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日本最大のソーシャル・ネットワーキング サービス(SNS)企業であるミクシィの取締役 最高技術責任者(CTO)であるバタラ・ケスマ氏が、ZDNet Japanの編集長、山下竜大とのインタビューで、mixiの成功の理由や同社のイノベーション、CTOに求められる役割や条件などを分かりやすく話してくれた。
13分38秒
2007年3月26日 17時00分
日本最大のソーシャル・ネットワーキング サービス(SNS)企業であるミクシィの取締役 最高技術責任者(CTO)であるバタラ・ケスマ氏が、ZDNet Japanの編集長、山下竜大とのインタビューで、mixiの成功の理由や同社のイノベーション、CTOに求められる役割や条件などを分かりやすく話してくれた。同氏は、「新しいテクノロジをビジネスに近づけていくこと、そして社会に浸透させていくことが重要だ」と言う。
--2004年2月にサービスの提供が開始された「mixi」は、今では国内最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)へと成長しています。ユーザー数は、2007年1月28日現在で801万人以上ということですが、mixiがここまで成長できたのは、どのような理由だとお考えですか?
理由のひとつは、mixiという新しいコンセプトがうまく受け入れられたことだと思います。新しいコンセプトとは、友人との新しいコミュニケーションのあり方だったり、情報のやり取りだったりというものです。これまでにもポータル的なサービスはありましたが、これらは情報を提供するだけのものだけでした。また、招待制も新しいコンセプトだったと思います。
(開発からの視点では、)短期間でユーザーが増加しており、CGM(Consumer Generated Media)的にコンテンツも増加しています。システムの負荷も増大しているのですが、利用者がストレスなく利用できるテクノロジを提供できたこともmixiが成長できた理由だと思います。
--mixiをここまで成長させるには、イノベーションの連続だったのではないかと思います。ミクシィという会社にとってイノベーションとは、どのような位置づけにあり、またどのような意味を持っているのでしょう。
イノベーションは、単に新しい技術だけでは語れないと思います。新しい技術を多くの人たちに使ってもらい、それを社会に浸透させていくことがイノベーションだと思います。
mixiではさまざまな技術が利用されていますが、それだけでイノベーションだとは思っていません。多くのユーザーに使ってもらえることこそが、イノベーションなのです。
--これまでを振り返ってみて、テクノロジの活用により、大幅なコスト削減や効率化を実現し、「まさに革新的だった」と思えるようなプロジェクトがあれば紹介してもらえますか。
テクノロジに関して革新的だったと言えるのは、システム全体としてオープンソースを活用していることだと思います。具体的には、Webサービスに関するオープンソースの「LAMP(Linux Apache MySQL Perl/Python/PHP)」をはじめ、コンポーネントの多くをオープンソースで実現しています。
以前であれば、大規模なウェブサイトを構築するのは、非常に大変でした。たとえば、データベースにしても、高いライセンス料を支払って商用データベースを使わなければなりませんでした。しかし、LAMPの登場により、ウェブサイトの構築が非常に低コストで可能になりました。
mixiも、そのほとんどをオープンソースで実現しているサービスですので、非常に大幅なコスト削減ができたのではないかと思います。オープンソースは、素晴らしい取り組みだと思いますので、オープンソースコミュニティの活動にも積極的に参加して、還元していきたいと思っています。
ミクシィでは、研究会やセミナーなどでも、オープンソースの事例を発表しています。
--具体的に取り組んでいるオープンソースコミュニティへの貢献があれば聞かせてください。
特に"これが"と言えるプロジェクトはないのですが、特によく利用しているLAMPにおいて、プログラムレベルの情報はそれなりにあります。ただ、(現在のオープンソースコミュニティで)少ないのは大規模サイトの事例や実績だと思います。その面から、mixiでは情報を定期的にフィードバックしています。
--現在、注目しているテクノロジ、また近い将来、特に重要な役割を果すテクノロジとはどのようなものだとお考えですか?
mixiで今すぐこれを実現したいという意味ではないのですが、動画配信に関わるテクノロジには注目しています。インターネットの帯域幅も広くなっていますし、接続環境も高速になってきたので、以前であればテキストでしか表現できなかったことも、最近では音楽や動画などで表現できるようになっています。
--日本の企業で働こうと考えたきっかけはどのようなものだったのでしょう?
