アドビ システムズのPPBU(プリント&パブリッシング ビジネスユニット)は、FrameMakerを中心としたテクニカルコミュニケーション関連製品やe-ラーニング関連製品、およびWebシステム開発環境であるAdobe ColdFusionなどを開発している。マーケティング本部 PPBU製品 マーケティングマネージャーである仁村一利氏に、FrameMakerの最新版である「Adobe FrameMaker 12」について話を聞いた。
FrameMakerとInDesign:2つのドキュメント作成ツール
アドビ システムズでは、「FrameMaker」と「Adobe InDesign」という、2つのドキュメント作成ツールを提供している。InDesignは、レイアウト作成に主眼をおいたツールであり、雑誌やカタログなど、ビジュアルにこだわるドキュメント作成に圧倒的な効果を発揮する。
一方、FrameMakerは、文書作成に主眼をおいたドキュメント作成ツールであり、すでに国内300社以上に導入されている。ライターがドキュメントを書くための作業の軽減で効果を発揮するのはもちろん、過去の変更や改定までも含めたドキュメント管理を目的としている。このFrameMakerの最大のアピールポイントが信頼性と継続性である。
マーケティング本部 PPBU製品 マーケティングマネージャー
仁村一利氏
仁村氏は、「製品のマニュアルやドキュメントを制作するというFrameMakerの性格上、製品ライフサイクル全体をサポートすることが必要。現状で最適な製品であることはもちろん、10年後も最先端でなければならず、過去から現在まで、業界標準をサポートし、将来もコミットしなければならない。そこで継続性と信頼性が重要になる」と言う。
最新版のFrameMaker 12では、FrameMaker 11に対するユーザーのフィードバックが反映されている。仁村氏は、「最大の特長は、パフォーマンスの向上である。機能によって異なるが、少ないもので18%、多いものでは97%の性能向上を実現した。FrameMaker 11をリリースする際にもそうであったように、FrameMaker 12でも体感スピードが大幅に改善している」と語る。
またこれまでのFrameMakerは、ドキュメントを書くためのツールという位置づけであり、制作したドキュメントをいかにパブリッシュ(配布)するかは、「Adobe RoboHelp」の範ちゅうだった。FrameMaker 12では、RoboHelpの機能の一部である、さまざまな形態のデバイスにパブリッシュするという機能が新機能として搭載されている。
「これまでは、FrameMakerとRoboHelpを組み合わせて行っていたドキュメント作成からパブリッシュまでの作業がFrameMaker 12だけでできるようになったため、作業効率の向上とコストの削減に貢献できる」と仁村氏は言う。
さらに「FrameMaker XML Author 12」と呼ばれる新製品が提供されるのもFrameMaker 12の特長のひとつ。FrameMaker XML Author 12は、FrameMaker 12に搭載されているXML形式のドキュメントを編集する機能を単体で提供するための製品。XML形式のドキュメントを編集する機能に特化したことで、FrameMakerの半分程度の価格で導入できる。
仁村氏は、「大人数でドキュメントを制作する場合、すべてのユーザーがFrameMaker 12を使うためには、それなりの投資が必要になる。またすべてのユーザーにFrameMakerの機能が必要なわけではない。そこでFrameMaker 12とFrameMaker XML Author 12を組み合わせて導入することで、適正なコストでFrameMakerを導入できる」と話している。