IFRS:6割が現行システム改修で対応、負担は内部統制の2倍以上--ワークス調べ

田中好伸(編集部)

2009-11-30 21:09

 国際会計基準(IFRS)対応は「現行システムを改修」が6割、「新システムの導入を検討」が2割――。ワークスアプリケーションズが11月30日に発表したアンケート調査で明らかになっている。

 同社のアンケートでIFRS対応に向けたシステムの検討状況に関するもので、59.2%が「現行システムを改修」を検討しており、20.3%が「新システムの導入を検討」する一方で、20.5%が「現行のシステムで対応」するとしている。同社は、「2012年に判断される強制適用を待つ状況にある中で、現在利用している会計システムでの対応は困難と考えて、改修または新システムの導入が必要と判断する企業が多い傾向にある」と説明する。

 同社のアンケートでは、システムのIFRS対応が与える影響と内部統制対応とを比較した場合では、「期間、コスト、業務量の面で平均で2.6倍もの負担がかかる」という結果も出ている。同社は、この結果から、IFRS対応に向けたシステム検討が促進するだろうと見ている。

 IFRS対応で担当者が抱える懸念としては、「人材の不足」が60.6%とトップになっており、次いで「現行会計システムでの対応可否」が40.4%となっている。IFRS対応で膨大な業務を遂行するプロジェクトチームを牽引する人材の確保が各社で大きな課題となっていること、決定していない事項が多い中で、現行の会計システムで対応できるのかどうか不安を抱えている状況が見られるとしている。また、32.6%が「子会社の対応能力」に懸念を感じていることも明らかになっている。

 IFRS対応のプロジェクトチームの状況では、6.5%が「設置し、情報を集約している」として、13.6%が「設置を検討している」という。だが、「設置は検討していない」が19.2%で、「まだ分からない」が60.7%になっている。また、プロジェクトの主幹となるべき部門は、「経理財務」が74.2%、「経営企画」が18.7%となっている。プロジェクトのリーダーとなるべき役職については「経営層」が8.1%だが、「部長」が56.2%と最も多い。プロジェクトの開始時期については、「すでに開始している」が4.3%であるのに対して、「2010年より開始」が18.0%、「2011年より開始」が5.7%、「2012年以降に開始」が3.3%となっており、本格的なプロジェクトの開始は2010年以降になる見込みだ。

 2015年にも始まるとされる強制適用までに取り組むべき課題では、「社内人材の育成」が43.6%、「会計制度、方針の統一」が42.7%とほぼ同じように重要であるという意識があることが分かる。「システム基盤整備」が26.1%になっていることを考えると、システムももちろん重要だが、それ以上に人材とグループ内での会計方針の統一がより重要だと見ていると指摘できる。

 アンケートは、先日同社が主催した「IFRSシンポジウム〜国際会計基準を見据え企業は今何をなすべきか?」に参加した企業経営者や担当者を対象に実施した。

IFRS対応の懸念 IFRS対応の懸念は「人材の不足」を挙げる企業が最も多い(出典:ワークスアプリケーションズ)
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