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【第3回】製品品質の向上を実現するナレッジマネジメント革新とESPの有用性

PRTMは、実務革新いわゆるイノベーションを実現する経営戦略コンサルティングにおいて、トップシェアを持つグローバル・コンサルティング・ファームだ。例えば、PRTMが開発した製品開発プロセス改革の方法論とフレームワークは、数多くの先進企業で採用されている。前回はデータチェーンによる情報の見える化について触れたが、第3回となる今回は渡辺氏、町田氏のほか、PRTM パートナーである入江仁之氏に討論に加わっていただき、製造業において最重要課題となっている「製品品質および製品開発生産性の向上」の観点から、その実現方策としてのナレッジマネジメント革新、さらにはEPSの可能性について議論していただいた。

ロビンソン  2006年10月17日 22時10分

PRTMは、実務革新いわゆるイノベーションを実現する経営戦略コンサルティングにおいて、トップシェアを持つグローバル・コンサルティング・ファームだ。例えば、PRTMが開発した製品開発プロセス改革の方法論とフレームワークは、数多くの先進企業で採用されている。前回はデータチェーンによる情報の見える化について触れたが、第3回となる今回は渡辺氏、町田氏のほか、PRTM パートナーである入江仁之氏に討論に加わっていただき、製造業において最重要課題となっている「製品品質および製品開発生産性の向上」の観点から、その実現方策としてのナレッジマネジメント革新、さらにはEPSの可能性について議論していただいた。

製品の複雑性の増大が、品質の管理を困難にしている

渡辺●前回は、製品の製造工程において、様々な用語に対して関係性を紐付けることが可能になり、従来ならシステム間でバラバラだった情報がESPで統合できる点について触れました。その次のステップとして、紐づいた情報をどう活用するかというナレッジ系の話をしたいと考えています。実際に製品開発のコンサルティングを手がけてらっしゃる入江さんから見た、製造業が抱えている問題をお聞かせください。

入江●企業経営の立場からは、情報の管理手法よりも、いかに売上利益率を上げるかが重要なテーマとなっています。要するに、売れる製品を必要とされるタイミングで市場投入したい。この市場対応力を高める目標を具体的なアクションとして、どう管理していくかが重要です。そのためには過去の事業で得た経験や知見を組織力に変換し、組織として強い能力を発揮する必要があります。「売れる製品」をつくっていく上で、エンジニア、マーケッター、コスト管理者、バイヤーなどが集まって、知見をシェアすることが重要になっているといえるでしょう。

PRTM パートナー 入江 仁之 氏(左) ウチダスペクトラム株式会社 代表取締役社長 町田 潔 氏(中央) CNET Japan「情報化社会の航海図」ブロガー 渡辺 聡 氏(右) PRTM パートナー 入江 仁之 氏(左)
ウチダスペクトラム株式会社 代表取締役社長 町田 潔 氏(中央)
CNET Japan「情報化社会の航海図」ブロガー 渡辺 聡 氏(右)
入江 仁之

PRTM東京オフィスのパートナー。

特に日本において、サプライチェーン、マーケティング顧客管理の実務的戦略構築においてのオピニオンリーダ的存在である。ベストセラーとなったサプライチェーン戦略(ダイヤモンド社)を含む8冊の本を出版し、ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー誌を始め多くの専門誌での論文寄稿、インタビュー紹介が為されている。また、専門分野についての解説等がテレビ、ラジオで放映されている。 ハーバード大学留学後、早稲田大学大学院を始め複数の大学院での講義の経歴がある。公認会計士、システム監査技術者等の資格を有している。国家試験である情報処理技術者試験の試験委員でもある。
自動車、航空、産業用機器、家電、半導体、コンピュータ、ライフサイエンス等の様々の産業でのコンサルティングプロジェクトを統括してきた。彼は、1980年代後半、日本では最初のサプライ/デマンドチェーンの仕組みを提案設計導入している。彼がリードしたプロジェクトには、ハイテク、自動車、通信、ライフサイエンス、そして公共機関も含まれている。何れも、業界で先進的な取組の提言、導入となっている。

 特に最近、浮上してきたテーマとしては、たとえば自動車であればリコール問題、電化製品であれば、人身事故まで起こっている品質や製造者責任の問題があります。製造各社ともに品質に対する取り組み、モノづくりについての組織的な能力を強化する活動を重視しています。会社によっては、CEO自ら本部長となって本格的に取り組まれています。品質確保が重要になっている背景には、製品の機能が向上してきていることがあります。ハードウェアだけではなくソフトウェアの規模の拡大や、半導体の利用個数の増大です。製品の複雑性が増すにつれ、品質を維持する管理プロセスのハンドリングが難しくなっており、精一杯注力しているにも関わらず問題が出てきているのが現状と考えられます。

渡辺●一方でマーケットでの競争はまずます厳しくなり、コストダウンへのプレッシャーは大きい。競争力を高めるには投資も必要でしょうし、企業はどう折り合いをつけようとしているのでしょう。

入江●我々の試算では、製品ライフサイクル全体のコストの約7割から8割が、設計段階で決まってしまいます。コストの削減には、開発設計段階で適切なサプライヤーの適切な部品をどう選定していくかが重要となります。具体的には、部品を同様の要求仕様の製品間で共用化(コモナリティ)を拡大し、あるいは製品の世代間で同じ部品を使っていくこと(キャリーオーバー)をします。キャリーオーバーとコモナリティの縦と横で部品を再利用することにより、抜本的なコスト削減が実現できます。

 こうしたコスト削減によって製品の複雑性と折り合いをつけていくわけですが、部品を再利用すると、ある部品に問題が発見されるとその影響は一製品に採用している場合に比べて遙かに大きくなります。従来なら1機種1世代の問題であったものが、多機種・多世代でインパクトを受けることになります。トレードオフとなるコスト削減と品質管理の折り合いをどう付けて問題を解決するか。企業はリスクを冒してもコスト削減に取り組まないとならない反面、複雑性をコントロールし切れなくなっているというのが現状です。コストのプレッシャーの中で、品質の問題が一番クリティカルになっているのです。

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