子メールに関わる脅威が多数登場している状況にある。その中でこれまでずさんな体制で運用されてきたメールシステムのセキュリティ対策や信頼性を万全なものにするためには、スクラッチに近い状態で再構築しなくてはならない時期にさしかかっているともいえるだろう。
電子メールの歴史
脅威と共にトラフィックも大幅に増加
メールシステムへの脅威は、トラフィック面でも大きな問題となってきている。特定のサーバーに対して負荷を与えサービス停止に追い込むDoS(Denial of Service attack)や、その進化系で複数のサーバーを利用して特定のサーバーを攻撃するDDoS(Distributed Denial of Service attack)、またスパムやフィッシングメールを送信するためにメールアドレス収集業者がメールアドレスを収集するアドレスハーベスティングなどがますます盛んになっており、そのトラフィックを処理するための負荷もますます増加している。
特にアドレスハーベスティングは、ランダムに生成したメールアドレスをサーバーに送りつけ、そのアドレスが存在するか否かを見つけ出す。しかも、日々多数の事業者がこの行為を行っており、さらにはスパムの送り先が判明すれば、そこにスパムを送りつける。このように何重にも負荷がかかる仕組みとなっている。それにも関わらず、ファイヤウォールの外側にメールサーバーを設置しているケースなども散見されており、負荷がかかる状況をよしとした運用となっているケースが多い。
一方で対策をとっている企業も、先に述べたように企業は脅威の種類が増える毎にポイントソリューションを適用することでメールシステムを保護してきた。その結果、メールシステムでは多数のアプリケーションが稼働していて、相当なリソースを消費している状況にある。加えて、トラフィックの増加がここに追い打ちをかける状況であり、メールシステムを安定稼働させるための莫大なハードウェアリソース必要になっているのだ。
実際、大規模なシステムでは、ウイルス対策専門のゲートウェイを数十台ものサーバーを並列で動作させて運用しているケースも存在する。そのゲートウェイが処理するメールの大半がスパムであることを考えると、いかに収益性のないものに対して高価な投資を行っているかを問題視しなくてはならない。さらに、スパムによって、生産性の低下やミスの増大による機会損失など、いろいろな問題が起きているが、これらも既存のポイントソリューションでは解決できていない部分も多く、企業にとって大きな課題となっているのだ。
「通信」 の新着情報
-
エイケア・システムズ、メール配信サービスとTwitterの連携を開始
エイケア・システムズは、メール配信システム「MailPublisher」が配信するメールのタイトルを、Twitterに自動投稿する連携サ... - ベライゾンビジネス、仮想私設LANサービスを国内で提供--世界31カ国に拠点
- 「勘違いするな、MSのクラウドへの本気度は100%だ」--バルマーCEO、ほえる
- ネットの「2011年問題」?--IPアドレス枯渇対応チェックリスト公開
- 日立情報、自治体向けSaaS発表--小規模な自治体向けに規模別サービスを用意
- 通信 一覧へ »
「次世代メールソリューション」 のバックナンバー
-
【第6回】メールマネジメントのずさんな実情とその対策を考える
通信の品質や安全性よりも、“つながる”ことを目的として構築されたインターネットと同様に、電子メールは“届く”ことに主眼が置かれて発展してきた文化を持っている。 ところが、電子メールはビジネスにおいて最も重要なコミュニケーションツールになっている今日、“メールが届かない”という事態も発生しており、メールシステムには信頼性や高いセキュリティなどのミッションクリティカルな要素が求められているのだ。 しかし、企業の管理体制に目を向けると、まだまだずさんな実態が見受けられる。本連載の最終回となる今回は、企業のメールシステムにおける管理体制の実態と、それを改善するための策を見ていくことにしよう。 -
【第5回】コンプライアンス対応によって求められるメールを介した情報漏えい対策とアーカイブの必要性
-
【第4回】高まる送信ドメイン認証への期待とニーズ
-
【第3回】運用・管理の側面から見たスパム対策ソリューションの最前線
-
【第2回】メールの誤送信による信用失墜を防止
- 次世代メールソリューション 一覧へ »
-
日本モバイルインターネット端末市場分析 〜2008〜2012年のMID及びスマートフォン...
- 中堅企業におけるテクノロジーと成長
- 企業コスト削減の傾向と対策 〜最新アプローチのトレンド〜
- ITコスト削減の傾向と対策 〜情報システム部様限定〜
- 電力消費量を可視化〜!身近なPC管理から始めるグリーンIT統制〜
- 大容量ファイル、機密情報データの受渡しに! ~~ ファイルエクスプレス ~~
- インターネットセキュリティにおける今後の展望’09-’10
- 自動車業界におけるトレンドと課題 −グローバルな成功へと導くソリューション− I...
- パンデミックでも社員を守り業務継続を支援する
- VMware ESX ServerやCitrix XenServerの仮想環境を丸ごとバックアップ・復元
企画特集
-
進むストレージ環境の見直し
仮想環境に最適なiSCSIストレージLeftHandのメリット -
マネジメントの「コラム」と「コネタ」
今日のキーパーソンは誰? -
【最終警告】パンデミック対策特集
サービス品質を保証するためのリスクマネジメントとは -
―エン・ジャパン厳選求人☆毎週更新―
ハンゲームの社長が語る・人材とサービスの在り方 -
大丈夫?あなたの会社のセキュリティ対策
中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティを考える -
求めているのはSIerのエンジニア!!
連載インタビュー第1話、グリーCTO藤本氏が語る -
100万円で実現!中小企業の情報漏えい対策
中小企業の課題!?セキュリティ管理者不在でも大丈夫 -
最大32個のセンサーが電力を徹底管理!
『省エネ性能』追求HPx86サーバー徹底レビュー -
企業ITシステムの企画、構築、運用のイロハ
戦略的なITシステムのために、今考えるべきポイント -
情報漏えいを食い止める!
証跡としての信用力を高めるメールアーカイブとは? -
VMware OEMベンダー6社を独占インタビュー
IBM、HP、NEC、DELL、日立、富士通のVMwareの取り組み -
急増するオンライン犯罪への解決策!
オンラインサービス保護ソリューション -
J-SOX法制定により内部統制の整備が急務に
重要性高まるActive Directoryの課題と対処法を公開中
-
17. Intel Threading Building Blocks
オライリーブックから出版されている「Intel Threading Building Blocks... -
18. Intel Integrated Performance Primitives
単に最適化コンパイラを使うよりもパフォーマンスを良好にするルーチン...
新着企業動向
-
Macintosh用DVDコピー/動画変換ソフトウエアの最新版「Roxio Popcorn 4」を11月6日に販売開始
ラネクシー -
JP1研修 ジョブ管理
アシスト -
「大江戸セキュリティくろすわーど」好評につき期間延長しました!(11/15まで)
日立システムアンドサービス -
メールセキュリティSaaS『Mail Luck!セキュアタイプ』
NTTPCコミュニケーションズ(ネットワーク事業部) - 企業動向一覧へ»

