エンタープライズ・ニーズにマッチしたクラウド基盤の要件とは?

クラウド基盤ソフトウェアとして盤石の地位を築きつつあるOpenStack。急速な進化を続ける一方で、その変化の速さと構成の複雑化により、導入時の検証作業に手を焼く企業も多いという。そうしたOpenStack導入のオーバーヘッドを取り除くために、デルとレッドハットが共同で提供しているのが、「Dell Red Hat OpenStack Cloud Solutions」だ。両社のクラウド・ソリューションが提供する価値とは何か。デルの増月 孝信氏とレッドハットの佐々木 宏忠氏にお話を伺った。

OpenStackの急速な進化にとまどう企業

 エンタープライズ市場においてOpenStackが本格化したのは、2015年になってからだという。市場の変化について、デルの増月 孝信氏は次のように説明する。

増月 孝信氏
デル株式会社
エンタープライズ・ソリューション事業本部
エンタープライズソリューションアライアンス部
クラウドビジネス推進マネージャー
増月 孝信氏

 「2014年まで、OpenStackを本番環境で活用しているのは大学や研究機関が主で、企業は先進的なところでも実験的な導入に留まっているという状況でした。それが2015年に入ると、本格運用を前提として導入する企業が増えてきた。そして2016年は、この動きが一気に加速すると見られています」(増月氏)

 もちろん、その背景にはエンタープライズ・ニーズを満たすべく、OpenStackの開発が急ピッチで進められ、機能が充実してきたことがある。OpenStackコミュニティでは、6カ月ごとにバージョンアップを行う短いリリースサイクルが採用されており、これにより、短期間での成長が可能になったとも言えるだろう。一方、この短いリリースサイクルは、企業ユーザーにとって喜ばしいことばかりではない。レッドハットの佐々木 宏忠氏は、次のように説明する。

佐々木 宏忠氏
レッドハット株式会社
サービス事業統括本部
ソリューション・アーキテクト部
ソリューションアーキテクト
佐々木 宏忠氏

 「まず、リリースサイクルが短いと導入のタイミングが見極めにくいという問題があります。また、OpenStackコミュニティでは、あるリリースで見つかった不具合の修正を、次のリリースに持ち越すといったことがよくあります。旧版のサポートを手厚く行っていては新版の開発に注力できませんから、これはある程度は仕方のないことですが、企業ユーザーにしてみれば、安心して使えるのかどうか不安になるのも当然です。そもそもOpenStackは、各種コンポーネントを協調動作させるためのAPIのようなもので、コンポーネントの組み合わせ方はユーザーに委ねられています。同じ目的を実現する場合でも、コンポーネントの組み合わせ方は幾通りもある。ところが、組み合わせ方によっては、うまく動作しない、動作してもパフォーマンスが出ないといった問題が発生します。企業のIT担当者にしてみれば、非常に厄介なソフトウェアと言えるでしょう」(佐々木氏)

永続的な運用を可能にするクラウド・ソリューション

 そこでデルとレッドハットでは、OpenStack導入時に発生する煩雑な検証作業を軽減して短期導入を実現したい企業に向けて、「Dell Red Hat OpenStack Cloud Solutions」というソリューションを共同で提供している。これは、「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform」とデルのハードウェアを組み合わせた、検証済みのクラウド基盤を構築するためのリファレンス・アーキテクチャーである。

 「リファレンス・アーキテクチャーは、完成状態の構成だけでなく、その構築作業も手順を追って解説していて、ガイドに従って作業をすれば検証済み環境が出来上がるようになっています。もちろん、動作テストは必要ですが、不可解なトラブルが発生することはまずありません」(増月氏)

 OpenStackに関するデルとレッドハットの協業が始まったのは、「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform」が最初にリリースされた2013年のこと。デルとレッドハットは、デルがRed Hat Enterprise Linuxの最初のOEMベンダーとなったときから、オープンソースに関するパートナーシップを築いており、そうした二社がOpenStackソリューションを共同開発するのは当然の流れであったという。

 そのDell Red Hat OpenStack Cloud Solutionsの基本コンセプトは、エンタープライズ・グレードの安定性、可用性を実現すること。そのため、サービス、ストレージ、管理のネットワークはそれぞれ冗長化し、OpenStackコントローラーも冗長化している。2015年10月にリリースされたバージョン7では、分散ストレージのCephに対応したほか、EqualLogicやCompellentといったデルのストレージへの対応も強化された。

 また、将来的なバージョンアップを見据えて設計されていることも特徴だ。「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform」は3年間の商用サポートが提供されているが、企業のITインフラは5年ごとのシステム更改で計画されるのが一般的。つまり、最低1回はOpenStackをバージョンアップする必要があるわけだが、そのとき既存の環境をうまく引き継げないと、クラウド基盤をスクラップアンドビルドすることになりかねない。

 「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platformは、安定化作業やバックポートを施していますが、基本的な構成はコミュニティ版のまま。独自コンポーネントなどを使った機能拡張は行いません。それを行うと将来のバージョンアップが困難になるからです。追加したい機能がある場合は、まずそれをコミュニティに提供して、コミュニティ版に採用されてから製品に取り込む。これがRed Hat Enterprise Linuxの開発で培ってきたレッドハットのやり方です」(佐々木氏)

 一方、Dell Red Hat OpenStack Cloud Solutionsのハードウェア構成では、安定性とコストパフォーマンスの両立に腐心しているという。

 「安定性だけを優先してリッチな構成にすると、スケールさせたときにコスト高になってしまいます。例えば、サービス、ストレージ、管理のネットワークを物理NICだけで冗長化すると、1ノード当たり6ポートが必要になり、スイッチも大規模なものを使うことになります。そこでBondingドライバで仮想化することで、冗長化による保護を確保しつつ、物理NICを減らすといった工夫をしています」(増月氏)

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