システム間をビジネスのプロセスに則して連携させる方法論として注目を集めるSOA。前回は、このビジネスプロセス連携に有効活用できるBPEL(Business Process Execution Language for Web Services)について解説した。ただ、BPELでプロセスとシステムを結びつけるだけでは、SOAは成功には到達できない。日常的にシステムを監視し、ビジネスプロセスが円滑かつ、効率的に動いているかをチェックし、最適化する必要があるからだ。そのためには、可視化と呼ばれる技術が重要となる。今回はSOAにおける可視化の位置付けについて見ていくことにしよう。
SOAと可視化はどのような関係にあるか
SOAの基本は、ソフトウエア部品や機能、ビジネス処理を再利用しやすい「サービス」という形にすることにある。そして、これらを柔軟に組み合わせることによって、特定のハードやソフトにしばられない柔軟なビジネス・システムを構築しようというアーキテクチャであり、コンセプトとなっている。企業システムを取り巻く環境が激しく変化し、その課題を解消するのにも、これまでのような効率化や合理化といった単純なものでは対応できなくなっている。この結果、現在の業務システムには、以下のような要素が求められるようになっている。
- 変化への柔軟な対応力
- 低コストなシステムの実現
- セキュリティとコンプライアンスへの対応
- システムの可視化技術
こうしたポイントの中で、SOAを実現する上で今回注目するのは、可視化の部分にある。これは、ビジネスの現状とITシステムとのギャップを正確に把握するためだ。SOAによって構築されたシステムに対して、実際にどの程度のビジネス・パフォーマンスが発揮できているかを分析し、可視化する仕組みが必要になってきているのだ。
ビジネスにおけるシステムのパフォーマンス測定に必要な可視化のポイントは3つある。1つ目は、システムそのものパフォーマンスの可視化だ。2つ目はプロセスの可視化。そして3つ目がデータの可視化になる。これらの可視化技術の中で、ビジネスプロセスが正しく稼働しているかを、リードタイムやコストといったビジネス的な視点でリアルタイムに監視するのが、BAM(Business Activity Monitoring)と呼ばれるツールとなる。

では、BAMと呼ばれるシステムは具体的には、どのような働きをするのか? それを語る前にBAMの重要性を知る意味で、もしシステムを各々で監視するシステムを利用するとどのような問題が起きるのか考えてみよう。例えば、製造業の業務システムでは、受注、生産、出荷、販売など、さまざまな処理をするためのコンピュータが作動している。このように複数のプロセスが絡み合いながら動いている業務システムに対して、個別のシステムにモニタリング機能を付加して管理した場合、以下のようなことが起きる。
まず、ビジネスプロセスの全体像を見渡すためには、各種のシステムから上がってくるデータをつなぎ合わせて分析する手間が必要となる。また、取引先企業や社員の増減、ビジネス・スキームの変更や拠点の移動、組織の再編や企業合併、といったビジネス環境の変化が発生するたびに、すべての監視システムのコードを修正したり、変更したりという作業が生じ、多大なコストや労力が必要となる。
しかも、メインフレームに代表されるような個別最適化されたシステムを使用している場合には、その修正コストも膨大なものとなる。さらに、旧式のシステムでビジネスプロセスの現状を把握しようとすれば、データ確認画面の再問い合わせやリロードが頻繁に発生し、パフォーマンス劣化が起きる心配もある。これでは、余計な負荷をシステムにかけてしまう。ほかにも、エラー通知やアラートなどを実装しようとすれば、個別システム毎にそれぞれのしきい値を決めて、バラバラに追加開発していかなければならない。もしも、値に変更が発生すれば、コードに埋め込まれた数値を直接修正するといった負担やコストが発生する心配もある。
こうした問題を解決するための有効なツールがBAMとなる。BAMを利用することで、業務効率や業務の処理速度を改善するためのシステムパフォーマンスの指針をリアルタイムに入手できる。これにより、業務システム全体のボトルネックの把握が可能になり、ビジネスプロセスの改善と効率化を促すことが可能になるのだ。
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