サーチエンジンのテクノロジーをイントラネット内に取り込み、さまざまな技術と連携を図ることで、全社的な情報活用の底上げを図る「エンタープライズ・サーチ」。その導入機運がここにきて企業で一気に高まり始めた。では、なぜ今、エンタープライズ・サーチがこれほど脚光を浴びているのか。本稿では、その背景とエンタープライズ・サーチが企業にもたらすメリットを探った。
さまざまな要因で脚光を浴びる“エンタープライズ・サーチ”
インターネットの世界で一般的に利用されているサーチエンジン。そのテクノロジーを企業のイントラネット内に取り込み、単なる情報検索のみならず、全社的な情報流通や活用のために活用する「エンタープライズ・サーチ」への関心が、ここにきて急速に高まっている。検索エンジンの専業ベンダーに加え業務アプリケーションベンダーの参入も相次いでおり、米国のみならず日本でもエンタープライズ・サーチ環境の整備に着手する企業が登場し始めた。
このように、エンタープライズ・サーチへの関心が高まっている背景には、いくつかの要因が存在する。まず挙げられるのは、“労働市場の変化”だ。日本では、“終身雇用制”という慣行の下、知識労働者も含め労働者の流動性が先進諸国よりも低く抑えられてきた。実はこのことが、社員の属人的な知識や情報の組織的な共有を阻んでいた面があった。社員が会社を去ることが想定されていないため、組織としてそれらを管理する仕組みの必要性が認識されなかったのだ。
しかし、この2〜3年で状況は着実に変わりつつある。実際に、転職活動は日常的に行われるようになっている。加えて、“2007年問題”で指摘されているように、これからの数年で、長年にわたって企業を支えてきた人材の多くが定年を迎え、企業を去るのは確実な状況だ。このような中で、エンタープライズ・サーチは業務を通じて社員が獲得してきた属人的な知識や情報を、企業組織に継承するための手段として脚光を浴びているのだ。
また、Web2.0に代表される、インターネット上における急速な技術革新も見逃すことができない要因だ。すでにインターネットの世界では、タグ(分類/属性情報)により不特定多数の人の手によって情報を分類したり、関連する情報を付加したりといった「フォークソノミー」※が一般的に行われるなど、いわゆる“集合知”の活用に向けた環境が着々と整いつつある。この利便性をエンタープライズ・サーチでイントラネットに取り込み、情報流通や情報活用を社内で活性化させることで、同業他社に対する競争優位の確立につなげようとしているのである。
さらに、コンプライアンスやセキュリティの観点からも、社内の“どこ”に“どのような”情報があるのかを把握することが企業に求められている。そして、そのための手段としてエンタープライズ・サーチの活用に取り組んでいるのだ。
エンタープライズタグ
エンドユーザーが付けるタグを利用して情報を収集したり、分類したりする方法を指す。「人々」(folks)と「分類」(taxonomy)を組み合わせた造語で、SNSなどのCGM(Consumer Generated Media)やBlogなどで使用されることが多い。
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