(留学先である)日本の大学を卒業したのですが、在学中に現在のミクシィで働いていたので、卒業したらそのまま就職しようと思っていました。
--現在の日本のテクノロジやエンジニアをどのように見ていますか。
テクノロジとしては、特に携帯電話の分野は日本独自のシステムがあり、世界的に見ればトップレベルのテクノロジを持っていると思います。また、携帯電話の技術を活用してどのような応用ができるかにおいても日本は優れたテクノロジを持っていると思います。
エンジニアに関しては、ミクシィのスタッフもほとんどが日本人のスタッフですが、非常に優秀な人材が多いと思っています。また、チームワークの面でも優れています。ただ、これは個人的な考えですが、大きな企業に入ったりすると自分の時間を持つことが難しいように思います。
たとえば、日々の仕事が忙しいために、本当に自分がやりたいプロジェクトがあってもそれをやる時間がないということがあります。私もエンジニアだったので、mixiの開発部ではやりたいことができる仕組みを取り入れたいと思いました。その一環として「ワンデイフリー」と呼ばれる制度を導入しています。
ワンデイフリーは、週5日間の出勤日の20%、つまり1日は自分のやりたいプロジェクトをやっても良いという制度です。この制度により、エンジニアは自分のやりたいことをやることができ、結果として職場全体がうまく機能するようになったと思います。
実際にワンデイフリーから生まれたプロジェクトの成果をmixiのサービスとして組み込んだ実績もあります。
--日本では(少しずつは増えてきているとはいうものの)相変わらずCTO(CIO)不在と言われています。CTO(CIO)に必要な条件、また役割とはどのようなものだとお考えですか?
まず役割ですが、技術をビジネスにより近づけることが重要だと思います。そのためには、たとえば、ビジネスを成長させるために、今どのようなテクノロジが必要なのかを検討したり、最先端の技術情報を収集して、それを使って何か新しいビジネスを生み出せないかを常に意識していることが大切です。
条件に関しては、リーダーシップはもちろん、コミュニケーションやプレゼンテーションのスキルが必須の条件だと思います。
--今後、ミクシィが解決すべきテクノロジの課題とは、どのようなものなのでしょう?
mixiは、大量のデータを蓄積しています。これらのデータは単なる文字列だけのデータではなく、メタデータ付きのデータです。たとえば、ひとつの文字列があって、その文字列がいつ書かれたのか、日記のコンテンツなのか、あるいはコミュニティのコンテンツなのかなどの情報はすべて持っています。
現在では、まだそのメタデータ情報を活用しきれていませんが、将来的には何か新しいことができるのではないかと思っています。活用できる情報はすべて活用し、常に新しいことに挑戦したいと思っています。
たとえば、全文検索エンジンにおいて、現在では文字列の検索だけしかできないのですが、これをもっと有効に活用できないかと考えています。具体的には、メタデータの検索などもできればより世界が広がるのではないかと感じています。
--今後、ミクシィが目指すイノベーションについて聞かせてください。また、Web2.0的な仕組みについてはどのようにお考えでしょう。
今は、せっかくメタデータをたくさん持っているので、ユーザーごとにあったサービスをどれだけタイムリーに提供できるかを目指していきたいと思っています。具体的には、今はキーワードでしかできない全文検索をメタデータを活用することで、ユーザーの属性などで、クエリが提供できるのではないかと思っています。
Web2.0については、定義そのものも難しいところではありますが、より使いやすいウェブサイトを実現するという意味であれば、今だけでなく、以前からも心がけていましたし、これからも常に改善していきたいと思っています。
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