可用性については、例えば電子メールの稼働率を例に取ると、Google Apps Premier Editionの99.9%はNGで、99.99%を求める企業がある。しかし、これは現実的だろうか。電子メールをオンプレミスで運用している企業であっても、サーバメンテナンスなどの計画的停止時間を含めれば、実際には99.99%の稼働率には達しておらず、同時にそれほどの稼働率が必須とはならないケースも多いのではないだろうか。
また、システムのセキュリティについてはどうだろう。「ユーザーが作ったシステムよりも、クラウドの方がセキュリティレベルは高いと思う」と甲元氏は言う。しかし、中の見えないクラウドに対して、ユーザーは不安を持つ。
「クラウドベンダーの多くは非常に高いレベルの情報セキュリティ統制上の監査基準を取得している。ところが、雲の向こうはどこでどうなるのか分からないため、感覚的に恐れるユーザーは多い」と指摘する。クラウドベンダーによっては、運用やセキュリティに関して文書で回答したり、実際に雲の裏側を見せてくれたりすることもあるそうだ。甲元氏は「クラウドを上手く使いたいと考える企業にとって、可用性やセキュリティの問題はクリアできるはず」と見ている。
甲元氏によれば、意外にもクラウドの大きな弱点は「クレジットカード」だと言う。ほとんどのクラウドサービスではクレジットカードによる決済を行うが、日本のほとんどの大企業はカード決済ができないため、それが普及の障壁になるかもしれないそうだ。日本の代理店が間に入って、請求書を発行するなどの方法を採らないと、この問題を解決するのは難しい。
大企業はクラウドを利用するとき、代理店を入れるか、それとも従来の商慣習を捨て、クレジットカード決済を採り入れるかの、どちらかを選ぶことになる。小額の経費なら良いだろうが、会社全体で数百万円、数千万円になる支払いについて、カード決済を許すかどうかは、実はクラウドの導入にあたって大きな問題なのである。
以上、今回は必要なITリソースを必要な分だけ短時間で用意できるクラウドサービスについて、日本の企業はどのように見ているのか、あるいはクラウドに何を期待し、不安であるかについて、アナリストの意見を聞いた。
次回は、クラウドの登場によって企業のIT投資戦略に変化は起こるのか、起こるとすれば、それはどのようなものなのかについて考えてみたい。
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