スーパーコンピューティングへの旅のまとめ

スーパーコンピューティングのイベント「SC08」は熱気にあふれていた。分散処理やメニーコアに対応したプログラミングなど、これからのコンピューティングを示すヒントがそこにあった。

文:Gordon Haff(Special to CNET News.com)
翻訳校正:川村インターナショナル  2008年12月10日 08時00分

 ボストンの自宅へとまっすぐに帰らずに寄り道することにした自分の選択は、間違っていたのではないか--東京から太平洋を渡る飛行機の中でそう思ったりもした。2008年11月15日から21日にかけてオースティンで開かれたスーパーコンピューティングの世界最大のイベント「SC08」への参加に興味がなかったわけではない。すでに2週間も日本に滞在するというハードワークをしていたのだ。しかし、スーパーコンピューティングはこの数年、非常に話題になっている。2007年はスケジュールの都合で参加できなかったのだから、やはり行こう、と心を決めた。

 そして、実際に足を運んでその選択が正しかったことがわかった。疲れはしたが、非常に興味深く、しかも役立つイベントだった。以下に私の目を引いたいくつかの出来事を紹介する。もし機会があれば、そのうちのいくつかをいずれ詳しく掘り下げてみたいと思っている。

熱気と出席者たち

 まず、イベント全体の雰囲気を書いておかねばならない。とても活気に満ちていた。景気の低迷など、展示会場を歩いたり、セッションに参加したりしている間は感じなかった。確かに、ブースも入場者の参加もかなり余裕があった。それにもかかわらず、SC08では参加者数が1万人を超え、これまでの記録を塗り替えたということで、出展者の多くが、ブースやミーティングコーナーに訪れた人の数だけではなく、実際の商談に結び付いていたと喜んでいた。趣としてはアカデミックでの応用に重きがおかれていたが、全体の感じはずいぶん昔のUniForumを思い出させるものだった。

InfiniBandは生きていた

 2008年9月にラスベガスで開催されたTechForum '08イベントのあとで、私は「InfiniBandの役割が著しく拡大するということはないだろう。一方の10ギガビットイーサネットは、InfiniBandに比べてレイテンシが低減し帯域が高くならない限り、まだ代替にはなり得ない」といった趣旨の記事を書いた。InfiniBandの最大の舞台はハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)分野であり、実際にSC08ではInfiniBandをあちこちで見かけた。特に驚いたわけではなかったが、InfiniBandが死んでいないことを示す証拠としては十分だった。また、QLogicがInifiBandスイッチの新製品をイベントで発表したことは意義深かった。特筆すべきは、他社がMellanoxのチップを使用しているのに対して、今回発表されたスイッチにはQLogicが独自に開発したチップが使われている点だ。QLogicが回路設計に投資を行った事実は、InifiniBandの将来に対するそれなりの信任投票として評価すべきだろう。

「The Pervasive Datacenter」 のバックナンバー

http://japan.zdnet.com/extra/green-enterprise/datacenter/story/0,3800089561,20384971,00.htm
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