万川集海も今回でとうとう最終回となった。最後はやはりストレージの未来について触れてみたいと思う。未来には無限の選択肢と可能性があり、その予測は難しい。しかしそれでは話が進まないので、あえてその将来像を考えてみる。
ここでは特にストレージという存在そのものがどうなっていくかについて話を進めたい。ストレージとは、データを保管するディスクやテープを指し、倉庫の役割を果たすものである。昔はコンピュータといえば家庭用の大型冷蔵庫くらいの大きさの箱がいくつも並んでいるという認識が普通だったが、今ではノート型パソコンが一般化し、各家庭にパソコンが2台以上あることも不思議でない時代となった。携帯電話でインターネットにアクセスするのも今日では普通のことだ。
ストレージはデータの保管庫であるため、いつでもどこでも情報を入れたり出したりできるものが望ましい。つまり一般家庭における電気やガス、水道などのように、蛇口やスイッチをひねれば必要に応じてストレージがすぐに使えるほうが便利だ。このようなストレージの未来形をユーティリティストレージと呼ぶことにする。ユーティリティとは、電気、ガス、水道など公共的なサービスを提供する言葉だ。
ユーティリティストレージが実現される世界を想像した場合、一体どのような使われ方や利用形態が考えられるだろうか。例えば、電話や電気は壁に付けられたコンセントのようなものにプラグを差し込んで利用している。もしかしたら将来は、ユーティリティストレージ用に標準化されたプラグ形状のコンセントが一般家庭の壁に付いているのが普通になるかもしれない。また、電柱にアンテナがたくさん立ち、携帯電話のように無線でストレージにアクセスできるのが普通の形になるかもしれない。
ユーティリティストレージの世界では、容量が足りなくなったからといって急に使えなくなるのでは困る。電気も水もガスも有限の資源であることは広く認識されているが、例えば各家庭で仮に蛇口から水を出しっぱなしにしたとしても、1時間経ったら水が出なくなるということはまずは起こらない。つまり実際には無限に存在しなくとも、ユーザーの視点から見て事実上無限に提供できるという要件も必要だ。
個別に購入したストレージの場合、ディスクが一杯になってデータが書き込めない状態が発生することもあり得るが、ユーティリティストレージの世界ではその心配はない。個別に用意したストレージの場合、容量不足を防ぐため、あえてちょっと多めにストレージを用意するという無駄を甘受しなければならないが、ユーティリティストレージの世界になればこの余裕分を社会全体で保持すれば良いので、今よりも効率的にストレージ容量を活用でき、ほぼ無制限に利用できるメリットが得られるだろう。
料金も使った分だけ支払う従量制が採用されるはずなので、今のように何年後かに必要となるディスクの分まで見積もった上で購入する必要はない。必要なときに必要な分だけ買えるのだ。
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