社外でノートPC活用「生産性が50%以上向上」6割以上--課題はセキュリティ

富永恭子(ロビンソン)

2010-03-11 11:52

 IDC Japanは3月10日、“ビジネスモビリティ”に関係するノートPC、携帯電話、スマートフォンに関して、企業ユーザーを対象に利用実態調査を行った結果を発表。ビジネスモビリティでノートPCを活用することで「生産性が50%以上向上した」との回答が6割を超え、その有効性が実証された結果になったという。

 しかし、社外にノートPCを持ち出して活用するユーザーは全体の約2割にとどまり、残り8割のユーザーはノートPCを持ち歩かないということも分かったとしている。

 ビジネスモビリティについてIDC Japanは「オフィスの自席から離れ、仕事をする時にノートPCや携帯電話、スマートフォンなどの携帯情報端末を使って、オフィスにいるときと同様、またはそれに近い環境で仕事ができること」と定義している。

 同社は、金融危機以降、日本の労働人口が減少し、新しい雇用の確保や競争力を維持することが企業にとって重要な経営課題となっている中で、ビジネスモビリティは、ワークスタイル変革を促進させ雇用の確保、従業員一人ひとりの生産性向上、ビジネススピードを速めることで企業の競争力強化につなげる有効な手段だとしている。

 現在、ビジネスモビリティの主な端末はノートPCだという。一方、普及が進むスマートフォンは今後、重要な役目を担うことになると考えられるとしている。スマートフォンに求める機能はクラウドなどと連携させてPCなどと自動的に同期を行う機能だ。これにより、PCの情報をスマートフォンで共有して使うことが可能になる。

 しかし、今回の調査では、この「情報共有の機能」以上に、より「快適な動作性」をユーザーが望んでいるという結果となったという。スマートフォンに求める機能を優先度の高い項目から順に並べると、1位は「通信速度」、2位は「軽量」、3位は「キーボード入力」、4位は「紛失時の機能停止」、5位は「メールの送信」、6位に「長時間駆動」、7位「OS」という順になったとしている。

 IDC Japan PC、携帯端末&クライアントソリューションのグループマネージャである片山雅弘氏は、この調査結果について、「ビジネスモビリティの課題はセキュリティだ。特にPCの持ち出しに関しては、企業の意向だけでなくユーザー自身も、紛失や盗難に対する罰則を恐れ、PCの持ち出しに対して慎重だ」とコメントしている。

 その上で同氏は「海外に目を向けると欧米ではPCを持ち歩く、あるいは家庭でPCを使うことはすでに当たり前になっている。本当に必要なPCのセキュリティとはどのようなものなのか、経営層は見直しを行い、正しく理解する必要がある。また、それは、企業の生産性向上、競争力強化に直結し、今後の日本の競争力を左右する重要な課題だ」と指摘している。

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