エンタープライズサーチの有効性について論じてきたこのシリーズでは、さまざまなESPの活用法が提案されてきた。最終回では、企業における情報共有に向けた新しいナレッジマネジメント(Knowledge Management:KM)の姿に注目する。90年代後半から注目を集めながらも、効果の評価が分かれたKMが、今どのように変わりつつあるのか、そしてナレッジマネジメント2.0とも呼ばれる新しいKMにおけるESPの果たす役割について見ていきたい。
Web2.0時代にふさわしい新たなKM
本連載でこれまで示してきたように、現在ESPに企業からの強い関心が向けられていることは確かである。それは、ZDNetが06年に開催した2度のESPカンファレンスの集客をみても一目瞭然だろう。デスクトップサーチの利用率は非常に高く、もはやホワイトカラーのワークスタイルのスタンダードツールになりつつある。次のステップとして、エンタープライズサーチが必要となるのは明らかだ。
ただし、ESPはビジネスプロセスを直接支援するタイプではないが故、IT投資の典型として、その正当化が困難という問題に直面する。ESPは便利だが、数百〜数千万円という多額の投資効果があるのかといった点だ。また、ESPをツールとして導入するだけでは、自動的に活用が促進されることはないことも、十分に理解しなければならない。
テックバイザージェイピー代表取締役
弁理士 技術士(情報工学)
栗原 潔氏
「ESP導入にあたり、ナレッジマネジメント(KM)という考え方を再度ひも解き、始めから考え直してみてはどうだろうか」と提案するのは、テックバイザージェイピー代表取締役の栗原潔氏だ。Web2.0時代にふさわしい新たなKM――「KM2.0」を考えていくことで、ESPの果たす役割とは何かが見えてくると同氏は語る。
従来のKMでは、ユーザーによる利用が進まず形骸化しているケースが多いという。その要因は次のようなものがある。
- 特定ベンダーに依存したアーキテクチャ
- 知識コンテンツのライトオンリー化
- ダイナミック性の不足
- 双方向性の不足(本社部門から現場への掲示板化)
- 情報分類・整理のための過大な管理負荷
- 投資効果の算定が困難
- 情報が見えすぎることによって重要なノウハウが形式知化されない
KM1.0からKM2.0へのテクノロジー変革
上記の要因に対して、新たなテクノロジーを活用することにより、KMシステムとKMプロセス双方の再革新が可能になると述べる栗原氏は、従来のKM(便宜的にKM1.0とする)とKM2.0との違いを独自の切り口で分類している(図1)。その中でも、重要と位置づける6つを例に、新旧の比較ポイントを紹介する。
図1
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