本連載ではSOAの基本的な考え方から、導入プロセスにおける注意点や実際の採用事例など、SOA適用による次世代のエンタープライズシステムを見てきた。最終回となる第6回は、本連載の締めくくりとしてSOAによって実現される次世代のシステムの姿を見ていくことにする。その一例として、Webサービスをはじめとする各種のサービス・システムが組み合わさったスイート製品として提供されるOracle SOA Suiteの効用と、これから企業システムに求められる要素について考えてみることにする。
いまはBPELを用いたボトムアップアプローチが主流
SOAの全体観としては、アプリケーション機能をサービス化し、その上のレイヤーでプロセスを構成し、既存アプリケーション資産の有効利用とプロセスの変化対応力を高めるというものだ。さらには、アプリケーションごとに異なったデータ構造を最終的に統合するということが必要となってくるケースもある。こうした全体観でSOAを捉えるのは大企業がメインとなる。ただ、中小規模の企業にもシステムを連携させたい、といったニーズは少なからずある。SOAでなくともシステムの連携や統合は可能だが、将来への1つのステップとしてSOAに取り組むことも選択肢として考えられるからだ。
実際にこれまでの連載で説明してきたように、SOAにはトップダウンとボトムアップの2つのアプローチがある。企業内全体で業務機能をきっちりと見直し、すべてのサービスを定義してプロセスをつくっていくのがトップダウンのアプローチである。一方、システム連携という部分に焦点を当て、各システムを接続するアダプタを使って開発量を抑えつつ、つなげられるところから単純にシステムを連携するところからSOAに発展させていくのがボトムアップのアプローチだ。

- 日本オラクル株式会社
システム事業推進本部
担当シニアマネジャー
杉達也氏
現在の日本において、SOAに関して多くの実績を持つのが、「Oracle SOA Suite」など、SOAに関する豊富な製品群を持つ日本オラクルである。同社のシステム事業推進本部 担当シニアマネジャーである杉達也氏はSOAの現状について、「いまのところ、取りかかりやすいボトムアップのアプローチが断然多いと捉えています。なぜなら、BPEL(Business Process Execution Language for Web Services)を入れて効果を見ながら広げていくやり方が取り組みやすいためです。ただ、トップダウンでSOA導入を決められるお客様も徐々に出始めています」と分析する。SOA自体のメリットをしっかりと理解している企業は「感触としてはまだ全体の3割程度」であり、ボトムアップで進める方が現在のニーズにはマッチしているという。

それでは、ボトムアップ型のアプローチでBPELから入るとして、BPELの導入によるシステム間連携の効果は即座に実感できるのだろうか。杉氏は、 「そもそもBPEL以前のシステム連携は、手動だったり、スクリプトでバッチ処理などをしてきました。それに比べるとBPELによる連携が、圧倒的にメリットがあるのは明らかです」とBPELの優位性を説明する。
実際にBPELは、「インストールから検証までを含めても2週間程度と短期間の導入が可能です」(杉氏)という。導入にあたって一番時間を要するのが、各アプリケーションのデータを格納する場所の調査となる。BPELで連携するシステムのデータの格納場所を指定する必要があり、パッケージによっては格納場所がわかりにくいものもあるからだ。この部分の整合性がとれれば、導入はスムーズに進むと見てよいだろう。
なお、効果的なシステム連携を実現するためには、企業が持っている既存のシステムがBPELによって接続できることが大きなポイントとなる。オラクルによれば、EPRパッケージやレガシー・システムなどの主要なテクノロジーについては、既に用意されたアダプタが利用可能なうえに、同社のパートナーの中には、BPELを使って自社パッケージと他社パッケージとの連携を検証しているISVが10社程度あり、それ以外にも検証に前向きなISVが複数いるという。"仕様上連携可能"なのではなく"検証済"であることも同社のOracle BPEL Process Managerの優位性となっている。
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