2008年3月期から実施されるといわれている日本版SOX法。先に導入した米国では、SOX法への対応を果たすのが難しいゆえに、非上場になった企業があるといわれるほど、その内容は厳しいものになると見られている。しかし「うちは上場していないからいいだろう…」という声や、「実施時期はまだ先だし、来年になってからで十分だろう…」という声も多い。だが、完全な対応を果たす義務はなくても、企業が事業を展開するためには必ず関わってくる問題である。2005年に施行された個人情報保護法への対応ですら、あわてて対策をおこなう企業が多かった実情を見ると、遙かに厳しいSOX法への対応は楽観視できない。そこで、本連載では、日本版SOX法に不可欠な内部統制を実施するための手段やツール、それによってもたらされる効果について見ていくことにする。
日本版SOX法を考慮したシステム設計が必須に
日本版SOX法について語る前に、まずは本家の米国でSOX法ができた背景について見ていくことにしよう。米国でSOXが成立・施行された背景には、電力自由化によって“見かけ上”の急成長を果たしたエンロンが、2001年に起こした米国史上最大規模の不正会計事件がある。同事件は、実質の取引量がゼロであるにも関わらず、利益を上がったように見せる電力の空売りなどを繰り返し、粉飾会計を積み重ねるというもので、最終的には膨大な債務を残して経営破綻した。
SOX法は、この不正会計事件を受けて2005年に策定された法律となる。株式公開をしている企業に対して、内部統制の体制を確立し、それが効果的に機能しているかを監視すると共に、会計監査制度の充実を企業に義務付けている。そして、日本においても5年以上米国に遅れる形で、2008年3月決算期からの適用に向けて「SOX法」をベースにした「日本版SOX法(J-SOX)」の法制化が、金融庁によって進められている。

日本版SOX法への企業の対応だが、誤った認識が広まっていることは否めない。1つ目は、日本版SOX法が現時点では正式に成立していないこと、また適応されるのが2008年の3月期からと見られているため、比較的時間に余裕があると認識していることだ。だが、残された時間はほとんどない。というのも、2008年の3月期の決算時に日本版SOX法に定められた報告を行うには、従来の財務報告書に加えて新たに内部統制報告書を提出することが必要となる。つまり、2007年4月には運用体制ができあがり、報告書を作成するための準備が整っていなくてはならない。
1つ目の誤った認識は、日本版SOX法は米国と同様に上場企業を対象に実施されると見られているため、自社には全くの無関係と捉えるケースだ。だが、実際には上場企業の子会社や関連企業であれば連結決算の対象なので日本版SOX法への対応は必須となる。そうでない場合でも、企業間のシステム連携が不可欠となっている現在、内部統制ができていない企業とは、取引を見直すという企業が現れる可能性がある。こうした状況を考慮すれば、日本版SOX法への完全対応を果たさないまでも、内部統制の実現に向けた整備は、大半の企業が早急に対処すべき課題となっている。
「セキュリティ」 の新着情報
-
ISPの悪質サイトブロックと「通信の秘密」
セキュアコンピューティングジャパンのカンファレンスに登壇したNTTPCコミュニケーションズの小山覚氏は、法律が許せばISPが... - マイクロソフト、9月の月例パッチを予告--緊急レベルが4件
- グーグルが「Chrome」を作った理由--高速ブラウジングがもたらす利益
- ヴイエムウェアが複数の脆弱性への修正パッチを公開
- 「Google Chrome」に初のセキュリティ上の脆弱性
- セキュリティ 一覧へ »
「IT内部統制」 のバックナンバー
-
【第5回】経営者に求められる内部統制の責任と、それに伴う情報システム部門の変化
2005年の個人情報保護法と不正競争防止法の施行以来、情報システム部門の立場を変化させる大きな流れが生まれている。これは各法律が施行された後に、情報漏えいに関する事件がマスコミを賑わすようになり、組織のトップの責任意識が高まったからだ。ITを利用した内部統制の重要性を理解しない経営者、認識の甘い経営者は、2008年にはたいへん事態を迎えることになるだろう。最終回となる今回は、2006年5月に施行された新会社法や、2009年3月期の適用を予定している日本版SOX法が、経営者や情報システム部門に与えるインパクトについて考察してみよう。 -
【第4回】Winnyで広がる暴露ウイルスが内部統制を脅かす(後編)
-
【第3回】Winnyで広がる暴露ウイルスが内部統制を脅かす(前編)
-
【第1回】日本版SOX法への認識の落とし穴〜すべての企業が対象となる可能性が〜
- IT内部統制 一覧へ »
ZDNet Japan Essential Topic
-
【今注目のIT企業は何を考える…??】
オススメIT系求人情報も毎週月曜日更新! -
コラボレーション基盤特集
Notes置換とバージョンアップの情報はこちら
企画特集
-
ZDNet Japan ホスティング特集
2008年夏のホスティングサービスのトレンドは何? -
APC SOLUTIONS FORUM 2008をレポート
電源、冷却の効率化によるエネルギー削減とは? -
セキュリティ対策レベルテスト公開!
自社のセキュリティのウイークポイントはドコ? -
「シンプル」&「低コスト」な運用管理
IT運用管理に関するアンケート実施中! -
Webセキュリティ特集
Web2.0時代の脅威へ対抗するためのソリューションとは? -
Techno Exchange
RackableとCTCの地球にやさしい関係 -
ログ管理ソリューション特集
セキュリティ、コンプライアンス対策で注目度アップ! -
サーバ仮想化・グリーン化の利点を最大化!
そ多機能・高価値なNetAppストレージの秘密とは -
ZDNet Japan Green IT
サミットだけでは終わらせない!エンタープライズの取り組みはこれからだ! -
Secure Web
Web2.0時代にプロアクティブなセキュリティを実現!! -
【ログ管理】Logstorage、SecureEagle/SIM
内部統制のためのソリューションを紹介! -
IronPort Sシリーズ
Webからの脅威に関する課題の3つの解決方法
ZDNet Japan イベント
- 開催日:2008年9月29日(月)
- イベント一覧へ»