日本アイ・ビー・エムは7月24日、報道関係者向けに大和研究所に関するプレス・セミナーを開催した。
日本アイ・ビー・エムが“イノベーションの拠点”と位置付ける、神奈川県大和市にある大和研究所(Yamato Lab.)。IBM時代から続くレノボのノートPC「ThinkPad」の開発拠点としても知られているが、もちろんそれだけではない。
日本アイ・ビー・エム 執行役員 開発製造の責任者である坂上好功氏Yamato Lab.は、Cell/Powerプロセッサ、半導体技術、ストレージなどの「システム」、テキストマイニング製品などの「データ・アナリティクス」、開発メソッドやツールなどを提供するモデル駆動型システムズ・エンジニアリング(MDSE)やシミュレーション技術などの「開発環境」を主要技術プロジェクトとして手がけているという。
具体的には、WebSphereやLotus、Tivoliなどのソフトウェア製品、サーバやストレージ、テープなどのシステムおよびテクノロジー製品、リサーチやテクノロジーの基礎研究などの役割を担っている。
IBMの研究・開発体制
現在のIBMにおける研究・開発体制は、世界規模で一元的に統合しており、「グローバル企業」として変革を遂げたという。ビジネスとしてまた研究開発がどう変わってきたかを日本アイ・ビー・エム 執行役員 開発製造の責任者である坂上好功氏が語った。
IBMにおける20世紀は、グローバル企業への変革として、米国で製品を作り、それを輸出する「国際企業」モデルとしてスタートした。その後、世界各国の支社にある程度開発を任され、それぞれの市場に合ったものをつくる「多国籍企業(マルチナショナル)」の時代を経て、21世紀から現在の「グローバル企業」としてシフトしてきたという。
「グローバル企業というのは、地球の上に企業があるイメージ。ひとつの研究開発に対して、要求仕様はワールドワイドで決め、アーキテクトは日本とインド、開発者は中国、といったように変わってきている」と坂上氏は話す。
研究開発のコラボレーションとしては、たとえばPS3で知られる「Cell」を採用したスーパーコンピュータ「ロードランナー」がある。スーパーコンピュータの最新トップ500ランキングの1位を取得したものだ。Yamato Lab.はニューヨーク州のポケプシーを主導としたワールドワイドの開発チームの一員として参加し、システムをインテグレーションしたという。これは、ドイツ、米国(ラーレー、オースチン)、インド、中国開発チームとの協業だという。
このように、グローバルで統合製品開発(Integrated Product Development)するためには、すべての製品を統一されたプロセスで開発することが鍵になるという。製品は、構想段階から計画、開発、評価、発表、ライフサイクル管理といくつかのフェーズがあるが、それらをグローバルな組織で横断チームとして意思決定していくという。開発フェーズごとに経営とユーザーの視点に基づいた「DCP(Decision Check Point)」と呼ばれるチェックポイントも取り入れている。
「違うツールは混乱の極みになる」(坂上氏)として、開発には「Rational」と「Lotus」などを世界で統一して使用。世界各国の拠点において、ワールドワイドで共通の開発手法、開発ツールを活用することにより、効率的な協業を実現し、速度や品質にアドバンテージのある製品やサービスを提供するとしている。
また、R&D(Research and Development)にも力を入れている。グローバルで多様な分野の人々と協業で開発する方向にシフトしており、「たとえば、データベースの専門家と開発ツールの専門家は社内の人である必要はない。閉じた世界からオープンの世界へシフトすれば、その分協業の可能性も広がる」(坂上氏)と話した。
IBMのワールドワイドで統一されたツール・開発手法
IBMでは研究開発も活発に行っており、事業マーケットの動向や技術、イノベーションの動向などをチェックし、年1回開かれる戦略策定会議で討議しているという。直近では、シリコンに変わるテクノロジーはいつ出てくるのか。環境にやさしいデータセンターのあり方、コミュニティを活用したプラットフォームはどのようにつくっていけばよいか、などを話したという。
Yamato Lab.のビジョンとして、「社会にインパクトを与えるイノベーティブなソリューションを創出する」を掲げる。全世界のIBMの一員として、全世界に共通するモノづくりをし、日本の市場を的確にとらえて日本におけるアライアンスを組みながら、グローバルに展開していきたいとしている。
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