システム開発の重要なキーワードとなっているSOA。そこで本連載では、今回から5回にわたって、SOAの導入を成功に導くためのポイントを探ってみたい。第1回の今回は、SOAを支えるアプリケーション統合のためのIT基盤として「ESB(エンタープライズ・サービス・バス)」に焦点を当てる。SOAについては、BPM(ビジネス・プロセス・マネージメント)の側面から論じられる場合が多い。しかし、最も考慮すべき前提として、サービスの標準化とともに柔軟性、可用性に優れた確固とした基盤があってこそ、ビジネスプロセスの改善も可能になるのである。ESBがアプリケーション統合の“経済性と俊敏さ”を変えると期待される理由を追った。
ESBの先駆者の考える「ESBの定義」とは
SOA(サービス指向アーキテクチャ)は、ビジネス環境の変化に対応する柔軟性に富んだシステム統合のためのアプローチである。SOAは決して新しいコンセプトではない。それにもかかわらず、その意図するところは様々に解釈され、定義やその評価もまちまちだ。「SOAのメリットは認めるとして、何から始めればよいのか」、「今までのWebサービスと何が違うのか」、さらには「ベンダーの造った新しいバズワードだろう」などと言う声さえ耳にする。
一方でIT投資の観点から見ると、IT基盤には3つの評価軸があるという。1つはシステム構築・変更・運用に関するコストの削減である。2つ目は可用性を含めたシステムのパフォーマンスの向上だ。そして最近になって3つ目の評価軸として注目されているのが“アジリティ(俊敏性)”の向上だ。ビジネス要件の変更や新たな要求に対して、柔軟に即応できるシステム基盤を構築すること、つまり俊敏な意思決定、経営のためにSOAの導入が鍵となるのである。

こうしたなか、SOAの実用化のために現在最も注目されているアプリケーション統合のためのテクノロジが、「エンタープライズ・サービス・バス(ESB:Enterprise Service Bus)」だ。
このESBの分野には、現在では多くのベンダーが参入(または参入しようと)しており、いくつかの製品をリリースしているものの、ESBに明確な標準規格が存在するわけではない。それぞれに認識や解釈の違いがあり、アプローチの方法も少なからず異なっているのが実情だ。なによりも、製品によって享受できるESBの機能性や経済性のメリットの違いが、ユーザーの誤解や混乱を招き、SOA導入におけるESBの価値を損ないかねない。
そこで本連載では、ソニック ソフトウェアの提供するESBソリューションに目を向けていく。同社は、米ガートナーによってESBがSOAのための新しいテクノロジとして提唱さされた2002年に、ESBを業界で初めて製品化した、この分野の先駆者としてよく知られているためだ。ESBをサポートし始めた他社に比べ、同社のESBを導入する企業は400社に及ぶという。まずは、ESBの開発者であるソニック ソフトウェアの考えるESBについて明らかにしておく必要があろう。
ESBが担うべき重要な役割としてソニック ソフトウェアが挙げているのが、「サービスの公開」だ。バックエンドのシステムから、例えば受注処理や在庫管理、信用照会などの比較的粒度の大きな再利用性の高いビジネス機能をソフトウェア・コンポーネントとして切り出して(ラッピング)、サービスとして定義することである。もう1つが「アプリケーションの統合」である。切り出されたビジネス機能を実現する複数のサービスを接続し、一連の新しいビジネスプロセスを実現することだという。
そしてソニック ソフトウェアは、SOAを実現するためのシステム統合基盤として、ESBが実装すべき基本機能を以下のように定義している。
- サービス公開のための「サービスホスティング」
サービスという単位でのプログラムの実行環境を提供する。
例:アプリケーションサーバ、プラットフォームに依存しない軽量コンテナ(ESBコンテナ)など - アプリケーション統合のための「サービス間の対話」
サービスとサービスを連携させるための通信バックボーンと仲介機能。
例:MOM(メッセージ指向ミドルウエア)、JMS(Java Message Service)など
仲介機能としてインテリジェントなルーティング、フォーマット変換など - 集中管理のための「サービス設定情報の格納」
様々なロケーションに分散するサービス、プロセス、リソース、キューなどの設定情報を格納し、一元的に管理するためのリポジトリ。
すなわちこれはESBと呼ぶための基本条件であり、SOAの実現を目的としてESBを採用する場合には、この3点を実装されている必要があるというわけだ。
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